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「らんまん」牧野富太郎~始まりは、岸和田ゆかりの名著だった!~特別講演会を開催しました

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2023年3月10日掲載

令和5年2月26日(日曜日)岸和田市立図書館本館にて、郷土史研究家の万代博史氏による特別講演会を開催しました。たくさんの方が応募してくださり、先着40名の方にご参加いただきました。

講師の写真​ 講演会の様子

会場の様子 会場の様子

講演会を終えて 担当者からのミニコラム

資料展示コーナーの写真

 令和5年2月26日(日曜日)岸和田市立図書館本館にて、郷土史研究家の万代博史氏による『らんまん』牧野富太郎-始まりは、岸和田ゆかりの名著だった!-を開催いたしました。参加者40名は、丁寧で詳細な話にメモをとりながら聞き入っていました。

 まず、二大名著『本朝食鑑』『重訂本草綱目啓蒙』については、その来歴、内容・特色を図版の映像などを交えながらの分かりやすい説明がありました。

 次に、二大名著と岸和田藩の関りについては、『本朝食鑑』は、三代藩主岡部長泰が、『重訂本草綱目啓蒙』においては、第11代藩主岡部長慎が、それぞれに自らの病弱な幼少期や、年を重ねて病を得たことなどにより、これらの書籍の必要性をより深くし、資金を援助して出版に至ったとのことでした。100年の時を経て思いを同じくし、有益な書物を後世に伝えるために尽力した岸和田藩に、アンケートでも「嬉しい」との声が多く寄せられました。

 ここから、牧野富太郎の話へと続きます。高知の裕福な商家の生まれで、小学校中退という学歴が有名ですが、それ以前に洋学や漢学を学んでおり授業を退屈に感じてのことだったようです。そこから野山を巡り植物採集に明け暮れ、植物学を極める道のりの始まりです。植物の実際の知識はあるが名前を知らない富太郎少年は、近所の医師宅で『本草綱目啓蒙』と出会います。知人から『重訂本草綱目啓蒙』の存在を知らされ、ついに手に入れます。常に傍らにあって情報を提供し続け、牧野植物学の基礎を形作ったのが『重訂本草綱目啓蒙』であり、本の出版が途絶えようとしたときに手を差し伸べて出版にこぎつけたのが岸和田藩であったということです。また、小学校時代の唯一の楽しみは、学校に届いた「植物画」を見ることで、それは岸和田藩絵師、服部雪斎によるもでした。

 欲しい書物のため借金が嵩み、また常識を逸した言動もあり、牧野富太郎の生涯は波乱万丈でしたが、最後に、これぞ「植物学の父」と思わせるエピソードを紹介いただきました。

 「雑草という名の植物はない」~牧野記念庭園記念館が生誕160年のイベントで学芸員による「博士自身の言葉と考えていい」とする見解を発表しました。根拠となったのは作家、山本周五郎が残した言葉でした。雑誌の企画で牧野博士にインタビューした際、周五郎が「雑草」という言葉を口走り、「きみ、世の中に雑草という草は無い。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている。」となじるような口調であったとのことです。(木村 久邇典著『周五郎に生き方を学ぶ』より)この名言は昭和天皇のお言葉としても知られています。植物の分類研究をライフワークとしていた天皇は牧野博士から直接教えを受けられており、「植物を愛する二人にそれぞれ同様の思いがあり、雑草の名言につながったのではないか」と分析している(「高知新聞」令和4年8月18日記事より)

 「一生を通じて野山を駆け巡り、草木の名前を求め続けた牧野富太郎にふさわしい言葉ではないかと思います」万代氏の締めくくりの言葉に胸が熱くなりこれから放送されるNHK連続テレビ小説「らんまん」への期待がふくらむ実り多い講演会になりました。

担当者の写真


アンケート集計結果

  • 参加者     40名
  • アンケート回収 38枚

年齢

  • 50代・・・3名
  • 60代・・・10名
  • 70代・・・20名
  • 80代以上・4名 
  • 未記入・・1名

講演会をどのようにしてお知りになりましたか?

  • 広報きしわだ・・・・・・・・・11名
  • 図書館のポスターまたはチラシ・22名
  • 岸和田市ホームページ・・・・・2名
  • その他・・・・・・・・・・・・5名

本日の講座について

  • とてもわかりやすかった・12名
  • 分かりやすかった・・・・13名
  • ふつう・・・・・・・・・3名
  • やや分かりづらかった・・0名
  • 分かりづらかった・・・・1名
  • 未記入・・・・・・・・・9名

どちらから参加されましたか?

  • 市内・33名
  • 市外・5名

今後参加してみたい行事があればご意見をお聞かせください

  • 講演・講座・展示会に参加したい
  • 岸和田の名所などについて
  • 太閤検地~江戸時代初期の村落・町場の社会について
  • 岸和田にゆかりのある人のことが知りたい
  • 岸和田の薬草についての講座
  • 歴史・文化的な価値のある建物伝統的な行事等
  • 昔の日本画に関する行事

講師へのメッセージ・感想をお願いします。

  • 豊富な知識の中から分かりやすく解説され面白く聞かせていただきました。
  • 今日の話を聞いた上で「らんまん」どんなドラマになるか興味がわきました。岸和田藩のことをもっと知りたくなりました。
  • 泉州の浮世絵の展示をお願いします。
  • ビジュアルが多数あり一段と興味が湧きました。
  • 高知の牧野植物園に行ったことはありましたが、岸和田とのこんなつながりがあると知り大変良かったです。
  • 牧野富太郎との関り「雪斎」からどのような影響を受けて作画が変わっていったのかを知りたかった。
  • 牧野富太郎氏の人生に「重訂本草綱目啓蒙」との関り、岸和田藩との関りを分かりやすく説明いただき、岸和田市民として少しうれしかったです。
  • 牧野富太郎氏の生きざまがおもしろく、朝ドラ「らんまん」が楽しみです。
  • 岸和田藩岡部氏は文化面においてもいろいろと援助されたのだと知りました。
  • 植物・植物画に興味があり牧野富太郎の図鑑も持っています。朝ドラで取り上げられることもありとてもタイムリーでよかったです。
  • 内容盛りだくさんの講演をありがとうございました。

 岸和田市立図書館 2階 郷土展示コーナーでは令和5年4月23日(日曜日)まで、泉州ゆかりコレクション第5弾「岸和田藩が誇る二大名著と『らんまん』牧野富太郎展」を開催中です。貴重な資料を展示しております。ぜひご覧ください。