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平成30年度施政方針

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2018年7月11日掲載

 平成30年第2回定例市議会の開会に当たり、補正予算案及び関連諸議案を提出し、平成30年度の市政運営に臨む私の基本的な考え方を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 私の市長就任に当たっての所信は、先の第1回定例市議会で申し上げたとおりです。その中で申し上げたことを着実に実現していく第一歩として、平成30年度における市政運営は大変重要なものと考えています。                   

 本市は大正11年に府内で3番目に市制を施行しました。今後、4年先には100周年を迎えるという歴史と伝統のあるまちです。また、これまで市民の皆様とともに泉州の雄としての誇りを持って、地域をリードしてきた実力のあるまちでもあります。私はこれからもこの岸和田が多くの人が躍動できる、そして活気に満ち、魅力あふれる都市であり続けなければならないと考えています。

 しかし、一方で社会の状況は大きく変わりつつあります。本市を含めて日本全体で少子高齢化が進み、産業構造も大きく変化しています。このような、まちや人を取り巻く環境の変化を的確に捉え、岸和田という都市が果たすべき役割や目指すべき方向性をしっかりと認識した上で、本市の政策そのものを一から見直す時期に差し掛かっていると私は考えます。

 人口が20万人を下回り、元気がないとの声を耳にすることが多くなり、岸和田の都市イメージに関してネガティブな報道も最近は増えていると感じています。そのことが、市政への信頼の低下につながっているのではないかと私は危機感を持っています。

 そこで、私は今、何としてでも再び信頼を取り戻し、市民の皆様が夢と希望を持って、ここで学びたい、仕事がしたい、暮らしたいと思えるまち、誰もが誇りを持てるまち、そういうまちづくりを進めていくことを決意するに至りました。

 今、私がなすべきことは、この時代に合った本市のあるべき姿をはっきりと掲げ、本市の役割を十分に認識し、謙虚な姿勢で、岸和田市政の再構築を進めていくことだと考えています。岸和田が生まれ変わり、市民の皆様に誇りを取り戻していただけるよう、全身全霊をかけ、市政運営に邁進してまいります。

 そのために、まずやらなければならないことは市民目線に立った行財政改革です。市民感覚を持って必要な改革を徹底的に行わなければなりません。私の一丁目一番地の政策として、市政運営を進める中で最優先に取り組んでまいります。

 本市の財政状況は危機的な状態にあります。税収入に対して社会保障費、人件費、公債費などの固定的な経費が大きく、財政が硬直化しています。このままでは私が公約として掲げた子育てや福祉、教育の充実など、このまちの魅力を高めるために必要と考える施策の実現はとても困難な状況にあります。さらに、耐震性に課題のある市庁舎の建替えという大きな課題にも対応していかなければなりません。

 このような財政危機を招いてしまった原因は、以前はそれでよかった施策を永くそのまま継続してきたことで、今となっては時代に合わなくなっている、あるいは行政と市民との役割分担について必要な見直しが進んでいない、そして結果として身の丈に合っていないお金の使い方をし続けてきてしまっていることだと考えています。

 そこで、まずは全庁を挙げての行財政改革に取り組むことが必要と判断し、去る4月9日に行財政改革プロジェクトチームを発足させた次第です。

 このチームの果たすべき役割は、抜本的な行財政改革によって財政健全化を確実に実現させることです。既に公表している行財政再建プラン案の取組に加えて、新たな歳出削減や収入確保を図るとともに、持続可能な市政運営を実現させるための構造改革に向けた改革メニューについて、ゼロベースでの再度の総点検を実施して、現在の行財政再建プランを上書きしようとするものです。

 総点検と改革メニューの取りまとめに向けては、大きく次の3つの視点で実施します。

 一点目は、「市の役割の最適化」です。

 民間ができることは民間に任せ、行政は規制や基準の緩和など、民間が参入しやすい環境を整えるという視点です。

 二点目は、「行政サービス水準の適正化」です。

 本市の市民サービスの水準について、人口や財政状況など同規模の自治体を調査し、比較することで本市の規模に応じた施策に転換するという視点です。受益者負担の適正化や補助金、負担金等のあり方などを検討します。

 三点目は、「歳入確保や歳出抑制に向けた取組の徹底」です。

 歳入の確保に向けて、ふるさと寄附の寄附金額を拡大するほか、市の施設に民間が自動販売機を設置する際に一般競争入札を導入して収入を増やしたり、ネーミングライツの活用を図ります。また、受益者負担の観点から使用料や手数料を再検証し、適正に設定するために必要な改定を検討します。歳出の抑制に向けては、事業手法や費用対効果を検証した上で事業費の縮減を図ります。

 これらプロジェクトチームによる行財政再建プランの策定作業は、本年度内の取りまとめを視野に入れつつ、9月ごろには議会や市民の皆様へ中間報告できるよう鋭意進めていきます。

 さらに、この新プランの策定完了を待たずとも、すぐにでもできることは今年度から取り組んでいくこととします。

 既に市長就任後に速やかに実施を決めた市長給与の3割カットや退職手当の全額カット、特別職や全職員を対象とした給与カットを始めています。これらに加えて年度途中からになりますが、職員の出張に伴う旅費のうち日当や宿泊手当の削減に向けた検討を進めます。

 できることからスピーディーに取り組む行財政改革の一環として、議会におかれましても議会自らが議員報酬や議員定数の削減などを実施され、私の考えと同じ方向性を示されました。市政にかかわる全ての人が自らの身を切ることで、新たな岸和田の創造に向けて全員が心一つにして取り組んでいくことができる状況が生まれたと感じています。

 次に、中核市への移行についてですが、私は選挙公約の一つに「中核市移行議論の再開」を掲げました。そして市長就任後に「中核市準備室」という専門セクションを設置し、改めて中核市移行の効果や課題について再検証することを指示いたしました。

 そもそも私が中核市移行の議論再開が必要だと認識した理由は、岸和田市政の再構築のための行財政改革とともに、このまちの明るい未来をつくりあげていくための重要な要素だと考えたからです。

 中核市に移行することで何が変わるのかというと、一つは府から多くの権限が移譲されることから、本市の実情を反映した施策を行うことが可能になります。もちろんこれには大きな責任が伴いますが、地域の真のニーズをよく知っている本市だからこそできる行政サービスを提供することで、必ずや市民福祉の向上につながるものと考えます。

 具体的には地域の保健衛生サービスの充実です。本市の保健衛生分野の行政的課題の一つは、特定健康診査の受診率が府内43市町村中37位と非常に低いことが挙げられます。そして残念なことですが平均寿命や健康寿命に関するデータをみても府内でそれぞれ41位、40位と下位にあるのが現状です。これらを改善するためにも中核市に移行し、市の保健所を設置した上で、これまで以上に市民の健康づくりに取り組むことが必要です。

 中核市になると、市の保健所として人口動態、死亡原因などのデータを直接保有することとなり、本市の健康課題をより総合的に捉え、政策に反映することが可能になります。

 また、保健所に配置される医師、薬剤師、保健師といった各専門職の職員が同じ市の職員として、より顔の見える関係が構築され、人材の育成や経験、ノウハウの蓄積につながります。これら専門職員の充実は、既存事業である介護保険における予防事業や国民健康保険の保健事業などに生かすことができ、より高度で効果的な市民の健康づくりのための取組を推し進めることが可能になります。

 さらに、保健所では、集団給食施設の指導、医療機関等への立入検査、飲食店や公衆浴場の指導や監視など、市民の健康を支える生活環境づくりにも市が関わることができるようになります。「人」に対する健康づくりの充実から健康を支える「環境」づくりまでトータルにサポートすることで、平均寿命や健康寿命の改善につなげていきます。

 中核市移行に伴い目指すもう一つのことは、行政の透明性の向上です。中核市に移行すると、包括外部監査の実施が必須となります。公認会計士など専門家の目で岸和田市政を見ていただき、市民に開かれた透明性の高い市役所づくりを目指します。

 そして、中核市になることで私が期待している最大の効果は、本市の行政力をワンランクアップさせることができる点です。

 新たに移譲される権限を最大限に活用し、様々な行政分野においてニーズを的確に捉えた独自の市民サービスを提供するなど、先駆的な施策を展開して効果を上げることで、本市と共通の課題を抱える他の自治体に対し「岸和田モデル」として解決策の一つを示すこともできます。ワンランク上の行政力を持つことにより、本市が中心となって泉州地域の各自治体の取組をリードする先進都市としての役割を果たしていきます。

 一方で、中核市移行に向けては乗り越えなければならない大きな二つの課題があります。新たな財政負担への対応をどうするかということと、十分な組織体制を構築することです。移行に係る財政負担については行財政改革の実施によって必要な財源を確保して対応し、組織体制については保健衛生に係る権限移譲を円滑に行うために、府に対して十分な支援と協力が得られるよう協議してまいります。

 本定例会には、中核市への移行を具体的に進めるため、企画調整部の所掌事務を「中核市移行の推進に関すること」に変更すべく、岸和田市事務分掌条例の改正案を提出させていただきました。平成31年度中の中核市への移行を果たし、「真に自立した都市、岸和田」を目指して、市民の皆様にとって住んで誇れるまちとなるよう効果的な施策を進めることで、人口減少に歯止めをかけてまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力をぜひとも賜りますようお願い申し上げます。

 次に、今年度の主な取組についてご説明いたします。

 平成30年度当初予算は、骨格予算として編成いたしました。本定例会に補正予算案、いわゆる肉付け予算案として提出いたしましたものは、行財政改革を進める中においても、岸和田市民のためにどうしても今やらなければならない施策を厳選いたしました。

 まず、府道の泉州山手線関連事業です。泉州山手線は岸和田の丘陵部における広域幹線であり、沿道において住む人、働く人を増加させる地域活性化効果をもたらす大変重要な路線です。したがって、府による2020年度の事業着手が確実に行われるよう、これと併行した関連開発の着実な進捗のために、土地区画整理事業の事業化に必要な調査等を実施します。

 JR久米田駅周辺及び南海春木駅周辺では、鉄道で地域が分断されて、東西アクセスが悪い状況となっており、交通渋滞も発生しています。駅周辺地域にふさわしい安心・安全で利便性の高い地域とするため、久米田駅周辺では駅西側改札とアクセス道路の整備を進め、春木駅周辺では春木駅周辺まちづくり基本構想に基づき、市道などの道路整備を進めます。

 市営住宅については、岸和田市内の公営住宅、民間賃貸住宅の現状や将来予測などを分析し、改めて岸和田市内に確保すべき市営住宅の必要戸数を再度検証し、集約や建替えの方針をつくり直す必要があることから、市営住宅ストック総合活用計画を見直します。

 老朽化し耐震性に課題のある市庁舎については、建替えに向けての資金計画と並ぶ重要な課題として「場所」の問題があります。交通量調査などの詳細な調査を行い、その結果を踏まえながら、市民の利便性や安全性、経済性などの視点から、最適な建設予定地を今年度中に決定します。併せて、新庁舎の適正な規模の検討や民間事業者から広く意見を求め、対話を通じて案を策定していく、いわゆるサウンディング型市場調査により整備手法や選ばれなかった候補地の利活用についても検討を進めます。

 少子化に伴い、学校園の小規模化が進む中、適正な規模と配置を考え直し、子どもたちにとって最適な教育環境を整えていくため、学校園のあり方について検討を始めます。また、東葛城小学校においては、自然豊かな環境の下で農業や伝統文化などの地域資源を生かした体験学習を取り入れるなど、特色ある教育方針を示した上で、希望する児童や保護者に市内全域からの入学を認める小規模特認校として、来年春に開校できるよう取り組みます。

 子育て家庭が働きながら安心して子育てできるように、認定こども園の施設改修などを促進し、併せて定員の増員も図るなど、待機児童の解消を図ります。また、幼児教育や保育などの施設利用に関することや各種の子育て支援サービスの案内などについて総合的に相談に応じる保育コンシェルジュを配置します。

 誰もがお互いの個性と人格を尊重して、共に生きることができる地域社会を実現するため、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語条例の制定に取り組みます。

 本市が誇る山間部の貴重な観光資源であるいよやかの郷は、温泉宿泊施設として市外からも多数の観光客に訪れていただいています。10年間の指定管理期間が本年度末で終了するに当たり、より魅力にあふれた、多くの人でにぎわう施設となるよう、今後のあり方について検討します。

 大型商業施設や浪切ホール、漁業水産施設でにぎわう旧港地区周辺地域では、道の駅やみなとオアシスなど国の制度を活用して、さらなる魅力づくりができないか、ホテル等観光施設の誘致が可能かなどについて検討するとともに、大阪市夢洲への統合型リゾート(IR)誘致を見据えた対応なども検討します。

 老朽化の著しい大宮青少年会館と女性センターを、岸和田市公共施設最適化計画に基づき統合し、平成31年春から新たな複合施設として、岸和田サン・アビリティーズ跡に開館できるよう整備を進めます。

 自然災害への備えの重要性は、昨年の台風21号による被害によって改めて認識させられました。災害の未然防止が強く求められる中、安定した営農活動が行えるようにするためにも、諸井水路地区と神於山土地改良区において、農業用排水路等を整備する土地改良施設整備事業を実施します。

 長年の懸案である岸和田競輪場の施設整備については、以前の建替え方針から改修へと整備内容を変更し、岸和田競輪場施設整備計画を策定の上、必要な整備に取り組みます。具体的には、選手の安全性の確保から、バンクの劣化への対応と合わせて、新耐震基準を満たしていない選手管理棟の整備、また、お客様の安全性確保の観点からサイドスタンドの耐震補強などに取り組みます。

 全国の競輪場の売上げは、2014年度以降は前年度比で毎年0.6%から2.4%の微増となっており、また、現在、国内で開催されている5つの公営競技全体でも、2013年度以降の売上高は堅調に伸びています。競輪競技実施に係る環境改善を図ることによって、特別競輪やグランプリシリーズの招致、入場者数の増加や売上げの向上を目指し、今後も本市財政に貢献し続けることができるよう努めます。

 最後に、広域行政の推進に向けては、市民サービスの向上を目指すとともに、行政の効率化を図りコストを削減することで連携自治体がそれぞれの行政力を高め、お互いにメリットを享受すること、つまりウインウインの関係づくりを目指していきます。今後、消防・救急サービスや新しい斎場の整備、清掃施設の運用、し尿処理施設などの分野で、本市がリーダーシップを発揮しながら、近隣市町と協議し、効果的な広域連携の方策を検討します。

 以上、平成30年度の主な取組について説明させていただきました。

 今回の肉付け予算案として提出いたしました補正予算案については、一般会計で6億7,364万2千円で、補正後の予算規模は、740億2,220万5千円となり、前年度の当初予算額と比較すると、14億6,371万6千円、1.9%の減少となっています。

 以上、平成30年度の私の市政運営の基本方針と補正予算案及び関連諸議案の概要についてご説明申し上げました。

 直面する財政危機を乗り越え、誇りを取り戻し、世界一のまち「岸和田」に生まれ変わるんだとの気持ちで頑張ってまいる所存です。

 私と同じように民意を得て当選されました議員の皆様と、この議会の場で一緒に議論をし、語り合いながら、まさしく議会制民主主義を本分として、謙虚な気持ちで進めてまいりますとともに、市民の皆様とも十分に議論を重ね、対話と協調を基本として市政運営を進める所存です。

 なにとぞ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。


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