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【図書館発】泉州ゆかりコレクション第5弾「岸和田藩が誇る二大名著と『らんまん』牧野富太郎」展(終了しました)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2024年6月12日掲載

 泉州ゆかりコレクション第5弾となる今回は、岸和田藩が出版に関わった2点の名著、『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』『重訂本草綱目啓蒙(じゅうていほんぞうこうもくけいもう)』をご紹介します。さらに『重訂本草綱目啓蒙』の図譜『重訂本草綱目啓蒙図譜』を描いた岸和田藩御用絵師で日本三大博物画家で博物図譜の名手とされる服部雪斎(はっとり せっさい)について、またこの4月3日から放送される連続テレビ小説「らんまん」の主人公である植物学者牧野富太郎(まきの とみたろう)博士との関りについて紹介します。

ゆかりコレクションの全体写真 展示の様子

展示の様子 展示の様子

展示期間中に、講演会も開催します!ぜひご来場ください。チラシ [PDFファイル/2.45MB]講演会を終えて 担当者のミニコラム [PDFファイル/238KB]

会期

令和5年2月5日(日曜日)~4月23日(日曜日)【月曜日・祝日休館】

『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』と『重訂本草綱目啓蒙(じゅうていほんぞうこうもくけいもう)』

 江戸時代に出版されたものですが、平凡社の東洋文庫にも納められていて現代でも身近に接することができます。両者ともに植物学の研究者のみならず幅広い分野の愛好家に利用され、特に「本朝食鑑」は日本各地の食習慣や調理法、さらに料理の歴史まで広範囲にわたる情報が網羅されているため料理研究家や調理師の座右の書として活用されています。

服部雪斎

 服部雪斎の博物画は、江戸から明治にかけて写真などが導入される以前に写真以上の情報量を書き込んだ美麗なる博物画として現代にも通用するという評価を得ています。

牧野富太郎と服部雪斎の接点

 富太郎が植物に興味を持ち始めて初めて買い求めたのが岸和田藩が刊行した「重訂本草綱目啓蒙」です。日々野山を駆け巡って草木に馴染みは深かったのですが、名前がわかりませんでした。
 今のように、図鑑がすぐに手に入る時代ではありませんでした。富太郎は手に入れた「重訂本草綱目啓蒙」を常に傍らに置いて植物の名前を次々と覚えていきました。まさに世界に誇る日本を代表する植物学者「牧野富太郎」の基礎が「重訂本草綱目啓蒙」によって形成されたのです。
 中途退学した小学校の2年間で唯一楽しみだったと富太郎が「自叙伝」などで語っている「博物図」は、明治初めに映像資料などが利用できない時代にあって、文部省が小学校などで活用するために教室の前に掛けるスクリーン形状の動植物が描かれたものです。実はこの動植物画を描いたの内の一人が服部雪斎でした。つまり「重訂本草綱目啓蒙図譜」で彼の絵に接し、小学校唯一の楽しみであった服部雪斎が描いた「博物図」を毎日眺めながら過ごしたわけです。
 牧野富太郎は「牧野日本植物図鑑」を著したことでも知られていますが、彼の描いた植物がは牧野式植物画として知られ図鑑の図版も彼の手になるものがほとんどです。その彼が植物画に影響を与えた人としてあげているのが服部雪斎でした。服部雪斎は明治になってから岸和田藩を離れ明治4年に文部省に置かれた博物局に加わり、翌5年湯島聖堂で開かれた博覧会に従事します。博覧会事務局が博物館と改称されます。今の東京国立博物館の前身です。博物館職員の仕事をしながら多方面に博物画を描いている関係で彼の作品は数多く残されています。
 牧野富太郎は研究用に標本や書籍だけでなく博物画も大量にコレクションしています。その博物画コレクションの柱の一つが服部雪斎のものです。コレクションは高知県立牧野植物園や練馬区立牧野記念庭園記念館に保管されていて度々企画展として服部雪斎の植物画が展示公開されています。江戸から明治にかけて岸和田ゆかりの文物・人々の残してきたものが今に繋がっていることが実感できると思います。

主催・問合せ

岸和田市立図書館 電話(072-422-2142)

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