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岸和田市外部監査契約に基づく監査に関する条例逐条解説(当初制定分)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2009年3月3日掲載

目次

第1条(趣旨)

第2条(個別外部監査契約に基づく監査)

第3条(監査人の選考)

第4条(その他)

条文

(趣旨)
第1条 この条例は、岸和田市自治基本条例(平成16年条例第16号)第29条の規定に基づく外部機関その他第三者による監査として実施する地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第252条の27第3項の規定による個別外部監査契約(以下「個別外部監査契約」という。)に基づく監査に関し、必要な事項を定めるものとする。

趣旨

 本条例は、岸和田市自治基本条例第29条に基づく「外部機関その他第三者による監査」として、地方自治法に規定される個別外部監査契約に基づく監査を実施することに関し必要な事項を定めている。
 外部監査制度を実施することにより、市の監査機能の独立性・専門性を一層充実させることが可能になると同時に、市の監査に対する住民の信頼感の向上にもつながる。

解釈・運用

1.外部監査制度は、地方分権の推進に資するとともに地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、第25次地方制度調査会の答申の趣旨にのっとり、平成9年6月の法改正により創設されたものである。
 そもそも、外部監査とは、自治体の外部にいる(地方公共団体の組織に属さない、身分も当該団体の職員ではない)専門家(一定の有資格者)との契約に基づいて実施される監査のことである。
 組織の内部で監査を実施する現行の監査委員制度には、その専門性と独立性に限界があり、それを補う観点から外部の目による監査を導入し、地方公共団体の監査機能の一層の強化を図ることが平成9年の法改正の意図であった。
 岸和田市自治基本条例でも第29条で、「適正で、効率的かつ効果的な行財政の運営」を確保するために「外部機関その他第三者による監査」を実施させることが出来るとしている。その結果、予算執行の透明化を図り、市民の市政に対する信頼感のより一層の向上を図ることが可能になる。

2.外部監査制度は地方自治法上で「包括外部監査」と「個別外部監査」の2種類が定められている。
 「包括外部監査」制度は地方公共団体の財務に関する事務の執行および経営に係る事業の管理のうちから、毎年度テーマを設定して、最少の経費で最大の効果を挙げているか、組織運営の合理化に努めているかといった観点から監査を実施し、その結果を報告する。都道府県・政令市・中核市では導入が義務付けられている。
 「個別外部監査」制度は、地方自治法に定められた以下の5種類の住民・議会・首長の請求または要求を行う場合、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができるものである。この場合、地方公共団体が個別外部監査に基づく監査によることが出来ることを条例で定めていることが前提となる。

 【1】 住民の事務監査請求に基づく監査(地方自治法第252条の39)
 【2】 議会の請求に基づく監査(地方自治法第252条の40)
 【3】 市長の要求に基づく監査(地方自治法第252条の41)
 【4】 市長の要求に基づく財政援助団体等の監査(地方自治法第252条の42)
 【5】 住民監査請求に基づく監査(地方自治法第252条の43)

 包括外部監査・個別外部監査の両外部監査の内容について様々な検討を加えたが、包括外部監査では一度条例を設置すると毎年度必ず監査を実施することが義務付けられることなど費用対効果の問題が考えられた。一方、個別外部監査では住民が関心あることを必要に応じて求めることができるという利点があることなどから、岸和田市では「個別外部監査」制度のみを導入することとした。

3.岸和田市自治基本条例では「外部機関その他第三者」による監査との表現がなされている。そのため、当初、地方自治法上で規定された外部監査制度に加えて、法人・団体等による監査および地方自治法第252条の28に定められた者以外による監査、いわゆる「法定外監査」についても検討を試みた。
 しかし、法定外ゆえその監査結果の行政に対する効果・効力等に疑問を持たざるを得なかった。なぜなら、現行の監査委員監査との関係において、監査の調整の方法、重複の問題などを考慮した場合、現行の地方自治法上の外部監査の範囲を超えて制度化することは現状では問題があると考えられることや、特に、住民監査請求については、住民訴訟に発展する場合にその前提要件となるため、法定外の監査であった場合、法的にその前提要件を満たすかは、現時点では難しい問題があり、効力についての不安が残ると思われるからである。
 そこで、岸和田市では、法定外の監査については、機が熟すのを待つこととし、地方自治法上に規定された個別外部監査を、「外部機関その他第三者」による監査として導入することとした。

4.個別外部監査契約を締結できる者については、地方自治法第252条の28第1項および第2項の規定により以下のとおりとなっている。

 【1】 弁護士
 【2】 公認会計士
 【3】 公務の監査において実務に精通している者
 【4】 税理士

 監査機能の専門性の強化という観点から、専門知識と能力を有する者を外部監査契約の相手方とすることを定めている。
【1】 弁護士については、法規適合性の判断という点での専門性を有する者として位置づけられている。 
【2】 公認会計士については、財務の執行および経営に係る事業の管理の監査についての専門性を有する者として位置づけられている。
【3】 公務の監査において実務に精通している者とは、(1)国の行政機関において会計監査に関する行政事務の職に在職した期間が通算して10年以上になる者、又は地方公共団体において監査もしくは財務に関する行政事務の職に在職した期間が10年以上になる者、(2)会計検査、監査若しくは財務に関する総務大臣の指定した研修を終了したもので、上記の職に在職した期間が通算して5年以上になる者のいずれかと政省令で定めれられている。つまり、会計検査院職員または監査委員であった者、地方公共団体の職員であった者のうち地方公共団体において監査、予算統制、会計統制等の事務に一定期間以上従事していた者が想定されている。
【4】 税理士については、当初含まれていなかったが、「公認会計士は大都市に偏在しているのが実状であり、小規模市町村への外部監査の導入を積極的に図るためには税理士も活用すべきではないか」との国会での審議を受けて、付け加えられたという経過がある。
 しかしながら、税理士が「財務の執行および経営に係る事業の管理の監査についての専門性を有する者」と位置づけられている公認会計士と同様の専門性を有しているかは疑問であり、実際の契約に際してはこの点には留意が必要であろう。
 次に地方自治法第252条の28第3項において外部監査人の欠格事由を定めている。その中で外部監査契約に基づく監査の独立性・外部性、公平性を担保するために、【1】当該地方公共団体の議会の議員、職員、【2】当該地方公共団体の首長や監査委員等と一定の親族関係にある者、【3】当該地方公共団体と請負関係にある者等を除外している。

条文

(個別外部監査契約に基づく監査)
第2条 本市の住民のうち法第18条に規定する選挙権を有する者は、法第75条第1項の請求をする場合において、併せて当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
2 市議会は、法第98条第2項の請求をする場合において、併せて当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
3 市長は、法第199条第6項の要求をする場合において、併せて当該要求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
4 市長は、次に掲げるものについての法第199条第7項の要求をする場合において、併せて当該要求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
(1) 市が法第199条第7項に規定する財政的援助を与えているものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るもの
(2) 市が出資しているもので法第199条第7項の政令で定めるものの出納その他の事務の執行で当該出資に係るもの
(3) 市が借入金の元金又は利子の支払を保証しているものの出納その他の事務の執行で当該保証に係るもの
(4) 市が受益権を有する信託で法第199条第7項の政令で定めるものの受託者の出納その他の事務の執行で当該信託に係るもの
(5) 市が法第244条の2第3項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているものの出納その他の事務の執行で当該管理の業務に係るもの
5 本市の住民は、法第242条第1項の請求をする場合において、併せて当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。

趣旨

 本条では、5種類の住民・議会・首長の請求または要求による個別外部監査制度の概要を説明している。

解釈・運用

<第1項関係>

1 本項に定められた個別外部監査契約に基づく監査は、地方自治法第252条の39に規定された「住民の事務監査請求に基づく個別外部監査」である。
2 本市の住民のうち選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の連署をもって、その代表者から監査委員に対し、地方公共団体の事務の執行についての監査を請求することができ、この際に、当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
3 個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた場合の処理は以下のとおりである。
【1】 請求があった場合は、監査委員は直ちに、請求の要旨、請求について個別外部監査契約に基づく監査によることが求められている旨およびその理由を告示、公表しなければならない。そして、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについての意見(適当であるか否か等)を付して、その旨を長に通知しなければならない(地方自治法第252条の39第3項)。
【2】 長は通知があった日から20日以内に議会を招集し、その旨を付議しなければならない。ここで、議会の議決が得られなかった場合は、はじめから監査委員による監査の請求があったものとみなして手続きを続行することとされている(地方自治法第252条の39第15項)。
【3】 議会の議決を経た場合、長は、監査委員の意見を聴き、議会の議決を経て当該請求に係る事項についての個別外部監査契約を締結する(地方自治法第252条の39第5項、第6項)。
 つまり、個別外部監査契約の締結に至るまで、(1)当該請求を個別外部監査とすることが妥当か否か、及び(2)長の提案による個別外部監査契約自身の当否という2つの異なる議決を必要とする。
【4】 個別外部監査人は契約期間内に監査を行い、監査結果をまとめ、議会、長、監査委員及び関係委員会等に提出しなければならない。   
【5】 監査委員は監査結果を当該請求に係る代表者に送付し、かつ公表しなければならない。(地方自治法第252条の39第13項)

<第2項関係>

1 本項に定められた個別外部監査契約に基づく監査は、地方自治法第252条の40に規定された「議会の請求に基づく個別外部監査」である。
2 議会は、地方公共団体の事務に関しての監査を請求する際に、特に必要があると認める際は、当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
 請求に関しては、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない(地方自治法第252条の40第1項)。
 また、議会からの請求であるので、当該請求を個別外部監査とすることが妥当か否かについては議会の議決は必要がない。長の提案による個別外部監査契約自身の当否のみ議決を必要とする。
3 個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた場合の処理については、地方自治法第252条の39「住民の事務監査請求に基づく個別外部監査」に定められた規定を準用するものとする。

<第3項関係>

1 本項に定められた個別外部監査契約に基づく監査は、地方自治法第252条の41に規定された「市長の要求に基づく個別外部監査」である。
2 市長は、地方公共団体の事務に関しての監査を要求する際に、特に必要があると認めたときは、当該要求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
 「住民の事務監査請求に基づく個別外部監査」と同様に、当該要求を個別外部監査とすることが妥当か否かについては議会の議決が必要であるが、長からの要求の場合、議会の議決が得られなかった場合はそこで手続きが終了する点が住民からの事務監査請求と異なる。
3 個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた場合の処理については、地方自治法第252条の39「住民の事務監査請求に基づく個別外部監査」に定められた規定を準用するものとする。

<第4項関係>

1 本項に定められた個別外部監査契約に基づく監査は、地方自治法第252条の42に規定された「市長の要求に基づく財政援助団体等に対する個別外部監査」である。
2 市長は、財政援助団体等の事務の執行に関して監査を要求する際に、特に必要があると認めたときは、当該要求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
 「住民の事務監査請求に基づく個別外部監査」と同様に、当該要求を個別外部監査とすることが妥当か否かについては議会の議決が必要であるが、長からの要求の場合、議会の議決が得られなかった場合はそこで手続きが終了する点が住民からの事務監査請求と異なる。
3 個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた場合の処理については、地方自治法第252条の39「住民の事務監査請求に基づく個別外部監査」に定められた規定を準用するものとする。

<第5項関係>

1 本項に定められた個別外部監査契約に基づく監査は、地方自治法第252条の43に規定された「住民監査請求に基づく個別外部監査」である。
2 本市の住民は、地方公共団体の長や職員などが行なった財務会計上の違法・不当な行為または怠る事実によって地方公共団体に損害を生じたと認めるときは、監査委員に監査の実施を求め、損害を補填するために必要な措置を講ずることなどを監査委員に請求することができ、この際に、当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
3 個別外部監査人の監査によることが求められた場合の処理は以下のとおりである。
【1】 請求があった場合は、監査委員は、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることが適当であるか否かの決定をなし、適当であると認めるときは、請求があった日から20日以内にその旨を長に通知しなければならない(地方自治法第252条の42第2項)。
【2】 事務監査請求及び長からの要求の場合には、議会が個別外部監査が相当か否かの決定を下すのに対し、住民監査請求の場合は監査委員が決定を下すこととしている。これは大きく分けて以下の2つの理由による。
 まず第一に住民監査請求は事務監査請求と異なり、一人でも可能であるということから、監査請求があるたびに議会を開催し、個別外部監査の是非を決定することは議会の手続負担過重になるということである。
 次に、住民監査請求に基づく監査委員監査に問題があれば住民訴訟を提起することも可能であるので、監査委員に個別外部監査の是非を委ねることが適当であると判断されたためである。
【3】監査委員が個別外部監査に委ねることが相当と判断した場合は、長は、監査委員の意見を聴き、議会の議決を経て当該請求に係る事項についての個別外部監査契約を締結する。ここでは前述のとおり、当該請求を個別外部監査とすることが妥当か否かについては議会の議決は必要がない。長の提案による個別外部監査契約自身の当否のみ議決を必要とする。
【4】監査委員が20日以内に通知を行わないときは、はじめから地方自治法第242条第1項の住民監査請求があったものとみなして手続きが続行される。ただし、その場合、通知を行わなかった理由を請求人に通知する義務が監査委員に課されている。
【5】個別外部監査人は契約期間内に監査を行い、監査結果をまとめ、監査委員に提出しなければならない。他の個別外部監査と異なり、監査委員のみに報告を行う。
【6】監査委員は個別外部監査の結果に関する報告に基づき、請求に理由があるか否かを決定する。
 「理由がある」と決定した場合は議会や長等に必要な措置を講ずるべきとの勧告その内容の公表を行う。
 「理由がない」と決定した場合は、請求に理由がない旨を請求人に通知するとともに公表を行う。
 ここまでの手続きは、請求があった日から90日以内に行わなければならない。

条文

(監査人の選考)
第3条 市長は、前条の請求又は要求に基づき、個別外部監査契約を締結しようとする者(以下「候補者」という。)を選考するにあたっては、補助機関たる職員による選考のための会議を設ける等適切な措置を講じるとともに、個別外部監査の各事案を総合的に勘案し、最も適任と判断される者を選考しなければならない。

趣旨

 本条では市長が個別外部監査契約を締結するにあたり、補助機関として職員による選考のための会議を設置するなどし、最も適任と判断される者を選考することを定めている。
 地方自治法において、個別外部監査契約の際には、「監査委員の意見を聴取する」とともに「議会の議決を経なければならない」など、公平性、透明性を担保し、契約締結権限を持った長の恣意が働かないようにコントロールできる規定が、一定、整備されているが、岸和田市では、それに加えて、なお一層の公平性、透明性を確保すべき規定として、この第3条を設けている。

解釈・運用

1 市長が個別外部監査契約を締結しようとするときは、補助機関として職員による選考のための会議「岸和田市個別外部監査人候補者選考委員会」を設置し、この委員会において、選考基準等に照らし、個別外部監査を締結する候補者を選考する。
 監査の実施における日数制限による迅速性の必要等から考えると、この委員会は庁内組織という形になるが、契約締結権限を持った長の恣意が働かないようにするため、選考のプロセスを経ることや、その選考過程について情報公開に努めることが必要とされることにより、公平性、透明性を図り、外部監査全体の信頼性をも向上させるものといえる。

2 「岸和田市個別外部監査人候補者選考委員会」では、候補者を選考するに当たり、その公平性及び透明性が最大限確保できるよう審議を図る。
 個別外部監査契約の相手方としては、地方自治法第252条の28において、弁護士、公認会計士、監査精通者などの一定の資格を持った者と定められており、第252条の29には、外部監査人は、本人や家族に利害関係のある事案の監査ができないとの規定もあるが、個別外部監査契約に基づく監査によることが求められる際には、様々な事案が想定されることもあり、それぞれの事案を総合的に勘案して、もっとも適任と判断される者を選考しなければならないという、選考に関する基本的事項を規定している。
 別途設ける規則における選考基準の例としては、岸和田市の顧問弁護士や、出資団体等の監事等の職にある公認会計士など、市政運営に少しでも関与している者を、候補者から除くなどをすることによって、外部監査人選考の公平性、透明性、外部監査人の独立性の確保に努めている。

条文

(その他)
第4条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に必要な事項は、規則で定める。

趣旨 

この条例に定めるもののほか、条例の施行に必要な事項については、別途、規則で定める。

解釈・運用

 第3条で表現されている監査人の選考のための会議や、地方自治法施行令第174条の49の33において、個別外部監査契約を締結した相手方の資格を証する書面等を一般の閲覧に供さなければならないと規定されていること、その他に関しては、別途、規則を設けることにより、本条例の適正で円滑な運用を図っていく。


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