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岸和田のまちづくり(まちを良くするためのさまざまな活動)を行っている皆さんに、活動を始めたきっかけなどをお聞きしました。
「まちづくり」というと難しく聞こえますが、決してそんなことはありません。
団体や個人、年齢、性別を問わず、岸和田のまちのために何か始めたい、また、新しい世界と繋がりたいと思っている人はいませんか。
できることから始めるためのヒントを、ぜひ見つけてください。
「一般社団法人岸和田シティプロモーション推進協議会」会長の笹部美千代さんにお話をお聞きしました。
▼「岸和田シティプロモーション推進協議会(kcp)」について
「まちへの思いが、まちを動かす。」をキャッチフレーズに、魅力あふれる岸和田をさらに一層“えぇまち”にしようと、市民や企業が集まりました。
kcpでは、「地域活性化委員会」「次世代まちづくり委員会」「広報委員会」と3つの委員会が設けられ、それぞれ独自に事業を展開。行政からの補助金といった公的支援などを受けず、市民の手によって自律的に活動を行っています。
私は岸和田生まれなので、このまちが一番だとずっと思って生きてきました。
なので、このまちが周りからマイナスイメージで捉えられるのを聞くと、とても残念な気持ちになります。
あと、市民自身が岸和田のことを誇らしいと言えなくなっているのではないか、と感じているんです。すごく素敵なまちなのに。
岸和田は海から山まで自然豊かで、お城もあって歴史深いまちです。今年は市政100周年ですよね。
あと、岸和田の人ってすごく温かい人が多いですよね。これは、これまでのkcpでの活動を通して、改めて感じたことです。
何かkcpで取り組みを行う時、メンバーがいろんなところでいろんなお願いに行っています。そのお願いに行った先で、人、モノ、お金、情報やアドバイス、みなさん必ず何か少しでも協力しようとしてくれるんです。普通なら断られてもおかしくないところを、岸和田の人や企業は、何かしら協力しようとしてくれます。そこはこのまちの宝だと思うんです。
こんな素敵なまちなのに、その良さをもっともっと発信していかなければという思いを持っています。
2014年、岸和田市の「まちづくり市民懇話会」という取り組みに参加しました。
これは、まちづくりについて市民中心で意見交換し合う場なのですが、そのときの話し合いで、行政でもできないことがたくさんあることを知ったんです。
行政に対する不満を言う人もいましたが、いろいろ考えていると、市民は市民で出来ることがたくさんあるのではないか、と気づいたんです。
行政にしかできないことは行政に任せるけど、私たちは、私たちでできることをやっていこうよと。そうやって自分たちで、このまちを誇らしいと言える人を増やしていけばいいのではないかと考えました。
そんな思いが形になったのがkcpです。
私はまず、この思いを持って6人の人に声をかけました。
そしてその6人が、また同じような思いを持つ人に声をかけ、最終的に25人にまでなってkcpは発足しました。
kcpには3つの委員会があり、入会時にどこに所属するかを決めてもらいます。その委員会の中で、「私はこんなことがしたい」「ぼくはこのまちがこういう風になったらいい」ということや、それぞれの思いをどうすれば形になるかを話してもらっています。
立ち上げ当初からそんな風に、kcpとしてどんな活動を行うかを、みんなで議論して進めてきました。
これまで行った取り組みを、いくつかご紹介しますね。
まだ2年目の2017年、鰮巾着網漁業協同組合さんにご協力いただき、岸和田市地蔵浜町の漁港で実施しました。
ハーフパイプを設置し、今ではオリンピアンと言われるような人たちがkcpメンバーのコネクションで来ていただいたんです。
2017年3月「Kishiwada-X」
あと、ブースが40店舗も出て、他府県からも来訪者があり4,000人が参加するイベントになりました。私自身、すごく印象に残っている取り組みです。
岸和田競輪場に隣接するBMXコース「サイクルピア岸和田」のPRや有効活用を目的に、「サイクルパーティ」を定期的に行っています。
また、競輪場の大規模改修が行われる前に、バンクなどを活用して「サイクルパーティ番外編」を実施しました。
2020年8月「サイクルパーティ番外編」
有名なアーティストにお願いし、バンクにアート作品を描いてもらったり、スケートボードでのバンク走行会を行ったりしました。これはとても反響がありました。
KIX泉州国際マラソンのハーフゴール地点となった岸和田城周辺で、にぎわいの創出のための取り組みを行いました。ランナーさんへのおもてなしということを考えて、足湯や写真撮影スポットの設置、茶湯の配布などを行いました。
コロナ禍でマスク不足が問題になっていたときの取り組みです。次の世代を担う子供を身ごもっている妊婦さんに対して、応援の思いを込めて、マスクを配布したんです。あと、医療関係者にも配布しました。
高校生が岸和田のまちをどう見ているのか、どんなことをしたいと思っているのか、話を聞こうということで行ったものです。
岸和田高校、久米田高校、岸和田産業高校が協力してくれました。その中で、岸和田高校とは今でもつながっています。
2019年11月「語るディ」
この他にも、岸和田の歴史を知ってもらうための「きしわだサーチ(ロゲイニングイベント)」、岸和田のまちの近所づき合いやつながりに注目した「はじめてのおてったい」という取り組みなどを行っています。
kcpのメンバーは、こういうことをやりたい、こういうことが岸和田にあったらいい、こういうことで岸和田を知ってもらいたいという思いをもった人が集まっています。それをどんな風に具体化するか話し合い、実現していく、という流れがきちんとできていますね。
kcpメンバーは主婦や企業の経営者など、幅広い人たちで構成されていて、いろんなところのスペシャリストともつなげることができます。そういった、メンバーの実行力がkcpの強みのひとつですね。
岸和田がもっといいまちになっていくためのPDCAサイクルの中で、kcpは、「Do(実行)」の部分を担いたいと思っています。
より誇らしいまち=より満足のいくまち・住み続けたいと思えるまちになるため、市民の立場から、いろんな関係者などをつなげて進めていく。それが、kcpの役目だと思っています。
その要となる「Do(実行)」を、kcpが担うことができれば、と思っています。
いろんな団体や行政とつながって、たくさんの人の話を聞くことができれば、もっとたくさんの思いを形に変えることができるようになるかもしれないという夢もあります。そんなことができる団体になっていけばいいですね。
仕事では会えない人たちが、kcpメンバーの中にいます。
そして、突拍子もないアイデアや話が出てきて、kcpの活動は本当に楽しいです。
活動を始めてから、いろんな人の話、いろんな人の思いを聞きたいと思うようになりました。
kcpではみんな、他のメンバーの意見を大切にしています。もちろん、100%みんなの思いを全て集約できている訳ではないですが。でも、そうしていろんな取り組みを実現させていくというのは大事だなと、勉強になっています。
ウルグアイ前大統領のムヒカ氏の言葉で、「貧困というのはモノの問題ではなく、一番大きな貧困は孤独」というものがあります。
仲間がいること、何か言える、聞いてもらえる場所があるというのは、宝だと思います。この宝が、もっともっと広がっていったらいいなと考えています。
何かを始めようとしたとき、壁はいろいろあります。でも、壁をノックしているうちに、賛同者やいろんな協力者が現れるんです。これは本当に、やってみないとわからないことです。実際に動いてみないと分からない、ということもkcpで学ばせてもらっています。
私たちがkcpを立ち上げたとき、それぞれの思いを言葉に出して発信しました。それって大事だと思っています。そんな風に、自分の思いを伝えていってください。伝えることができたら、一歩前に出ると思います。
そうすればきっと、協力しよう、一緒にやろうという声がどこかで上がりますので。
よければ、kcpにお声掛けください。私たちはいろんな人とつながってやっていきたいと思っています。ぜひ声を出してみてくださいね。