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令和2年度施政方針

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2020年3月10日掲載

この「令和2年度施政方針」は、2020年(令和2年)3月2日の岸和田市議会定例会において市長が説明したものです。


 本日ここに、令和2年度の予算案及び諸議案をご審議いただくに当たり、市政運営に臨む私の基本的な考え方と予算案の概要について申し述べ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 一昨年、私が初めて市長という重責を担わせていただくことになってから今日まで、あっという間の2年間でした。特にこの1年間は、昨年度末に2019年3月版として取りまとめた行財政再建プランに盛り込んだ市政の抜本的な構造改革のいろいろなメニューについて、具体的な検討に着手し、新しい時代の岸和田市政への再構築をスタートさせた年でありました。
 3年目を迎えた今、市民の皆様とともに岸和田の誇りを取り戻すべく、引き続き議員各位とも十分に議論を重ねながら、市民の皆様の負託に確実にお応えすることが私の使命であると改めて認識し、一つひとつの課題に真摯に向き合って、スピード感を持って市政を前進させていく所存です。

 今年の夏、4年に一度のスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックが東京を中心に開催されます。これに先立ち、聖火リレーが来る4月15日に私たちのまち岸和田市内を巡ることになります。聖火を目の当たりにする子どもたちやスポーツを楽しむ市民の皆様のキラキラと輝く眼差しが早くも目に浮かび、私自身も非常に楽しみにしています。
 そして、2年後の令和4年11月1日に本市は市制施行100周年を迎えます。次の100年を市民の皆様とともに力を合わせて、輝かしい未来を創造していかなければなりません。

 私はこの100歳を迎えようとする歴史ある岸和田市の市長として、いま最優先にやるべきことは、市民の皆様と一緒に取り組む未来志向の行財政改革と考えます。この行財政改革を、私の一丁目一番地の政策として初心を忘れることなく、引き続き最優先に取り組んでまいります。将来の岸和田の発展と成長に向けて、現代に生きる私たちが将来世代に対ししっかりとその責任を果たすため、今こそ勇気を持って必ずや成し遂げるとの気概で取り組んでまいります。

 行財政再建プラン策定に際して私は、将来にわたって持続可能な市政運営を実現するため、施策や行政運営体制のあり方を抜本的に見直すと申し上げてきました。人口減少や少子高齢化の急速な進行など、大きく変化する社会情勢に合わせて施策を再構築し、民間活力の効果的な活用や公民の最適な連携により市民サービスの向上を図らなければなりません。
 その一つが幼児教育と保育のあり方の見直しです。子どもたちや保護者の皆様にとって、より良い教育・保育環境の充実を図ることが何よりも大切でありますが、少子化の影響により幼稚園では小規模化が進み、一方で共働き世帯の増加などによる保育ニーズの高まりから待機児童が発生し、市民の皆様からは早急な対応が求められているところです。
 そこで、私は保育所と幼稚園を一体化するとともに、民間活力を導入しサービスを提供していく体制に改めるべく、昨年末「岸和田市立幼稚園及び保育所再編方針」を策定し、今後の就学前児童に対する教育・保育の考え方や進め方などについて取りまとめたところです。策定に当たっては、多くの市民の皆様から様々なご意見をいただくことができ、今後も引き続き丁寧な説明を尽くしてまいります。
 この基本方針のもと、0歳から5歳までの就学前の子どもたちに対して幼児教育・保育を一体的に進めるため、市立幼稚園及び保育所を集約し、認定こども園へ再編するとともに、民間ならではの自由な発想や特色ある教育・保育に取り組む民間事業者の積極的な参入を進めます。
 また、市立幼稚園及び保育所については、当面民間園と共存を図りつつ、今後の就学前児童数、待機児童数の推移などを見極め、今後進める認定こども園化及び民間活力の導入状況の効果検証を行いながら、引き続き、そのあり方について検討します。
 そして、今後具体的に進めていくに当たり、集約対象とする施設、集約の方法、実施時期等をお示しした「岸和田市立幼稚園及び保育所再編個別計画【第1期計画】(案)」としてとりまとめたところです。新たな認定こども園を設置する候補地として市内3カ所を選定し、令和4年度の開設を目指して、市民説明会の際にいただいた皆様からの貴重なご意見に丁寧に耳を傾けながら、慎重に進めてまいります。その上で、できるだけ多くの民間事業者の参加のもと、自由な発想や提案を募り、事業を実施する法人を決定してまいります。

 次に、持続可能な市政運営を実現するための取組の二つ目として、小中学校の規模の適正化と適正配置の推進です。
 少子化による児童生徒数の大幅な減少や宅地開発等で一部の学校に児童生徒が多く集まるなど、学校間における規模の違いが、子どもたちの教育環境に様々な影響を及ぼしています。児童生徒が集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて一人ひとりの資質や能力を伸ばし、生きる力を育むことができるよう、適正な学校規模を確保し、市内に適正に配置してまいります。
 そのために、「岸和田市立小・中学校の適正規模及び適正配置基本方針(案)」を策定し、現在、市民の皆様のご意見を頂戴すべく、パブリックコメントを実施しています。
 今後は、子どもたちにとってより良い教育環境の整備と、学校教育の充実に向けて、適正な学校規模を実現するための具体的な方策として、「通学区域の見直し」と「学校の統合」の二つの方策で検討してまいります。まずは小規模化による教育環境への影響が懸念される地域から順次取り組んでまいりますが、検討に当たっては、保護者や地域住民の皆様とともに議論を進め、適正化の手法や手順について丁寧に説明しながら進めてまいります。今年の夏頃には、適正化の対象となる学校や関係校が含まれる地域の実施計画、そのうち市内で最初に適正化に着手する学校や地域分についてお示しできるよう、適正化の取組を着実に実施してまいります。

 持続可能な市政運営を実現するための取組の三つ目は、負担の公平性の確保に向けた取組です。
 税や保険料、保育料などは、市民の皆様に所得や受益に応じて相応のご負担をお願いしています。法律や例規に基づき適切に皆様から徴収させていただいていますが、いずれも未納となっているものがあり、これら市の債権を適正かつ効率的に管理することが課題となっています。平成30年3月に「岸和田市債権管理条例」を制定し、市の債権を一元的に管理し、適正に事務処理することといたしました。来年度からは、財務部納税課内に債権管理担当を設置し、これまで以上に、適正な管理と未収金対策の強化に努め、財政の健全化と市民負担の公平性確保に取り組んでまいります。

 四つ目の持続可能な市政運営を実現するための取組は、広域行政の推進です。
 今後の人口減少社会においては、行政サービスのあり方そのものを見直すことに加えて、行財政運営の徹底的な効率化が求められます。そこで、広域行政の推進や広域的事務処理に向けた検討を具体的に進めてまいります。
 一つは、複雑多様化する消防需要に広域で対応し、消防サービスの向上を図るため、忠岡町と消防指令業務の共同運用を進めてまいります。火災や救急の通報を受けて出場指令を出す指令センターを共同で運用することで、両市町の境界をまたいで現場に最先着できる隊に自動的に指令ができ、また、出場可能な隊がない場合には相互補完することができるなど、両市町の住民サービス向上が期待できます。広域化することで国の財源措置を最大限活用し、整備に係る経費など財政面での負担軽減を図りながら、令和3年4月1日の運用開始を目指して共同整備に取り組んでまいります。
 もう一つは、老朽化した市立斎場の建替えに際し、貝塚市と広域連携について引き続き共同実施の具体化に向けた検討を進めてまいります。検討に当たり、両市共同で建設、運営に関する事業手法の検討や生活環境調査等を実施しつつ、地元の皆様にも丁寧に説明しながら進めてまいります。
 他にも、し尿処理、水道事業などの業務の広域化や共同化の可能性について、市民の皆様の安全と安心、利便性の向上を最大の目標としつつ、多角的な検討を引き続き進めてまいります。

 持続可能な市政運営を実現するための取組について主なものを申し上げましたが、これ以外にも公民館や市営住宅といった公共施設全体について、利用状況の変化等を踏まえた総保有量の適正化や適正配置を進める公共施設マネジメントの取組を強化するなど、行財政の構造改革に引き続き取り組んでまいります。そして、これらの取組を確実に実施しつつ、安定した財政運営を着実に進められるよう、「岸和田市健全な財政運営に関する条例」を制定いたします。財政運営に当たっての基本理念や基本方針を条例という形で明確に規定することで、社会環境の変化に適切に対応し、限りある財源を効率的、効果的に活用しながら、将来にわたり健全で自律した、規律ある財政運営を目指してまいります。

 以上、持続可能な市政運営を実現するための抜本的な構造改革に取り組むとともに、行財政再建プランのもう一つの目標である直面する収支不足に対応するための取組も引き続き継続してまいります。先ずは私自身が自ら身を切る改革に取り組むべきとの考えから、既に実施している給料月額35%削減の継続をはじめとして、特別職、管理職、一般職員にわたるすべての職員が痛みを感じながら、全員が身を切る改革に取り組んでいます。その上で、施設の管理運営コストの削減など社会情勢の変化に伴い時代に合わなくなっている施策の見直しや、公民の連携による市の役割の最適化、行政サービスのあり方や行政運営体制を徹底的に検証しながら再構築してまいります。併せて広告収入や公共施設への自動販売機設置促進、ふるさと寄附の増額など、歳入確保に向けた取組も引き続き強化してまいります。
 以上の内容を含めてこれまでの取組を検証し、プランの適正な進捗管理を行った上で、追加の取組を加えた行財政再建プランを2020年度版に更新してまいります。プランに基づく改革の取組を着実に実行することで、当面の収支不足の早期解消に努めてまいります。行財政改革の推進は、重要施策の実現に必要な資金の確保につながり、その貴重な資金は、「まちづくりビジョン第3期戦略計画」に位置付けた、本市が重点的に取り組んでいく7つの目指す成果を中心に、「選択と集中」の視点をもって活用することとし、効果が目に見える市政運営に努めてまいります。

 次に、市民サービスの向上と魅力あるまちづくりを実現する上で、市政の最重要課題となるもののうち、令和2年度予算案に計上し、順次取り組んでいく主なものについて、その概要をご説明いたします。
 まず、老朽化し耐震性に課題のある市庁舎の建替えについてです。現庁舎位置で建替えを行うに当たり、今年度は基本計画づくりを行ってまいりました。この基本計画をもとに進める設計と施工については、その一元化によるコスト低減と工期短縮が期待できること、設計段階から施工者のノウハウや技術力の活用が期待できることや、市民や行政の意見を反映できることなどメリットが多いため、設計と施工を同一の業者又は共同事業体が事業を行うデザインビルド方式で進めてまいります。この手法を採ることは、令和2年度中に実施設計に着手することが条件となる市町村役場機能緊急保全事業による起債の活用も可能となり、市財政にとっても望ましい手法であります。
 令和2年度は、このデザインビルドの事業者を選定いたしますが、選定に当たっては広く公募を行うとともに、デザインビルドについての見識が高い学識経験者にアドバイスをいただきながら、建築や都市計画に精通する専門家と経験豊かな建築家を審査員とする審査委員会にて選考し、デザインのみならず、市民の皆様の利用のしやすさ、防災への備え、経済性、環境への配慮などの視点で、本市にとって最適な事業者を選定してまいります。
 また、もう一つの候補地であった福祉総合センター敷地については、駅前という立地特性から商業利用による活用を通してにぎわいのあるまちづくりを目指すべきと考え、ホテルの誘致について具体的に金融機関やデベロッパーへのヒアリングを行い、その可能性について探ってまいりました。
 来年度は、ホテル事業を核とした事業展開を条件とする事業提案公募の実施に向けて、土地の境界確定等の準備を行い、手続きを進めてまいります。

 次に、教育、子育ての充実に向けた取組です。
 本市の抱える喫緊の課題として、児童生徒の学力や体力の向上が挙げられます。本市の未来を担う子どもたちが「知・徳・体、調和のとれた人づくり」をもとに、夢や希望を持って自己実現に向けて努力し、心豊かでたくましく生きることができるよう、教育の課題に正面から取り組んでまいります。
 本市の児童生徒の学力状況は、危機的状況にあると感じています。特に成績下位層の割合が高いという本市の特徴から、基礎的・基本的学力に課題のある児童生徒への対策強化により、全体的な学力の底上げを図ってまいります。そのために、市独自の学力調査を継続実施し、調査結果からわかってきた学力課題を授業や指導の改善、個別課題への対応に活かしつつ、民間の教育関連事業者の力を活用して、基礎学力の向上を図る放課後学習指導を前年より大幅に拡充して実施してまいります。
 学力だけではなく子どもたちの体力にも課題があります。本市の児童生徒の体力状況は、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」において、全国平均よりも低いという結果がでています。一方で、私は行財政再建プランの中で、公共施設マネジメントの取組強化として、老朽化が進む市民プールの集約再編を掲げました。この市民プールの再編を進める中で、同時に子どもたちの体力の向上、体育の充実を図れないかと考えました。
 学校の水泳授業を市内にある民間の屋内プールで実施することで、天候に左右されることなく、年間を通して水泳の授業が確実に行え、民間事業者の専門的な技術指導も可能となります。この岸和田の子どもたち全員を泳げるようにする「みんな泳げるプロジェクト」を始動し、水泳を通じてすべての児童生徒の身体機能や体力の向上を図ってまいります。まずは、小学校2校、中学校1校で試行実施し、その効果について検証してまいります。
 この他にも、教育、子育てに関しては、重点的に取り組んでまいります。
 まず教育に関して、子どもたちの個性や能力に応じ、等しく教育の機会が保障されていなければなりません。学習や生活面で特別な支援を必要とする子どもたちは、ここ数年確実に増加しています。障害のある人も障害のない人も共に学び合う仕組みであるインクルーシブ教育の視点で、通常の学級に在籍する支援を必要とする児童生徒たちの学習環境を充実してまいります。具体的には、小中学校に配置している特別支援教育支援員について、公認心理師など教員とは異なる専門性を有する人員を新たに5名配置するとともに、児童生徒の医療的ケアを行うための看護師1名を増員し、中学校にも配置することで、子どもたちの安全で安心な学校園生活を支援してまいります。
 また、中学校の部活動について、現状では約4割の教員が専門外又は経験のない部活動の顧問として指導に当たっています。スポーツ、文化、科学等に関する技術的な指導を行うことは、これらの教員の心理的負担になっているだけでなく、適切な練習法の導入や正しい理解に基づく効果的な指導が困難な状況です。
 そこで、特に専門的スキルが要求される部活動について、教員に代わる専任指導者として外部の指導員を配置します。まずは中学校2校へ配置し、その効果検証を行ってまいります。
 次に子育てに関してです。共働き世帯の増加などにより保育に対する需要が高まる中、保育施設に入所を希望される方へ入所選考結果をいち早くお知らせすることは、子育て中の保護者の皆さんが安心して働ける環境づくりにつながります。しかし、保育所入所選考には多くの要員と膨大な作業時間がかかっているのが現状です。一方で、近年の情報技術、とりわけAI技術の進歩により、入所選考AIが開発され、その実績が全国で示され始めています。そこで、本市においても入所選考AIを積極的に導入することで作業時間を大幅に短縮し、入所選考結果を早期通知できるよう努めてまいります。結果を待たれる保護者の皆様の就職や休業からの復帰に対する不安を軽減することができるとともに、待機児童の保護者の皆様がすぐに次の施設入所の検討が始められることで入所機会の拡大につなげてまいります。
 また、出産・退院直後に、支援が必要な母子を対象にショートステイやデイケアの利用を通じて、母親の心身のケアや育児サポートを行う産後ケア事業を推進します。助産師などの専門職が心身の不調や育児不安を抱える産後の母と子を支援し、安心して出産、子育てができるよう支援してまいります。
 さらに、最も身近な市役所で、すべての子どもとその家庭及び妊産婦の福祉に関する支援を行っていくため、国の令和4年度末までという設置目標より先行し、「子ども家庭総合支援拠点」の整備を進めます。
 子ども家庭総合支援拠点は、支援が必要な家庭と地域のリソースや必要なサービスを有機的につないでいくソーシャルワークを中心とした機能を担っています。子育て世代包括支援センターなどと連携して、乳幼児や妊産婦の方たちを取り巻く実情の把握に努めるとともに、必要な情報の提供を行い、これら家庭からの相談に応じるなど、総合的、専門的に支援してまいります。
 また支援拠点では、虐待をはじめとする課題を抱える子どもと家庭への相談体制を強化し、児童虐待の発生予防、早期発見、早期対応、並びに重症化や再発の防止を図ってまいります。
 そして、子ども家庭総合支援拠点を設置することで、子どもと家庭へのサポートを積極的に推進し、応援するという本市の姿勢をより明確に示すため、現在の「子育て応援部」を「子ども家庭応援部」に名称変更すべく、関連条例の改正案を本定例会に提出させていただいたところです。

 次は、まちのにぎわいづくりに向けた取組です。
 地域のにぎわいを創出するためには、定住人口の増加とともに、観光を中心として、人々の往来を活発にし、活気を生み出すための交流人口増加に向けた取組が必要です。近年の関西国際空港を利用する訪日外国人観光客は増加の一途をたどり、今後も、2025年大阪・関西万博の開催や世界最高水準の成長型IRの誘致など、世界中から関西、特に大阪・ベイエリアに人々が押し寄せてくることが予想されます。これは、本市にとって大きなチャンスであり、外国人旅行者に岸和田に立ち寄ってもらう、その取組を官民の協力の下で進めていかなければなりません。
 本市には、岸和田城や国指定名勝である岸和田城庭園(八陣の庭)など、日本の歴史や文化を感じることができる観光拠点をはじめ、訪日外国人の方々に対して訴求力がありポテンシャルが高い観光資源がたくさんあります。これらの価値を高め、知ってもらい、体験された方自身に発信してもらうことが必要です。
 今年度は、民間旅行会社のノウハウを活かし、外国人観光客をお城に送客いただいて、隅櫓(やぐら)で映像を観てもらったり、甲(かっ)冑(ちゅう)を着て記念撮影を楽しんでもらってお城の魅力をSNSで発信してもらう事業を行っていますが、来年度はこれらを継続させながら、天守閣での茶会の開催など新たな取組も行い、また、中国や台湾で人気のブロガーを招へいして、魅力のさらなる認知度向上を目指します。また、パンフレットやリーフレットの多言語化の拡充、岸和田駅からお城までのルート上の観光案内サインの設置など、受入環境の強化を図り外国人観光客の利便性、周遊性の向上に努めます。
 今年度は、貿易をめぐる日韓の問題が旅行者の減少をもたらし、また新型コロナウィルスの拡大が本事業の推進に影響を及ぼしているところですが、一つひとつの取組の効果検証も行いながら、引き続き取り組んでまいります。
 そして、臨海部においては昨年、「みなと」を核とした住民参加による地域活性化の拠点として「みなとオアシス岸和田」が登録されました。この登録を記念して、「岸和田港まつり」を夜の花火大会だけでなく、日中から様々なイベントと連動させながら「みなとオアシス岸和田 登録記念 岸和田港まつり」として実施いたしました。大変ご好評をいただきましたが、花火の打ち上げは、会場周辺における防火保安上の安全確保に課題が残るため、今後の継続実施は困難との判断に至りました。そこで、これに代わるものとして、ウォーターフロントの特性を生かしたエンターテインメント性の高いイベントにリニューアルして開催することといたします。みなとオアシス周辺を会場に、大阪湾岸では初の試みとなる、音と光、映像を駆使した、夜空を鮮やかに彩る光のエンターテイメントショーとして開催いたします。日中には、昨年と同様に、みなとオアシス岸和田の構成団体である漁業組合や岸和田カンカンベイサイドモールなどの民間事業者だけでなく、NPOを含む各まちづくり団体とも連携し、一日中楽しめるイベントとして実施してまいります。
 さらに、令和3年度開催予定の、世界最大級の生涯スポーツの総合競技大会であるワールドマスターズゲームズ2021関西における自転車(BMX)競技開催に向けた準備を進めるとともに、プレ大会を開催するなど、市民のスポーツへの関心を高め、大会の気運醸成に努めてまいります。
 併せて、岸和田競輪場の施設整備については、岸和田競輪場施設整備計画に基づき、整備を進めます。具体的には、安全な自転車競技の運営のため、選手管理棟の新築工事を進めるとともにサイドスタンドの耐震補強工事やバンクの大規模改修を実施してまいります。また、施設整備中のため本場での競輪開催ができない状態ですが、主要競輪では初めての試みとして、和歌山競輪場を借り上げて「岸和田競輪開設71周年記念競輪(G3)」を開催するなど、収益の確保に努めてまいります。

 次に、日本一災害に強いまちづくりに向けた取組です。
 300年の伝統を誇るだんじり祭をベースとして培われた地域の結びつきや強固なコミュニティは、本市の誇るべき財産でありますが、これを最大の強みとして、市民の皆様と一緒に日本一災害に強いまち岸和田を創造してまいります。
 昨今、全国各地で発生する自然の猛威による被害に対し、大規模な災害につながらないよう、また災害が発生しようとも機能不全に陥らない強さと、速やかに回復するしなやかさを持った強靭な岸和田市を作り上げる必要があります。国が定める国土強靭化計画と歩調を合わせ、本市と国及び大阪府が機能連携した岸和田版の国土強靭化地域計画を策定してまいります。
 この計画は、人命の保護が最大限に図られること、市及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること、市民の財産及び公共施設の被害を最小限に食い止めること、そして被災後の復旧復興が迅速に行えることを目指した総合的で全庁横断的な計画として策定いたします。
 また、大規模自然災害により水道管が破断され、消火栓が使用できなくなった場合に備え、防火水槽の補修や長寿命化工事を年次的に実施し、火災等による被害の軽減、消防水利機能の充実を図ってまいります。
 さらに、災害発生時に避難所となる山直市民センターの機能強化を図ります。具体的には、台風等による停電時でも安全に過ごすことができるよう、避難者を受け入れる部屋に停電時用LED照明やコンセントを設置した上で、水道やトイレの使用も可能となるだけの電力を、現行の発電設備を活用することで確保いたします。これにより、市内の主要な指定避難所のすべてで非常用電源が確保できることとなり、避難所機能の強化につなげます。

 次に、まちの成長や人々の移動を円滑にする基盤整備に向けた取組です。
 まず、まちの成長には道路網の充実、そして市民の皆様が安心・安全に移動できる交通網の整備が重要です。中でも市内中心部を南北に縦断する都市計画道路泉州山手線の早期完成は、交通渋滞の緩和とともに地域の活性化をもたらし、沿道のまちづくりに大きく寄与するものです。
 昨年、大阪府においては、事業着手工区として、本市の磯之上山直線から岸和田中央線までの約2kmの区間が提示されており、早期着手に向けて、事業用地の土地境界調査を実施します。また、地元関係者の皆様のご協力をいただきながら、沿線3地区において、沿道まちづくりに取り組んでまいります。特に、山直北地区や光明地区においては、区画整理事業等の手法についての調査や、誘致企業の状況調査などを実施するとともに、都市計画手続きなど、事業の具体化に向けて調整を図ってまいります。
 また、泉北高速鉄道の延伸については、これまで、その必要性を大阪府に対して十分に説明し、協議を重ねてまいりましたが、その甲斐もあって、昨年11月の大阪府公共交通戦略の改訂において、岸和田市が検討する構想路線として新たに記載されました。今後、泉北高速鉄道延伸の実現に向けて、泉州山手線の整備とまちづくりの進捗に合わせた検討を引き続き進めてまいります。
 次に、地域の拠点であり、人々の移動の起点となる駅周辺の利便性の向上やにぎわいづくりを進めるため、JR久米田駅周辺において「久米田駅東西アクセス改善基本構想」に基づき、引き続き駅周辺道路及び駅西側改札の整備を進めてまいります。さらに南海春木駅周辺においても市道整備を進めるなど、安心・安全な都市空間の創出を進めてまいります。
 また、新たなまちづくりの拠点として整備を進めている丘陵地区のゆめみヶ丘岸和田については、住宅販売が堅調に進んでいますが、引き続き企業誘致や市有財産の売却、住宅地販売のさらなるPR促進など、岸和田市丘陵地区土地区画整理組合と連携しながら、周辺環境と調和した地域拠点の形成を進めてまいります。

 次に、限られた社会資源を効率的、効果的に活用した行政運営に向けた取組です。
 近年見られる技術革新により、現在の「情報化社会」に次ぐ5番目の新しい社会と言われる「Society(ソサエティ)5.0」の時代に向けて、世の中は着実に変容しつつあります。Society5.0ではAI、ロボットを中心とした先端技術があらゆる産業や国民生活に取り入れられ、社会的課題の解決と経済発展が両立した社会の形成が進むとされています。
 そこで、定型業務の自動化を行う技術であるロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を活用し、まずは税務業務の一部に導入してまいります。具体的には、昨年度に試用版による実証実験を実施し、7割以上の工数削減効果がみられた市民税課の2業務をはじめとして、導入可能な業務での自動化を進めていき、そのすべてで7割以上の工数削減を目指します。

 次は、次期総合計画の策定及び都市計画マスタープランの改定についてです。
 これまで述べさせていただいた取組は、岸和田市自治基本条例の理念を具体化した本市の総合計画である岸和田市まちづくりビジョン(第4次岸和田市総合計画)に基づき、計画的に進めてまいります。令和5年度からの次期総合計画及び都市計画マスタープランについては、改定に向けた検討作業に着手するとともに、策定に当たっては「市民みんなの総合計画」とすべく、幅広く市民の皆様と議論を重ね、共に岸和田の未来を語り合い、みんなでまちへの思いを共有しながら公民協働で作り上げてまいります。

 最後に、冒頭申し上げたとおり、本市は大正11年11月1日に市制を施行し、令和4年に100周年を迎えます。まずは、キャッチフレーズやロゴマークを一般募集するなど周知に努めるとともに、市民の皆様のアイデアを募ることで気運を醸成しつつ、みんなで祝う、新しい時代につながる記念事業として実施してまいります。そして、100周年という大きな節目を迎えるに当たり、これまで本市の歩んできた歴史と文化、伝統を見つめ直し、郷土に対する愛着と誇りを深め、市民自治都市の実現に向けた更なる飛躍と発展の契機としてまいります。
 そしてこの100周年を目前に控えた今、市民の皆様の国際理解を深めつつ、市民レベルで更なる国際交流、経済・文化交流が発展し、観光や産業の振興にもつながるような取組の準備を進めています。
 産業界との連携・協力のもと、海外の都市との交流を積極的に推進し、相互理解と信頼をベースとしつつ、防災面でも国際相互協力を進めるなど、お互いのまちにとってプラスとなる新しい友好姉妹都市関係を構築できるよう、積極的に海外の都市に向けて本市の魅力を発信してまいります。
 大阪・関西万博の開催やIRの誘致も念頭に、私自身も地道に人脈を広げ、道筋を作ることに努めております。今後、複数の国との交流を視野にいれながら、まずは、本市との共通点も多くあるフランスの都市との友好姉妹都市締結を目指してまいります。本年11月にフランスで開催される日仏自治体交流会議に出席し、本市の魅力をPRするなど積極的にアプローチを行い、確実に締結につなげてまいります。

 以上の内容を盛り込んだ令和2年度の当初予算案は、
 一般会計で、 756億4,634万6千円、
 特別会計(5会計)で、603億 782万円、
 企業会計(3会計)で、364億9,920万6千円、
 財産区特別会計で、 10億9,687万1千円で、
 これらを合わせますと、1,735億5,024万3千円となり、前年度と比べ、一般会計で1.6%の減少、特別会計で4.3%の減少、企業会計で5.6%の減少となっています。

 以上、令和2年度の主な取組について、その概要をご説明申し上げました。

 令和という新しい時代が幕を開け、私たちのまち「岸和田」も新時代にふさわしいまちとして、これまで以上に発展を続けなければなりません。そして次の100年に向けて礎となるようなまちづくりをしっかりと進めていく責任が、現代を生きる我々にはあります。
 愛する郷土「岸和田」への誇りを胸に、先人たちから受け継いだ進取の精神で新しい課題や今後直面するであろう、いかなる難局も一つひとつ克服してまいります。慣習や旧来の発想にとらわれることなく、新時代にふさわしい発想と知恵と創意工夫を凝らしながら、必ずや解決策を見つけ出し、乗り越えていく覚悟で市政運営を行ってまいります。

 市民の代表者である市議会の皆様は選挙によって選ばれ、市民の皆様に代わって話し合いをする、それが議会政治であり、民主主義の基本であります。同じく、民意を得て市の代表として市政を託された市長である私と、立場は違っても、「岸和田を今よりももっともっとよくしていこう」という思いは共通であります。皆様とはこの議会の場で、岸和田の成長、市民の皆様の豊かな暮らしのために、大いに議論を尽くしてまいりたいと考えております。
 そして、市民の皆様に対しては、時間をかけて丁寧に説明を尽くしながら、誰もが夢と希望を持って、ふるさと岸和田で安心して豊かに暮らせるよう、引き続き全身全霊を尽くしてまいります。

 なにとぞ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。


Danjiri city kishiwada