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令和5年度施政方針

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2023年4月13日掲載

 この「令和5年度施政方針」は、2023年(令和5年)3月3日の岸和田市議会定例会において市長が説明したものです。


 
 本日ここに、令和5年度の予算案及び諸議案をご審議いただくにあたり、 市政運営に臨む私の基本的な考え方と予算案の概要について申し述べ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 新型コロナウイルス感染症が流行して以来、3年ぶりに行動制限のない年末年始を迎え、外国人観光客も徐々に見受けられるようになってまいりました。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けも令和5年5月8日からは、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられることとなり、元通りの生活に近づくことを期待していますが、その一方で、世界的需要増や国際紛争を一因とする物価高騰といった問題が市民生活に大きく影響を与えています。引き続き、市民の皆様のニーズの把握に努め、日常を取り戻しながら新しい生活様式のもとで市民の皆様の生活を支えていけるよう、市政運営に取り組んでまいります。

 昨年、私が2期目の市政運営のスタートにあたり、重ねてお示しいたしましたのは、全庁を挙げて行財政改革に集中的に取り組んだことにより、当面の財政危機を脱しましたが、引き続き、市民の皆様、議員各位のご理解・ご協力をいただきながら、「行財政改革の続行」を最優先に進めていきたいとの考えでございました。
 本市は、過去25 年の間に3度もの大きな財政危機を繰り返し、その度に行財政改革に取り組み、危機を脱してきました。平成30年度からは、「行財政再建プラン」に基づく行財政改革に集中的に取り組み、直面する財政危機の克服と市政を安定的に運営するための必要な基金を一定確保することができましたが、財政基盤が構造的に脆弱であるという課題はまだ解決されていません。そこで、真に安定的な財政基盤を構築するために、令和5年度から新たにスタートする「岸和田市新行財政改革プラン」に基づき、行財政の構造改革に取り組んでまいります。
 時代は大きな転換期に差し掛かっており、人口減少と人口構造の変化は、社会経済のあり方にも本質的な変化をもたらし、また、デジタル化の波により、社会経済や日常生活は大きく変わりつつあると考えられます。地方自治体が、将来にわたってその時代に対応した住民ニーズに合った公共サービスを提供し、地域社会を安定的に支え続けていくためには、このような社会経済環境の大きな変化に合わせて、時には大胆に変革を成し遂げなければなりません。私たちがめざす改革は、「壊す改革」ではなく、これからの時代に合った新しい市民サービスと行政運営体制を「創る改革」です。

 「岸和田市新行財政改革プラン」では、令和5年度から7年度までを「行財政基盤強化期間」とし、将来にわたって質の高い市民サービスを提供し、市民生活を安定的に支え続けるため、8つの取組を設定しています。
 取組1は、「人的資源の最適化」で、少数の職員でも、質の高い市民サー ビスを安定的に提供することができる、簡素で効率的な組織体制の構築に向けて、人的資源の最適化に取り組みます。
 取組2は、「行政DXの推進」で、全庁的な行政DX推進体制を構築し、 行政手続きのオンライン化、情報システムの標準化・共同化、AI・RPA等のICTの活用、オープンデータ等に取り組みます。
 取組3は、「公共施設の『機能』と『量』の最適化」です。今後、急激に進む人口減少と人口構造の変化により、公共施設の利用状況や求められる機能に大きな変化が生じると考えられ、また、公共施設の老朽化に伴い、莫大な維持管理・更新等の負担が生じると見込まれます。これらの変化への対応と行財政の持続可能性の確保を図る観点から、公共施設の「機能」と「量」の最適化に取り組みます。
 取組4は、「広域行政の推進」で、人口減少や広域的な対応が求められる地域課題の増加等の社会環境の変化を踏まえ、他の自治体との広域的な連携を積極的に推進し、行政運営の効率化や質的な向上を図ります。
 取組5は、「公民連携の推進」で、行政と民間がそれぞれの持ち味を存分に活かし、協働して、複雑化、高度化する地域課題の解決と地域活性化を効果的に図るため、公民連携の推進に取り組みます。
 取組6は、「自主財源の確保に向けた取組強化」で、市民サービスの維持・向上を図る財源の確保に向けて、債権管理体制の強化、ふるさと寄附に係る取組の推進、受益者負担の適正化、税外収入の増収確保に取り組みます。
 取組7は、「市立岸和田市民病院の経営形態の見直し」で、市民病院の経営基盤の強化に向けて、経営形態の見直しについて積極的に検討を進めます。
 取組8は、「『改革の視点』に基づく事務・事業の見直し」で、行政の経営資源の最適化を図り、機能的で効率的な行政運営体制を構築するため、「改革の視点」に基づき、事務・事業の見直しを図ります。
 本市は、昨年11 月に市制施行100周年を迎えましたが、この「岸和田市新行財政改革プラン」を市民の皆様とともに取り組んでいくことで、次の 100 年に向けた“新・岸和田”の礎を創ることができると考えています。

 また、本市のまちづくりの根幹である総合計画「将来ビジョン・岸和田」が、令和5年度から、新たにスタートいたします。「笑顔にあふれ、誰もが “幸せ”を感じる都市の実現」を基本理念として、総合計画に描いた将来像“新・岸和田”に向かって、安心していつまでも住み続けることができる、個性豊かで魅力的なまちづくりを進めてまいります。

 では、「将来ビジョン・岸和田」に基づく「第1期基本計画」の重点目標の考え方に沿って、令和5年度予算案に計上し、順次取り組んでいく主な事業について、概要をご説明いたします。
 重点目標1「子育てしやすい岸和田の実現」の重点目標の方向性(1)「子どもの保育・教育環境の向上」においては、令和2年10 月に策定した「市立幼稚園及び保育所再編方針」に基づく、個別計画を推進し、未入所児童を含む待機児童の解消とより良い教育・保育環境の充実に取り組みます。令和7年4月開設をめざす(仮称)市立旭・太田認定こども園の整備、令和8年4月開設をめざす(仮称)市立春木・大芝認定こども園の整備に向けた取組を進めるとともに、民間認定こども園施設整備の支援を行います。
 加えて、保育所の待機児童解消に向け、慢性的に不足する保育士確保が課題となっているため、保育士応援特別給付金の拡充等を行います。また、ICT技術を活用したシステムの導入と利活用を進めることで、公民ともに安 全・安心な保育環境の充実、保育の質の向上、保育士の業務負担の軽減を図ります。
 待機児童対策として、通年で利用できるチビッコホームを常盤校区に2ホ ーム増設し、23 校区で計44ホーム開設します。また、未だ待機児童がいる校区につきましては、引き続き夏期臨時チビッコホームを開設します。
 令和3年度から実施している学びの土台づくりとなるコグトレの取組については、幼稚園、小学校、中学校合わせて16学校園で実施しておりますが、オンライン・アプリを活用し、29学校園に拡大して実施いたします。また、全小中学校に整備された一人一台の学習者用端末を効果的に活用し、子どもたちにとって個別最適な学び、協働的な学びを充実するとともに、情報活用能力や情報リテラシーの育成に努めます。その際、教員を支援するICT支援員を派遣するとともに、授業での活用を支援する学習アプリ等を全小中学校に引き続き導入します。
 「みんな泳げるプロジェクト」として、10学校園で学校水泳の民間委託を実施いたしておりますが、専門的な指導者から指導を受けることができるとともに、屋内プールを利用することにより、炎天下の熱中症などの健康被害を防ぐことができ、あわせて、天候に左右されることなく、計画通り水泳の授業を実施することができることから、児童生徒の泳力向上につながっているという評価がなされており、29学校園に拡大いたします。
 また、支援の必要な児童生徒に対する、日常的な学習支援、個別の配慮、健康・安全確保や、児童生徒の障害に対する理解促進などを行うことで、インクルーシブ教育の推進を図るため、特別支援教育支援員を引き続き配置するとともに、介助員を増員します。
 児童・生徒数がピーク時の約半数まで減少し、学校の小規模化が進んでいる市立小・中学校においては、子どもたちの教育や学校運営に様々な影響が及んでおり、その解消が喫緊の課題であることから、令和2年3月に策定した「岸和田市立小・中学校の適正規模及び適正配置基本方針」を基に、同年11 月に「岸和田市立小・中学校適正規模及び適正配置実施計画(第1期)(案)」を策定し、議会や市民の皆様等へ教育委員会からお示ししました。また、これらの取組が市民や地域のご理解なしには進められないとの考えから、地域説明会や校区懇談会等で丁寧にご説明するとともに、意見交換を図ることにより、ご理解の醸成に努めてきたところです。しかしながら、様々なご意見をいただく中で、一部の地域では、校区懇談会の開催をさせていただくに至らないなど、計画が進められない状況となったため、このままでは、子どもたちの教育環境や学校運営への影響がますます大きくなっていくことから、先日、私から教育委員会へ、山手の方で新たな場所に小中一貫校を新設することと、一旦は、既存の小中学校は閉校にせずに、既存校と新たな小中一貫校の、どちらかを選択できるようにすることを、提案いたしました。
 その後の定例教育委員会会議において、教育委員会として、私からの提案を受けて検討を開始することが確認されたことから、新たな小中一貫校について、今後、市と教育委員会が一体となって具体的な検討を進めていきたいと考えています。
 また、令和2年10 月に策定した「小中一貫教育基本方針」に基づき、モデル校区を設置し、その取組を活かし、市内全校区で小中一貫教育を推進するための土台づくりをめざします。

 重点目標の方向性(2)「子育て世代の定住促進と『子育てしやすいまち』のイメージアップ」においては、新たに、新生児聴覚検査費用の助成を行います。聴覚障害が早期に発見され、適切な支援が行われることにより、聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられることから、全ての新8生児を対象として、初回の検査費用を助成するものです。
 子ども医療助成事業は、現在、健康保険に加入している中学校卒業までの子どもを対象として所得制限を設けず実施していますが、対象年齢を満 18 歳に達した日以後における最初の3月末までに拡充し、保護者の負担軽減を図ることで、子育て家庭への経済的支援を行います。子育てしやすい環境整備の施策のひとつとして事業を拡充し、子育て世帯の定住促進につなげてまいります。
 また、社会状況の変化に伴い、孤立感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭が少なくない状況の中、全ての妊婦や子育て家庭が安心して出産・子育てができるよう、妊娠期から出産・子育てまで継続して支援する伴走型支援を実施するとともに、妊娠届出時、出生届出後に経済的負担軽減のため「出産・子育て応援ギフト」を支給します。

 重点目標2「経済・交流が活発な岸和田の実現」の重点目標の方向性(1)「地域経済の軸となる産業・観光の活性化」においては、岸和田市と忠岡町にまたがった形で立地する木材コンビナートについて、令和3年度に策定した利活用ビジョンを基に、引き続き忠岡町との共同調査を継続し、「貯木場」を中心とした木材港地区の新たなまちづくりに向けて取り組んでまいります。臨海部における新たな産業拠点として、ひいては大阪ベイエリアから大阪・関西の産業を牽引し、時代をリードする近未来的な機能を創造すべく、大阪府に対し、埋立造成の早期の事業化が図られるよう引き続き要請してまいります。
 また、「岸和田ビジネスサポートセンターKishi-Biz(キシビズ)」における伴走型の支援について、継続実施してまいります。
 丘陵部の「ゆめみヶ丘岸和田」では、企業誘致や住宅地供給に加え、新たに進出が予定されている商業事業者とも連携し、まちのにぎわいを創出します。
 さらに、本市への来訪者の増加をめざして、「データに基づいたプロモー ション戦略」を作成するとともに、「データ分析によるプロモーション効果の明確化」を行うことにより、体験型プログラムのブラッシュアップや実証 実験の効果を検証してまいります。また、令和3年度から取り組んでいる城下町泊事業計画に基づき、飲食店や宿泊事業者の誘致を図り、城周辺のにぎわいづくりを推進します。
 また、本市の豊かな農水産物を活かした食について、磨き上げやPRを行うとともに、令和4年度に開発されたメニューなどについて、飲食店に広められるよう取組を進め、観光や産業振興につなげてまいります。

 また、まちづくりには基盤整備も重要です。社会状況の変化に対応し、未来の子どもたちに新しい岸和田をつないでいくため、インフラ施設や土地利用などのまちづくりの基本となる「“新・岸和田”づくり~都市計画マスタープラン~」を令和5年度からスタートさせ、まちづくりを推進します。
 そこで、重点目標の方向性(2)「泉州山手線沿道を中心とした拠点形成とアクセス性の向上」においては、周辺都市、関西圏を含めた広域的な都市連携を強化し、様々な交流と活動の活性化を支える広域連携軸を形成するため、 地元関係者とともに、山直東等のまちづくりを推進し、大阪府と協力して泉州山手線の整備促進を図ります。
 市内の南北軸の重要な路線である田治米畑町線は、「岸和田市交通まちづくりアクションプラン(総合交通戦略編)」において、市内幹線道路の整備推進路線に位置付けられており、整備を推進することで市内の東西軸を接続 し、交通処理機能を強化するとともに、「岸和田市地域防災計画」において地域緊急交通路に指定されていることから、災害時における輸送路の確保を図ります。
 多様な世代の移動ニーズに対応した利用しやすい地域交通の実現に向け、市域をまたぐ路線バス山直線の実証運行等を継続するとともに、公共交通利用促進策の充実を図ります。あわせて、令和 3 年度に行ったスマートモビリティ実証実験の結果を踏まえ、関係者と連携のもと、デジタルサイネージ等を用いた移動がスムーズなまちづくりを進めてまいります。また、市民生活の質の維持向上を図るため、既存交通の維持・充実を図りながら、持続可能な次世代モビリティ等の活用検討として、市民、交通事業者等との協働によるオンデマンド交通の実証実験に取り組んでまいります。
 丘陵部のまちづくり拠点「ゆめみヶ丘岸和田」の自然エリアについては、 地域課題である竹資源の循環等を積極的に進めるため、“パンダバンブープロジェクト”を民間企業やまちづくり協議会等、産学公民の連携により推進 し、ローカルSDGsビジネスの創出を促すとともに、周辺環境と調和した 地域拠点の形成に努めます。
 地域の拠点として、人々の移動の起点となる駅周辺の利便性向上や市街地の再生を進めるため、JR阪和線久米田駅西側改札を令和5年度中に開設するとともに、関係権利者のご協力を得ながら、JR阪和線久米田駅、南海本線春木駅の周辺道路整備を進めてまいります。
 以上のような課題に対応するため、まちづくり推進部において、市街地整備課、丘陵地区整備課を再編し、令和5年度から、都市整備課、交通まちづくり課を配置します。

 重点目標3「都市課題を解決する仕組みづくりの実現」の重点目標の方向性(1)「地域活動の活性化に向けた支援」においては、地区市民協議会支援事業として、地区市民協議会が行う研修会の経費の一部を助成するとともに、中間支援組織の機能強化として、市民活動サポートセンターの取組を拡充します。地区市民協議会が自ら、それぞれの地域課題にあった研修会を行えるよう支援することにより、より身近な気付きや取組のきっかけづくりとし、圏域内の他の組織と協働したまちづくりにつなげてまいります。また、市民活動サポートセンターが行う支援では、地区市民協議会が抱える諸問題の把握・課題の抽出・解決に向け、マッチングしたアドバイザーの派遣を行うとともに、市民活動サポートセンターの職員が伴走支援し、支援策を検討・構築します。
 また、ゆめみヶ丘岸和田まちづくり協議会が、自立した活動を継続していけるよう支援を行うとともに、まちづくり協議会の活動を含めた地域課題解決に向けてのコミュニティ活動に対する市の後方支援の仕組みを整えてまいります。

 重点目標の方向性(2)「未来志向の都市経営」においては、令和6年度からスタートする「(仮称)岸和田市DX推進計画」の策定に着手するとともに、行政運営の効率化など、幅広い視野が必要となることから、大阪府の「(仮 称)デジタル人材シェアリング事業」を活用し、DXにかかる専門的知見やノウハウを持つ外部人材を確保します。デジタル新技術や各種データを活用し、業務の効率化を図るとともに、市民の利便性を向上させるため、現在紙ベースで行っている申請、届出等の精査を行い、対応可能なものについて汎用型電子申請サービスを利用した行政手続のオンライン化に向けた取組をさらに進めます。
 デジタル新技術や各種データを活用したデジタル化の取組は、社会課題、都市課題を解決する可能性があり、本市も大阪府スマートシティパートナーズフォーラムのプロジェクトに参加し個々の取組を実施しているところですが、さらに組織的、計画的にスマートシティの取組を推進するため、「(仮称) 岸和田市スマートシティ構想」の策定に着手いたします。
 また、温室効果ガスの排出を 2013 年度比で、2030年度には46%削減、さらに50%の高みに向けて挑戦し、2050 年にカーボンニュートラル、実質ゼロをめざすため、令和3年7月に表明した「岸和田市ゼロカーボンシティ宣言」を踏まえて、脱炭素先行地域をめざして、本市の「地球温暖化対策実行計画(区域施策編・事務事業編)」において、必要な削減目標を設定し、市民・事業者による温室効果ガス削減の取組を推進するとともに、(仮称) 脱炭素化推進事業債を活用した計画的な公共施設のLED化など、温室効果ガス排出事業者としての取組についても進めてまいります。

 続いて、その他に、令和5年度に取り組む事業について、「将来ビジョン・岸和田第1期基本計画」の基本目標に沿ってご説明いたします。

 基本目標「岸和田の次世代を育むまち」においては、若者勤労者の市内就労の定着促進や市外からの定住促進を図るため、市内企業等の若者勤労者の雇用確保を目的として、岸和田市内に居住し、かつ市内企業等へ新たに就職された方が返還する奨学金の一部を補助する奨学金返還支援事業を実施します。
 令和5年度から、学校給食費の管理における透明性の向上、徴収における公平性の確保、教職員の負担軽減による教育の充実を図るため、学校給食の公会計化を実施します。
 中学校の部活動においては、約4割の顧問が当該競技の専門外または未経験の教員となっており、また、部活動指導により、時間外勤務が多くなっていることから、指導体制の充実を推進し、担当する教員の支援を行うとともに、部活動の質的向上を図るため、中学校部活動指導員を増員します。
 部活動の地域連携や地域スポーツ・文化クラブ活動への移行に向けた環境を一体的に整備することをめざし、中学生のスポーツ活動の環境整備や充実を図るため、まずは休日に行っている部活動の地域での実施や、新たなスポ ーツ種目の実施などを、受け入れ先となる地域のスポーツクラブや民間事業者等と連携し、取り組みます。また、スポーツ庁等による休日の部活動の段階的な地域への移行の方針に対応するため、単独の学校では設置ができない種目について、新たに民間での開設に向けて取り組みます。
 老朽化が進む図書館本館の現状を踏まえ、新図書館整備に向けたキックオフとして教育委員会が取りまとめた「図書館のありかた」を踏まえ、施設整備等についての検討を進めます。

 基本目標「健康で自分らしく生きられるまち」においては、市立岸和田市民病院は、地域の基幹病院として、高度・専門医療や救急医療、がん医療の充実を図るとともに、地域医療ネットワークの構築を推進し、地域医療機関との機能分担、連携の強化に努めてまいります。特に5大がん(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・肝がん)に加え、子宮がんについては、市民病院内に特別対策委員会を立ち上げ、より一層、医療の充実を推進していくとと もに、公開講座を開催するなど、市民へのがん知識の普及啓発にも取り組んでまいります。また、新型コロナウイルス感染症が「5類」の扱いになった後も、引き続き公立病院としての役割を果たしていくとともに、市民の皆様から信頼される安全で安心な医療を安定的に提供できるよう取り組んでまいります。
 新型コロナウイルスワクチン接種については、関係機関と連携、協力のもと、国の方針に従い対応してまいります。

 基本目標「安全で安心して暮らせるまち」においては、頻発する自然災害に対応して、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障害者等の避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図るため、個別避難計画作成に取り組みます。実効性のある計画を作成するためには、障害の程度等の把握が必要であり、日頃から避難行動要支援者と関わりの深いケアマネジャーや相談支援専門員等、福祉専門職の参画が必要不可欠なことから、福祉専門職に依頼し、 避難行動要支援者のうち要介護や障害支援区分の支援の度合いが高い方の個別避難計画を策定してまいります。
 近年の甚大化及び多様化する災害、増加傾向にある救急事案並びに、「ゆめみヶ丘岸和田」地内の開発に伴う地域形状や道路事情の変化を勘案し、「ゆめみヶ丘岸和田」に市民、消防団員の防火防災の拠点となり、大規模災害発生時には緊急消防援助隊等の集結場所、活動拠点となる、消防施設の整備を進めます。消防署員が常駐し災害対応をすることにより、山手地区への消防・救急の迅速化を図り、市民サービスを向上させます。
 また、災害発生初期に俯瞰的視点から情報を収集することは、被害状況や災害推移の把握、効果的な部隊運用につながり、トータル被害の軽減に非常に効果的であることから、無人航空機(ドローン)を導入します。
 少子高齢化や人口減少が加速する中で、社会問題となっている空家等の対策については、市内に存在する空家等の実態調査結果を踏まえ、有効な対応策について取りまとめた「空家総合戦略・岸和田」に基づき、居住者等に対する空家等の発生予防に向けた啓発を行うとともに、所有者による空家等の適正管理を促進します。また、市民の生活環境に悪影響を及ぼす管理不十分な不良空き家については、除却への費用助成を実施し、危険な空き家の解消に努めます。さらに、市内への移住促進のため、子育て世帯なども含め空き家に住もうとされる移住者世帯に対し、空き家リフォーム補助を実施するとともに、良質な空き家や空き店舗等を活用したリノベーションを促進することにより、空家等の再生を図り、「住まうビジョン・岸和田」にも掲げた、住環境の改善や地域活性化につなげてまいります。
 基本目標「人と自然が共生した住みよいまち」においては、「岸和田市水道事業ビジョン」に基づき、配水施設等の耐震化及び第3次施設更新事業等に取り組み、災害に強い水道を推進し、今後とも安心して飲むことができる水道水を安定的に供給していくため、水道料金の適正水準を検討するとともに、広域化については令和6年度の大阪広域水道企業団との統合に向けて、検討を進めてまいります。
 公共下水道事業では、広域的視点に立ち、公営企業経営の効率性を確保するため、農業集落排水事業及び特定環境保全公共下水道事業の流域関連公共下水道事業への統廃合に取り組みます。また、汚水処理未整備区域の解消、及び「岸和田市下水道ストックマネジメント計画」に基づく老朽化した下水道施設の維持管理を計画的に進め、安全で快適な生活環境の向上と、より安定的な下水道事業運営に努めてまいります。
 老朽化した市立斎場の建替は、貝塚市との広域連携による共同実施に向けて、令和4年度は、新斎場整備運営事業者の選定を実施しました。令和5年度は、新斎場の基本設計、実施設計を行います。令和8年度の供用開始をめざし、最後のお別れの場にふさわしく、市民の皆様が安心して利用できる施設整備ができるよう、地元関係者の協力も得ながら進めてまいります。
 墓地に対する多様化するニーズを見据え、社会全体で供養する墓地となる、想定7,500体分の合葬式墓地を、令和6年度の供用開始をめざし、整備してまいります。墓苑内のトイレについては、利用者の利便性向上を図るため、既設トイレの集約化を図ったうえで、ユニバーサルデザインに配慮した水洗式トイレに改修工事を行います。
 大門公園については、八木北及び八木地区の住民が一時避難場所として利用できるよう防災施設を備えた防災公園として、また、平時は民間事業者の柔軟な発想によるにぎわいと交流が創出される公園となるよう整備を行います。

 基本目標「にぎわいと活力を創造するまち」においては、企業を誘致し、本市産業の活性化を図るため、成功報酬型の立地促進業務委託にて事業所誘致の活動等を実施するとともに、市内に事業所がない事業者が本市内にてIT関連事業所を新設する場合、開設費用・施設維持費用・事務所移転費用及び新規雇用に対する補助を行うIT関連企業立地促進補助金を創設します。工場用地が不足するなか、他産業への波及効果の高いIT企業や、ビジネス 拠点としてのオフィスの誘致を促進することで、若者の希望する就業先を確保するとともに、市内就労の促進にもつなげてまいります。
 また、「がんばる岸和田」企業経営支援事業補助金のメニュー追加として、市内事業者の省エネ化促進を図るため、おおさかスマートエネルギーセンタ ーを通じて実施する「省エネ最適化診断」等に係る事業者負担分を助成します。
 岸和田中央ライオンズクラブと台湾の嘉義市(かぎし)のライオンズクラブは、姉妹会を締結しており、すでに、経営者同士の交流基盤が存在します。そこで、今後より一層の民間レベルでの産業分野における連携・友好交流を促進するため、岸和田商工会議所と連携して、本市と台湾嘉義市との間で産業交流にかかる覚書を締結します。
 コロナ禍の影響を受けたベイエリアの活性化や魅力向上のためには、集客力の高いイベント実施が求められています。他の自治体との連携を検討の上、泉州沖縄まつり等の開催を支援します。

 基本目標「みんなでつくる持続可能なまち」においては、新庁舎建設については、「岸和田市新庁舎整備基本計画令和4年度改定版」の内容に従って進め、令和10年度の庁舎竣工をめざします。今年度は、公募により庁舎建設の事業者選定を行い、基本計画令和4年度改定版に沿った、本市にとって最適な提案を求めてまいります。
 ふるさと寄附については、貴重な税外収入を確保するため、関係法令を遵守の上、返礼品提供協力事業者の新規開拓、返礼品数の拡充及び返礼品の魅力発信の充実を進めておりますが、新たな返礼品として、市内施設や市内飲食店で利用できる「PayPay商品券」を採用し、税外収入の確保に努めます。
 岸和田競輪場においては、女子トーナメントが加わり、新たに6日制となった「第74回高松宮記念杯競輪G1」の開催により、売上の向上と収益の確保に努めます。
 大学等地域連携事業においては、令和5年2月に締結した「関西大学と岸和田市との連携協力に関する協定」に基づき、令和5年度は、関西大学外国語学部と連携し、実体験を取り入れたゼミ活動を通じて、外国人観光客が本市を訪れるきっかけ作りの役割を果たす観光ツールを作成します。

 以上の内容を盛り込んだ令和5年度の当初予算案は、
一般会計で、                 841 億 4,602 万7千円、
特別会計(5会計)で、  805 億 7,524 万1千円、
企業会計(3会計)で、  394 億 4,353 万円、
財産区特別会計で、          10 億 4,628 万5千円で、
これらを合わせますと、2,052 億 1,108 万3千円となり、前年度と比べ、一般会計で2.4%の増加、特別会計で 6.2%の増加、企業会計で 3.1%の増 加となっています。

 以上、令和5年度の主な取組について、その概要をご説明申し上げました。

 去る11月1日に行われた岸和田市市制施行100周年記念式典のオープニングの書道パフォーマンスでは、岸和田出身の書家「逢香(おうか)」さんに「飛躍」という文字を揮毫(きごう)していただきました。また、市制施行100 周年記念誌は、「未来に繋ぐ100年のバトン」と題しました。
 これまで、本市は、伝統や岸和田らしさを活かした、それぞれの時代に合ったまちづくりを、市民と行政が力を合わせ進めてまいりました。歴史と伝統を大切に活かしつつ、次の100年に向けて、岸和田市がさらなる「飛躍」をするためには、私や市の職員だけでなく、市民の皆様や民間企業等も含めた、多くの人たちの創意工夫を活かすことが大切であると考えます。そのためには多様な連携を強化し、創意工夫を活かせる場を整えていくことが必要 であり、本日、ご説明いたしました取組を実行していくことで、笑顔にあふれ、誰もが“幸せ”を感じる都市“新・岸和田”の実現に向けて、挑戦してまいります。
 誇りと愛着のあるこの岸和田をもっと大好きなまちにして、しっかりと次の世代にバトンをつないでいけるよう全力で取り組んでいく所存です。
 なにとぞ、市民の皆様並びに議員各位の一層の温かいご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

 

   令和5年度施政方針 [PDFファイル/653KB]

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