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岸和田のまちづくり(まちを良くするためのさまざまな活動)を行っている皆さんに、活動を始めたきっかけなどをお聞きしました。
「まちづくり」というと難しく聞こえますが、決してそんなことはありません。
団体や個人、年齢、性別を問わず、岸和田のまちのために何か始めたい、また、新しい世界と繋がりたいと思っている人はいませんか。
できることから始めるためのヒントを、ぜひ見つけてください。
「ここからKit」で活動されている長谷川秀美さんにお話をお聞きしました。
▼「ここからKit」について
平成26年9月設立。子育ての経験者や当事者の視点を生かし、当事者と同じ目線で寄り添いつつ一緒に考えながら子ども支援・親支援を行い、子どもも親も共に社会の一員として成長し、いきいきと心豊かに暮らせるまちづくりを進めています。
子どもや子育てにかかわる大人の居場所づくりとして「親子ひろば リビング ふらっとスペース」、子育て寄り添いとして「家庭訪問型子育て支援ホームスタート」など、様々な事業を実施中です。
特定非営利活動法人ここからKit
〒596-0076 岸和田市野田町1-8-8
☎072-477-4776
長谷川さんの社会人としてのスタートは保育士でした。
その後、ご自身の出産をきっかけに、地域の子育てママたちとつながりながら自主学習グループをつくり、やがて岸和田の地区公民館の館長に。子育てを支援するさまざまな講座やイベントを企画・運営されてきました。
「三人目の子どもができたことで、時にはサポートされる側にもなり、メンバーのママさんたちと同じ目線に立てたことはとてもよかったですね」と当時を振り返ります。
やがて長谷川さんの心に、ひとつの想いが生まれてきました。
「子育て中のママたちは『いい話を聞けた』と帰っていきますが、やっぱり『お客さん』なんです。ママさんたち自身の主体的な活動につながっていかないという物足りなさがありました」
長谷川さんの関心は公民館という行政の枠を超えた場づくりへと広がっていきました。
長谷川さんたちが特定非営利活動法人ここからKitを立ち上げたのは5年前。
ここは「此処・個々」、からは「Color」で「十人十色」。そして「ずっと触れ合っていよう」という英語keep in touchの頭文字を集めたKit。「人と人との出会いやお互いを認め合いながら、つながりの大切さを伝えたい」という想いがこもったネーミングです。
ここからKitの主な活動は、親子が気楽に集まれる常設の居場所「リビングふらっとスペース」の運営。
公園デビューのハードルが高いと感じるお母さん、まわりに相談できる人がいなくて子育てのさまざまな疑問を一人で抱え込んでいるお母さん、子育てをしながら社会とのつながりを感じていたいお母さん、そんなママと子どもたちが一緒に集まれ、自分たちでつながりをつくっていける場が岸和田市に誕生しました。
毎月1回、小学生・中学生と大人が一緒に作って楽しく食べる「こみゅにてぃ食堂・ここから」も2年前より開設しています。
「私たちスタッフは黒子に徹しています。主役はあくまでも利用されるお母さんたちで、ゆるやかなつながりの中からさまざまな動きが出てくればいいなと思いました」と長谷川さん。
その動きの一つは、お母さんたちが互いに支えあう「ピアサポート」です。
子育てを経験している者同士だからこそわかり合える「子育てあるある」を時には笑ってシェアでき、そのことで心のモヤモヤを解消できるような素敵な交流が広がっています。
新型コロナの影響で、皆でサロンの場に集まるのがむずかしい現状。これからのビジョンを長谷川さんにたずねてみました。
少しでも明るく楽しく地域で子どもたち(おとなたち)を支えたいと、市民や団体が集まり、SNSで『チームおせっかいきしわだ』を立ち上げました。何かをやりたい人が自由に声を上げ、この指とまれ式に気軽に何かを始められるネットワークで、ここからKitもその一員です。
行政の枠を超えた活動の場を求めてNPO法人をつくった長谷川さんは、さらに法人の枠を超えたネットワークを広げておられます。
「できることから、ちょっとずつ」という彼女の言葉どおり、産声をあげたばかりの「チームおせっかいきしわだ」から、アフター・コロナ、ウィズ・コロナに対応する、まちをより豊かにする取り組みがしなやかに育っています。
☆「リビングふらっとスペース」などの情報はここからKitホームページでご確認ください。
http://cococolorkit.net