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令和3年度施政方針

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2021年3月10日掲載

この「令和3年度施政方針」は、2021年(令和3年)3月4日の岸和田市議会定例会において市長が説明したものです。


 本日ここに、令和3年度の予算案及び諸議案をご審議いただくに当たり、市政運営に臨む私の基本的な考え方と予算案の概要について申し述べ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 私が市長に就任させていただきましたのは、平成30年2月4日でした。それからは、市民の皆様のご期待に応えるべく、重責を感じながらも、一歩ずつ、前に進み続けた3年間でした。昨年初めからは、日本国内においても拡大を見せ始めた新型コロナウイルス感染症の影響で、今では、社会状況が大きく変化することとなってしまいました。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、現在療養中の皆様の一日も早いご回復を願っております。また、医療従事者や日常生活における必要不可欠な仕事を担っておられるエッセンシャルワーカーの皆様をはじめ、すべての方々に深く感謝を申し上げます。

 本市では、国からの支援を遅滞なく市民の皆様にお届けするため、令和2年5月1日付けで、特別定額給付金担当を設置し、速やかな対応を行いました。また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用については、国が示した、「事業継続等への対応」、「新しい生活様式等への対応」という考え方を受けて、本市独自の対応を推進するに際し、3本の柱を設定いたしました。「1.市民を守る~市民生活の支援~」として、学用品費等を援助する就学奨励費について、仕事先の臨時休業などによって収入が減少した世帯への対象拡大、市内小・中学校全児童・生徒数分のタブレット端末の整備推進、普通ごみ指定袋600リットル分の無料引換券配布、水道料金のうち基本料金の4か月減免など、「2.経済を活かす~地域経済の活性化~」では、府市共同事業として休業要請支援金の支給、市内消費喚起促進のためのPayPayやauPAYなどのキャッシュレス決済時の市独自ポイント還元など、「3.市民の利便性の向上~行政サービスの変革~」として、市民センター及び市立公民館に、Web会議システムを利用して、生涯学習に関する講座等にオンラインで参加できる環境の整備、公共施設のオンライン予約システムの整備、市税等に係るスマートフォン決済の環境整備などの事業を進めることで、市民の皆様のくらしを支えてまいりました。

 これまで、普通に実施できていたことができなくなり、ソーシャルディスタンスなどの新しい生活様式の下で、市民生活はもちろん、行政のスタイルも大きく変わりつつあります。現在も、新型コロナウイルス感染症は終息を見せず、新年度についても、いきなり、課題を抱えたままのスタートになることが予想される中、ますます行政のあり方が問われてまいります。国は何をすべきか、府は何をすべきか、そして、市は何をすべきか。市としては、市が行うべき事業を着実に推進するとともに、国の施策・府の施策を確実に市民や事業者の皆様へおつなぎすることで、命とくらしを守ってまいります。

 対策の一つとなる新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種について、本市では、令和3年2月1日付にて、健康推進課に新型コロナワクチン接種担当として、7名の兼務職員を配置し、対応を進めております。国が決定する接種順位に従い、できるだけ速やかに市民の皆様に対して接種を行ってまいります。

 市長として、任期の最終年となる4年目を迎えるにあたり、市民の皆様の負託に確実にお応えするために、これまで以上に、議員各位とも十分に議論を重ねながら、こうした課題を解決していくべく、さらなるスピード感を持って市政を前進させていく所存です。

 ご存知のように、本市は、令和4年(2022年)11月1日に市制施行100周年を迎えます。先人の努力でつくり上げてきたこの歴史と伝統ある岸和田市を受け継ぐとともに、将来の市民のために、次の100年へ向けて新たなスタートを切って、市民の皆様とともに力を合わせて、素晴らしい未来を創っていかねばなりません。

 これまで私は、岸和田市の市長として、本市の厳しい財政状況を改善するため、行財政改革を最優先に取り組んでまいりました。この取組は、収入の環境が急激に悪化しても、予期しない災害に見舞われても、これからの岸和田市の新たな行財政ニーズに柔軟に、かつ安定的に応えていくためのものであります。市民の貯金とも言える財政調整基金の取り崩しを当てにしない財政構造を築くためには、いまだ、道半ばでございますので、今後も、市民の皆様のご協力を得ながら、引き続き行財政改革に取り組んでまいります。そして、次の100年を迎えた時、今の我々の取組があったから、岸和田市が豊かになっている、そう言ってもらえるように、しっかりとした施策の実現に努めてまいります。

 平成31年3月策定の「行財政再建プラン」では、令和3年度までの間を集中改革期間とし、途切れることなく、抜本的な行財政改革の取組を実施し、持続可能な市政運営を実現することを目標としております。

 このプランでは、「市民生活の安定を確保するとともに、市民サービスの向上と魅力あるまちづくりを実現する」ことが行財政改革の真の目的であるととらえ、人口減少や少子高齢化の進行で、大きく変化する社会情勢に対応するため、行財政運営体制のあり方を見直し、民間活力や公民連携を有効に活用することで、市民サービスの向上を図ってまいります。

 その一つは、幼児教育と保育のあり方の見直しです。本市においても、幼稚園の就園率の低下、保育所の待機児童の発生、施設の老朽化等、様々な課題が生じており、早急に解決する必要があります。私は、子どもたちや保護者の皆様にとって、より良い教育・保育環境の充実を図りたいとの思いで、民間活力を積極的に導入し、公と民が連携・協力してサービスを提供していくため、「岸和田市立幼稚園及び保育所再編方針【令和2年10月改定】」を策定いたしました。

 再編にあたっては、これまでの枠組にとらわれず、幼稚園と保育所を就学前施設として一体的にとらえ、これまで本市が行ってきたまちづくり、コミュニティ意識を活かしながら、それぞれの地域特性を踏まえたうえで、教育・保育環境の充実を図るため、3次生活圏ごとに市立幼稚園及び保育所を集約し、順次、幼保連携型認定こども園に再編いたします。このことで得られる財源については、教育や子育てに関する施策に還元し、その充実・向上に努めます。

 このような市立幼稚園及び保育所の再編を進めるにあたって、具体的な内容をお示しするため、「岸和田市立幼稚園及び保育所再編個別計画【前期計画】(案)」を策定しました。今後も引き続き、待機児童の解消とより良い教育・保育環境の充実に取り組んでまいります。

 二つ目は、小・中学校の規模の適正化と適正配置の推進です。

 現状の市立小・中学校においては、児童・生徒数がピーク時の約半数にまで減少し、単学級の学年も増加するなど、学校の小規模化が進んでおり、今後の人口推計からも、この状況が一層進むものと見込まれています。

 学校の小規模化が進むことで、クラス替えができないことによる人間関係の固定化や、多様な考えに触れる機会の減少、さらには学校の規模に応じて配置される教員の数の減少など、子どもたちの教育環境や学校運営において、様々な影響を及ぼしており、これらの解消が喫緊の課題です。

 このような中、直面する課題を先送りすることなく、子どもたちがより良い教育環境の下で学校生活を送り、これからの社会を生きていく力をしっかりと身につけられるよう、早急に適正規模・適正配置の取組を進める必要があります。このため、令和2年3月に「岸和田市立小・中学校の適正規模及び適正配置基本方針」を策定し、令和2年7月には、市内8か所で説明会を開催し、ご意見をいただきました。

 さらに、適正化の手法や手順に加え、優先的に進める適正化対象校や関係校をお示しした「岸和田市立小・中学校適正規模及び適正配置実施計画(第1期)(案)」を取りまとめました。今後は、この実施計画(第1期)(案)の成案化と、新たな学校の開校を目指すそれぞれの地域における保護者や地域住民の代表等で構成される(仮称)学校開校準備委員会の設置に向け、関係する小・中学校の保護者や地域住民の皆様にご理解・ご協力を得られるよう、十分な説明と意見交換を重ねてまいります。

 また、閉校予定となる学校の施設や跡地についても、地域住民の皆様からのご意見をいただきながら、あらゆる利活用策を検討いたします。

 三つ目は、公民館及び青少年会館の再編、そして、社会体育施設の再編です。

 まず、公民館及び青少年会館についてですが、社会教育は、学びを通じて個人の成長を期するだけでなく、他者との交流を通じて、地域コミュニティを強固なものにするという役割があります。しかし、近年の人口減少、共働き世帯の増加、高度情報化社会の進展など、社会情勢の著しい変化に伴う学習形態の変化や多様化等の影響で、利用者数は減少傾向にあり、1日あたりの利用可能人数に対して、利用者数は大きく下回っております。こうした現状や施設の老朽化、耐震性の欠如及び本市の厳しい財政状況も勘案したうえで、「岸和田市立公民館及び青少年会館再編基本方針(案)」を策定いたしました。この基本方針(案)には、「市民の生活圏を踏まえた施設の再編」、「市民の学習環境の整備と学習機会の提供」、「計画的な施設の保全・改修のための財源確保」の三つの指針に沿って再編等に取り組んでいくことを盛り込んでいます。

 今後は、公民館の配置状況や老朽化度、今後の建替や大規模改修に係る費用等の現状を分析し、施設の管理形態においても見直しを図るなど、引き続き庁内での協議を深め、小・中学校の適正規模・適正配置の取組と整合を図りつつ、個別施設計画の策定を進めてまいります。

 社会体育施設についても、人口減少や少子高齢化の進展、市民の価値観や活動の多様化、民間事業者の進出などの影響で、取り巻く環境は大きく様変わりしました。また、本市の社会体育施設の大半は老朽化が進行しており、今後、次々と更新や建替の時期を迎えることとなります。厳しい財政状況の下でも、本市の社会体育施設が、将来にわたって利用者の安全・安心を最優先に、求められる機能を十分に果たしていくために、「岸和田市立社会体育施設再編基本方針(案)」を策定いたしました。

 これについても、今後、市民の皆様からのご意見を踏まえつつ、個別施設計画を策定してまいります。

 四つ目は、広域行政の推進です。人口減少が進行する中、生産年齢人口の減少による税収減や高齢者人口が増えることによる社会保障費の増加、さらには、公共施設の老朽化など、今後、様々な行政課題の発生が見込まれることから、自治体には安定的な経営が求められます。このような課題に的確に対応し、持続可能な自治体経営を構築するためには、行政サービスのあり方そのものを見直すことに加えて、行財政運営の徹底的な効率化が求められます。そこで、広域行政の推進や広域的事務処理に向けた検討を具体的に進めてまいります。

 かねてから進めていた、忠岡町との消防指令業務の共同運用については、令和3年2月26日に岸和田市消防本部内に岸和田市忠岡町消防指令センターを設置し、忠岡町と共同での消防指令業務の運用が始まりました。これからは、両市町の境界付近で発生した災害では、岸和田市、忠岡町の管轄にとらわれず、災害現場に最も早く対応できる隊に自動的に出場指令を行うことが可能となり、これまで以上に迅速な対応ができます。また、一方の消防本部において出場が集中し、対応が困難になった場合、自動的に、もう一方の消防本部の隊に出場指令を行うことができるため、今まで以上の防災体制となるうえに、整備に係る経費など財政面での負担軽減を図りながら、両市町の住民サービス向上を図ることができます。

 次に、老朽化した市立斎場の建替についてですが、貝塚市との広域連携による共同実施に向けて、事業を進めているところです。令和2年度には、基本協定書締結、地元町会への説明、基本計画策定、基本合意書締結と歩を進めてまいりました。今後は、事業方式の決定を行ったうえで、新斎場予定地の地質調査を実施し、基本的条件を明確にすることで、事業者募集の準備を行うとともに、都市計画変更に向け、進めてまいります。両市共同で行うことで、スケールメリットを活かし、コスト削減や効率的・効果的な運営を目指します。人生の終焉、最後のお別れの場にふさわしく、そして将来の火葬需要に対応し、市民の皆様が安心して利用できる施設整備ができるよう、地元の協力も得ながら、滞りなく進めてまいります。

 また、老朽化が著しい天の川浄苑で処理している本市のし尿等について、大阪府のし尿処理広域化推進計画に基づき、協議等必要な手続きを進めてまいります。

 さらに、令和3年1月19日には、泉州地域都市制度勉強会を発足させました。泉州地域においては、関西国際空港に近いという利点があるものの、通過点となってしまっている現状があります。「2025年大阪・関西万博」を契機に、活性化が期待される中、泉州地域においても、これまで以上に交流人口や関係人口の増加に向けた取組を強化し、泉州地域全体を活性化させる必要があります。そこで、泉州地域における「連携による自治体経営」が必要であるという共通認識のもと、岸和田市・泉大津市・泉佐野市・和泉市・高石市・泉南市・阪南市・忠岡町・熊取町の7市2町合同で泉州地域都市制度勉強会を立ち上げました。この勉強会では、人口減少が加速し、地方分権の推進、広域的な行政需要が増大する中で、住民サービス水準の維持・向上を図りながら、持続可能で自立性の高い自治体経営を構築していくための有効な手段について研究していきたいと考えております。

 他にも、水道事業などの業務の広域化や共同化の可能性について、市民の皆様の安全と安心、利便性の向上を最大の目標としつつ、引き続き、多角的な検討を進めてまいります。

 以上、持続可能な市政運営を実現するための抜本的な構造改革に取り組むとともに、さらに、行財政再建プランのもう一つの目標である「直面する収支不足に対応するための取組」も継続してまいります。

 私自身が自ら身を切る改革として取り組み、退職手当の全額カットのほか、給料月額については、平成30年4月から30パーセント、平成31年4月からは35パーセント削減を実施し、特別職、管理職、一般職員にわたるすべての職員においても、給与削減を継続し、痛みを感じながら、全員が身を切る改革に取り組んでいます。

 併せて、歳入確保につながる取組についても引き続き推進してまいります。特に、ふるさと寄附については、令和2年度の寄附額が令和2年12月31日時点で、11億円を超える好調な状況で、令和元年の同月時点と比べますと、約8億7千万円の増加となっております。引き続き、関係法令を遵守し、返礼品のご協力をいただける事業者を増やし、特色ある返礼品の新規開拓、品数の拡充など、ふるさと寄附の制度を有効に活用することで、歳入を確保するとともに、本市の魅力発信にもつなげてまいります。

 また、施設利用者の利便性向上、市有財産の有効活用による自主財源の確保を目的として、市有施設への自動販売機の設置推進など、歳入確保に向けた取組を推進してまいります。

 以上の内容を含めてこれまでの取組を検証し、プランの適正な進捗管理を行うことで、持続可能な市政運営の実現、直面する収支不足への対応を目指してまいります。

 本市のまちづくりの根幹である、「岸和田市まちづくりビジョン第3期戦略計画」では、本市が重点的に取り組んでいく目指す成果を設定しています。ここに掲げた本市の「重点目指す成果」の考え方に沿って、令和3年度予算案を編成し、順次取り組んでまいります。

 重点目指す成果「仕事と子育てが両立できている」においては、待機児童問題や保育士確保など直面する大きな課題を解決し、将来にわたって市全体の幼児教育と保育の質の向上、量の確保を実現するため、民間教育・保育施設に対する補助金の制度を再構築します。保育の質の向上に取り組む民間施設に対し効果的かつ強力に支援することで、支援の必要な児童はじめ保育を必要とする児童の受入環境の整備に取り組みます。

 重点目指す成果「子どもが個性や能力にあった教育を受けている」においては、新型コロナウイルス感染症の影響で、学習内容の理解や定着が遅れている児童・生徒に対して、個々に応じたきめ細かな学習支援を行うことを通じて、基礎学力の定着を図るため、放課後学習支援事業「まなびサポート」に加えて、小・中最終学年クラスを中心に学習支援員を配置いたします。引き続き、市内全小学校3、4年生、中学校1、2年生を対象に市独自の学力調査を実施し、個人の学力実態の現状と課題をより的確に把握することで、個別の課題に対する支援や学校・学級における指導方法の改善につなげ、児童・生徒の学力向上を図ります。また、「GIGAスクール構想の実現」については、本市小・中学校においても、令和2年度中に児童・生徒ひとりにつき1台のタブレット端末の整備に併せて、教師がICT機器を活用した学習指導等を行うため、教員をサポートするICT支援員を配置いたします。令和2年度から、小学校3、4年生で外国語活動が年35時間必修化され、5、6年生では外国語科が年70時間教科化されています。令和3年度から、中学校においては、新学習指導要領に基づき、「英語の授業は英語で行うことを基本とする」など、英語を「聞く」、「話す」環境を充実させる必要があることから、外国語活動補助員・外国語指導助手であるALTを増員して配置いたします。また、基礎学習の土台となる記憶・言語理解・注意・知覚・推論・判断といった力を高めていく新たな事業を実施し、学力向上の取組を強化いたします。

 重点目指す成果「市内の移動がスムースにできている」においては、本市丘陵部における新拠点の整備として、土地区画整理事業調査及び泉州山手線計画地の用地測量等を実施するとともに、広域交通軸を基軸としたまちづくりを進めます。また、交通政策とまちづくりを一体的にとらえた「岸和田市交通まちづくりアクションプラン」の計画内容を充実させます。

 重点目指す成果「市民が観光資源に親しみ、多くの観光客でにぎわっている」においては、観光振興の推進を行います。「大阪城・尼崎城・岸和田城三城同盟参城キャンペーン」では、三つの城の歴史的関係性に焦点を当て、連携・協力のもとに、観光誘客を図ります。昨年2月にロケ地として撮影協力したハリウッド映画の公開に合わせたロケ地マップ作製などのPRを行い、にぎわいづくりを目指します。また、岸和田城天守閣の耐震対策について審議する検討委員会を設置し、観光活用等も含めた耐震対策に関する計画策定の検討を始め、岸和田城が将来へ向けても、本市の魅力を発信できるよう取り組んでまいります。

 続いて、その他に、令和3年度に取り組む事業としましては、まず、最大の課題となっている市庁舎の建替についてです。市庁舎は、昭和29年に建築された旧館など、老朽化、耐震性に大きな課題があり、建替は不可避です。そこで、令和2年3月、「岸和田市新庁舎整備基本計画」を策定いたしました。この基本計画に基づき、若手職員による窓口業務改善に向けたワークショップ等を重ね、新庁舎における窓口のあり方などの検討を続けてまいりました。事業者の選定については、設計と施工を同一の事業者で行うデザインビルド方式で進めることとし、令和2年4月、岸和田市新庁舎設計及び施工事業者選定委員会を設置しました。この委員会では、公平で公正な競争性を確保しながらも、質の高い提案力や実現性が担保できる事業者を選定するため、岸和田市新庁舎整備事業設計施工業務公募型プロポーザルにおいて公開プレゼンテーションを行い、事業者の選定を進め、1月29日に「梓・隈・大成・矢野共同企業体」と仮契約を行いました。この共同企業体は、東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場の建設に携わった設計並びに施工者に地元企業を加えた、素晴らしい体制を整えたチームです。今後は、直ちに基本設計に着手し、早期の建設工事着手を目指してまいります。これによって、本市の防災への備えを充実させることで、市民の皆様の安全・安心を守ってまいります。

 また、新庁舎を現在位置で建て替えることで、もう一つの候補地であった福祉総合センター敷地については、駅前という立地特性から商業利用によるにぎわいのあるまちづくりを目指し、事業提案を求めるにあたり、実際に活用できる範囲の確定に向けて測量を行ってまいりました。今後は、事業者公募へ向けた手続きを進めてまいります。

 次に、市制施行100周年記念事業では、昨年、ロゴマークとキャッチフレーズを公募いたしましたところ、市内外からロゴマーク261点、キャッチフレーズ754点の応募をいただき、市内小・中学生の皆さんをはじめ、一般投票で、それぞれ1万7千票をこえる投票があり、ロゴマークと、キャッチフレーズ「城と祭りと輝く未来 岸和田市制100周年」が決定しました。令和3年度においては、これらのロゴマーク・キャッチフレーズを活用した周知広報活動を実施するとともに、プレ事業として、岸和田市の100歳の誕生日にあたる令和4年11月1日の300日前である1月5日から、カウントダウン事業を実施いたします。市内各種団体や市民の皆様にもご協力いただき、当日までの日数を示す数字をカウントダウンしていくことで、100周年への気運醸成を図ってまいります。また、市制施行100周年を新図書館整備に向けたキックオフと位置づけ、図書館が市民に提供すべきサービス等について取りまとめた「図書館基本計画」を策定いたします。令和3年度は、市民参加の図書館づくりを目指したミーティングを実施するとともに、ICT化として「デジタルアーカイブ」を開設いたします。

 未来へ向けたまちづくりという点では、令和2年4月、大阪府にスマートシティ戦略部が設置されました。スマートシティの取組は、IoT、AI、ビッグデータ等の先端技術を活用し、都市課題の解決や都市機能の効率化に活かそうとするものですが、本市も、これまで、「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」に加盟するなど、情報収集を行ってまいりました。令和3年度は、多くの分野にわたるスマートシティの窓口となり庁内調整を行う担当を総合政策部企画課内に設置し、本市に適した進め方を研究し、未来へ向けたまちづくりに取り組んでまいります。

 まちづくりについては、久米田駅周辺及び春木駅周辺まちづくりとして、地域の拠点である駅周辺の利便性を向上させるため、それぞれ、「久米田駅東西アクセス改善基本構想」に基づく道路整備並びに駅西側改札整備、春木駅大宮駅線の整備を行い、安全・安心な都市空間の創出を進めます。

 市営墓地の整備については、ライフスタイルや価値観の多様化による今後の墓地需要の変化に対応するため、社会全体で供養する合葬式墓地のあり方などの検討を行います。

 公園施設については、近年、若年層を中心に人気のスケートボードですが、利用できる施設が少なく、より安全に楽しんでいただけるように、中央公園内にスケートボード場を整備します。この場所は、災害時には、炊事スペースや救援物資等の仮置き場としても活用いたします。

 岸和田競輪場については、岸和田競輪場施設整備計画に基づき施設整備を進め、令和3年度末の完了を目指します。令和2年度は、改修工事の影響で、岸和田競輪場でのレースができませんでしたが、令和3年5月末に再開し、6月に開催予定の第72回高松宮記念杯競輪(G1)を成功させ、売上の向上及び入場者数増加によるにぎわいづくりに努めます。

 ここ数年、全国各地で、これまでに経験しなかったような自然災害の発生が見られるようになりました。かつては比較的自然災害の少ない地域であった本市でも、台風や大雨による被害があったのは記憶に新しいところです。こうした自然災害から市民の命を守る災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。平成28年の熊本地震において、被災自治体では、目の前の業務に忙殺され、外部からの応援の受け入れ体制が構築できず、人出不足にも関わらず、応援を断らざるを得ない状況が発生した事例もあったと聞き及んでいます。そこで、本市において、「業務継続計画」で示されている人的資源の不足を補完すべく、外部からの支援を最大限活用して早期復旧を図るため、「岸和田市受援計画」を策定いたします。また、本市が被災した場合にも、業務の継続が速やかにできるように、「戸籍システム」のリプレース時期に合わせ、自庁設置型からクラウド化に変更いたします。

 経済活動においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、先行き不安な状況が続く中、新たな生活様式への対応などが求められています。特に本市の中小企業・小規模事業者においては、事業継続に向けて経営力向上に取り組むことは非常に困難な状況下にあります。こうした中で、令和2年2月に開設した「岸和田ビジネスサポートセンター Kishi-Biz」では、徹底的に相談事業者の話を聴き、事業者の持つ「強み」を見出し、その「強み」に光をあて、売上アップに向けた取組へとつなげていく支援を行っております。このKishi-Bizの運営を強化することで、市内中小企業・小規模事業者の経営を重点的にサポートし、産業活性化に取り組んでまいります。

 臨海部においては、大部分が未活用水面となっている木材コンビナートの貯木場について、新たな利活用方法の調査・分析を実施するとともに、木材港地区全体の再編に向けたビジョンを策定します。夢洲での万博開催、IR誘致の動きに伴う大阪湾ベイエリアの活性化とも連動し、今後の木材港地区再編のための道筋を明確化します。また、「臨海部から岸和田の元気を取り戻す」を合言葉に、コロナ禍における新たな形式で、「みなとオアシス岸和田」の各施設において、一日中楽しめる港まつりを開催いたします。イベントのフィナーレには、市街地一円から見渡せる大型の花火を沖合いから打ち上げ、それぞれ思い思いの場所からご覧いただくことで、これまで会場に来ることのできなかった人たちにも花火の光を届けるプロジェクトに挑戦いたします。

 次に、次期総合計画の策定及び都市計画マスタープランの改定についてです。これまで述べさせていただいた取組は、岸和田市自治基本条例の理念を具体化した本市の第4次岸和田市総合計画である「岸和田市まちづくりビジョン」に基づき、計画的に進めてまいります。現在の「岸和田市まちづくりビジョン」は、令和4年度が最終年度となりますので、令和5年度からの次期総合計画及び都市計画マスタープランについて、改定に向けた作業をスタートさせています。岸和田市自治基本条例の市民自治都市の考え方に基づき、公募市民、無作為抽出で依頼しご参加いただいた市民合わせて、30人を超える皆様からなる「とことん懇話会」で、ご意見をいただき、議論を重ね、新しいまちの将来像をみんなで創りあげていく仕組みづくりとして、次期総合計画策定に臨みます。

 以上の内容を盛り込んだ令和3年度の当初予算案は、

 一般会計で、     780億9,466万2千円、

 特別会計(5会計)で、672億5,173万5千円、

 企業会計(3会計)で、371億7,737万3千円、

 財産区特別会計で、   10億5,376万5千円で、

 これらを合わせますと、1,835億7,753万5千円となり、前年度と比べ、一般会計で3.2パーセントの増加、特別会計で11.5パーセントの増加、企業会計で1.9パーセントの増加となっています。

 令和3年度の主な取組については以上でございます。

 これまで私は、常々、市民一人ひとりの顔が見える行政を目指し、心掛けてまいりました。しかしながら、飛沫感染防止のために常時マスクをするような状況になって一年以上になります。文字通り表情が見えづらい時期だからこそ、そのマスクの下で困っていることを見逃さないように、市民の皆様の顔が見える行政を目指してまいります。先行きの見えない時代だからこそ、将来に希望を持つことができるように、現在の足元をしっかりと固めて、進めてまいります。

 市制施行90周年の時に、当時十歳だった子どもたちに、10年後の二十歳の自分へ宛てた手紙を書いていただき、市でお預かりいたしました。この「未来へのメッセージ」事業では、市制施行100周年のプレ事業として、令和4年1月の成人式に合わせ、その手紙をお届けいたします。受け取った方々は、10年前の自分からの手紙を読み、あのころの夢が実現できているだろうか、実現に近づいているだろうかと、思いを馳せることでしょう。この施政方針も、10年後、100年後の岸和田市へ向けたメッセージとして、その思いの実現へ向けて、着実に市政運営を進めます。

 地方自治の最大の特徴である二元代表制のもと、選挙において、市民の代表者である市議会の皆様が選ばれ、また、同じく、選挙において、市の代表として私が市政を託されました。ともに市民を代表する市議会と市長として、本市の次の100年の発展という共通の目標を目指し、この議会の場で尽くされる議論が、市民の皆様の豊かなくらしにつながるように力を注いでまいります。市民の皆様に対しては、丁寧に説明を尽くしながら、いつまでも住み続けたいと感じていただけるような岸和田市にしていきたいと考えております。

 なにとぞ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 

※ なお、庁舎建替えにかかる議案について否決となったため、議場では次の旨の発言を追加して説明しています。

 「先ほど、ご議決をいただきまして、議会のご意志をお聞きしたところであります。議会の皆さまのご意見を聞きながら、検討を進めてまいりたいと思っております。」

 


Danjiri city kishiwada