ページの先頭です。 本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 監査事務局 > 監査事務局 > 令和5年度工事監査の結果

本文

令和5年度工事監査の結果

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2023年12月14日掲載

第1 監査の対象

1 対象工事

流木低区配水本管布設替工事

2 所管部課

(1) 予算所管課    上下水道局上水道工務課

(2) 設計・工事所管課 上下水道局上水道工務課

(3) 契約所管課    総務部契約検査課

3 監査対象年度

令和3年度、令和4年度及び令和5年度事業(継続費)

第2 監査の着眼点

岸和田市監査基準(令和2年監告示第7号)に基づき策定した令和5年度工事監査実施計画に定める監査の着眼点について、実査、立会、確認、証憑突合、帳簿突合、質問、閲覧により行った。

第3 監査の主な実施手続

設計金額が2,000万円以上の実施中の工事の中から内容等を勘案の上、監査対象を抽出し、設計図書、関係図書等の書類調査を行い、関係職員等に説明を求めるとともに、関係職員等立会いのもと現場を実査した。

なお、監査の実施にあたっては、専門的な知識を必要とするため、協同組合 総合技術士連合に工事技術調査業務を委託し、派遣された技術士による工事技術調査業務報告書を参考に、総合的に判断する方法で実施した。

第4 監査の実施場所及び日程

1 実施場所

書類調査 第1委員会室

現場調査 岸和田市上松町地内外

2 日程

(1) 調査期間  令和5年7月4日から令和5年10月31日まで

(2) 監査実施日 令和5年10月31日

第5 監査を実施した監査委員

山本 貞徳、平田 徹

第6 工事の概要

1 工事場所

岸和田市上松町地内外

2 工事請負業者

福田・矢野特定建設工事共同企業体

3 設計監理業務委託者

基本設計・測量 株式会社サンテック

実施設計    株式会社中央設計技術研究所

監理      自主監理

4 工事請負金額

当初請負金額 1,062,637,400円(税込)

変更請負金額 1,117,947,600円(税込)

5 工事期間

令和3年8月25日から令和6年3月29日まで

6 工事進捗状況

計画 97%、実施 97%(令和5年10月31日現在)

第7 監査の結果

技術士から提出された工事技術調査業務報告書による調査の結論及び所見の内容は第8のとおりである。

工事技術調査業務報告書において改善を図ることが推奨されている事項のうち設計・工事所管課に係るものについては、今後行われる工事の実施に際して十分に留意されたい。なお、監査事務局においては、工事監査の実施時期を検討する際、品質、コスト、施工におけるリスク等の予防的な監査の観点を踏まえて検討されたい。

第8 工事技術調査業務報告書による調査の結論及び所見の内容

1 調査の結論

工事調査資料及び関係書類並びに現地調査のうちからサンプリングを行った。各プロセスの技術調査着眼点について所定の検査項目及び不可視部分の試験以外の記録による確認等の質疑応答を行った。質疑に関する回答(口頭及び資料による)は、十分なものであった。技術調査の結果、工事全般に関する大きな問題点は見当たらなかったのでサンプリング範囲では非常に良いと認めた。

サンプリングにより調査した事項のうち主な内容の要点を、「2 調査の所見」計画・実施・確認検証の項に沿って示し、注意、要望、検討を要する点については、改善の項にそれぞれ記すものとする。

2 調査の所見

(1) 計画

ア 工事の目的

「岸和田市水道事業ビジョン」(2012年策定、2020年2月改訂)において「安全」、「強靭」、「持続」の3つの基本方針を掲げている。そのうち「強靭」(災害に対応できる頑丈な水道を形成している。)の実現方策として、水道施設の耐震化の推進を実施している。

本路線は、「上水道施設整備・更新基本計画」(2010年策定、2022年第3回改訂)において、第3期施設更新事業に位置付けられた配水本管(基幹管路等)で、耐震化のため行う施設整備である。

イ 設計方針

水道施設の老朽化が進行している現在、水道施設の状況を的確に把握し、漏水事故等の発生防止、長寿命化による設備投資の抑制等を図りつつ、水需要の将来予測等を含めた中長期的な視野をもって、計画的に水道施設の更新を進めている。当該工事は、水需要の将来予測から管路の縮径と長寿命化が図られる管材料を採用している。

また、設計に際し当該管路は国道26号線(開削工法不可)の横断を伴うため、国道横断箇所を含めた全体の更新計画を見据え、開削工法、非開削工法(推進工法、ミニシールド工法)を組み合わせた比較検討を行っている。選定にあたり、当該布設管は配水本管で給水管を伴わないこと、経済性、地下埋設物の状況、交通への影響、施工性等を考慮し、当工法を採用している。

ウ 積算基準等(主要なもの)

(主要な計画・調査・実施設計等に使用した基準・指針・調書等)

No.

図書の名称

著者

発行年月日

1

2

水道事業実務必携

設計業務等標準積算基準書

全国簡易水道協議会

国土交通省

平成28年度

平成28年度

(主要な単価・歩掛・積算・設計書作成に使用した基準・指針・調書)

No.

図書の名称

著者

発行年月日

1

2

3

4

5

6

水道事業実務必携

土木工事標準積算基準書

下水道用設計標準歩掛表

建設物価・積算資料

泥土圧式ミニシールド工法 積算指針

DXR工法 技術資料・積算指針

全国簡易水道協議会

国土交通省

日本下水道協会

建設物価調査会・経済調査会

ミニシールド工法研究会

DXR工法研究会

令和2年度

令和2年度

令和2年度

令和2年9月

平成29年度

平成27年度

(積算)

単価・歩掛の無い場合の取扱、市場流通単価の把握と利用

資材単価について、刊行物に掲載のあるものは最低価格を採用。掲載のないものについては、材料により3社以上から見積徴収し最低価格を採用している。

数量算出、設計書の照査

実施設計業務委託において、請負コンサルタントより図面、数量計算書が納品されている。その後、担当者が発注用に組み替えした設計書を、課内において校合・検算により照査を行っている。

特記事項

土木工事積算システム(Gaia官公庁版)を採用している

エ 入札・契約

入札は、条件付一般競争入札であり、令和3年8月20日に入札し、応札業者は5者である。契約は、工事請負契約の「契約約款」に基づき、令和3年8月25日に締結している。

オ 保証・保険

  (ア) 履行保証は、西日本建設業保証株式会社と請負代金額の12.3%について、受注者からの提出書面を適正に管理している。前払金保証及び中間前払金保証は、西日本建設業保証株式会社と請負代金額の57.9%について、受注者からの保証証書の寄託を受けて適正に管理している。

  (イ) 建設業退職金共済制度の掛金収納書は、適正に管理している。

  (ウ) 労災保険関係成立票の掲示状況は適正である。

カ コスト縮減・効率化対策

施工に際し、工種毎に施工フローを示して手戻りの起こらないように管理することで効率的な施工を確保している。また、コストへ影響することの無いように細部にわたり管理している。

さらに施工方針・現地調査・種々の立ち合い・資機材の確認・地域住民とのコミュニケーションをふまえ無駄のない施工に努めている。このことは結果としてコスト縮減・効率化対策へ寄与している。

(2) 実施

ア 品質管理(主に施工管理)

施工計画は、所定の承認を得て作成している。主に、施工計画書(全体)・施工計画書(工種毎)を中心に計画している。施工計画書(工種毎)は、泥土圧ミニシールド工・坑内ダクタイル管布設工・立坑掘削山留工事・到達立坑地上配管工事等について計画している。また、現況は地元の道路を通過するため、地域と十分なコミュニケーションを図り理解を得て工事をしている。施工計画書作成に際し、現地調査および土質試験などの確認をしている。

イ 原価管理

工事は、特記仕様書(一般編)・特記仕様書(シールド工編)等をふまえ検討し、手戻りが無いようにしている。また、事前調査では工事に際し基本事項を確認し計画することでコスト縮減を図っている。さらに、着工前の設計照査は記録として管理しておりコスト面でも適正であることを確認した。

ウ 工程管理

工事は、計画97%、実施97%(令和5年10月末日現在)である。工事が計画通りに進捗している主な要因は、施工に際し月毎に工程表を確認し密な打ち合わせにより管理していることが大きいと考えられる。

エ 安全衛生管理

工事は、軽微な災害(一次覆工セグメントとの接触)が1件発生している。経過は問題ない。工事に際し安全衛生協議会の組織を構成し施工に臨んでいる。主に、作業所の工事安全衛生方針として「作業手順KY、工事打ち合わせの充実により、全作業員の安全意識の向上を図る。」、「現場巡視時の指導強化(具体的な指導)により、法違反事項の徹底排除を図る。」、「有資格者配置の徹底を図る。」を挙げ取り組んでいる。具体的な活動は、具体的安全衛生管理活動にて「安全ミーティング」、「週間点検」、「特別安全日」等を設け活動している。

オ 環境管理

環境対策として、工事周辺環境対策の騒音・振動を挙げている。具体的対策は「防音ハウスの築造」、「残土搬出作業の夜間禁止」、「対策機械の使用」、「舗装段差の監視」、「ダンプトラックの徐行運転」、「空ふかしの禁止」等を挙げて軽減に努めている。

カ 法令遵守

工事の各プロセスについて、発注者の要求事項や法令等を遵守し工事をしている。また、利害関係者(地元住民、発注者、協力会社等)の要求も理解し工事をしている。特に地域住民へは工事概要の説明を行い住民の理解を得て工事に着手している。施工区域はバリケード・トラロープ等により明示し、地域住民及び作業員が互いに区域内外に立ち入らないように対処している。

(3) 確認検証

ア 品質管理

シールド工の裏込めモルタルの一軸圧縮試験をサンプリングした。1回/200mの管理頻度である。実測値3箇所の平均値が2.824N/㎟であり今回採用規格値の2.00N/㎟を満たし合格している。

イ 出来形管理

シールド工の一次覆工変位をサンプリングした。1704リングで実測値平均-11mm、規格値(今回採用規格値)±50mmの測定値であり、規格値内で合格している。

ウ 写真管理

全般に写真管理は適正に管理している。特に、工事後不可視になる部分について撮影していることを確認した。

(4) 改善

ア 今回の監査は進捗約97%の時期である。予防的な監査を実施する観点で検討することを推奨する。参考、品質は不可視部分が見れない。コスト・工期は施工途中のリスクに対する状況が見れない。安全衛生・環境は大半を施工途中で見るものである。

イ 施工計画書(泥土圧ミニシールド)144頁の緊急事態について、発生事象に「土砂スキップ」による土砂災害等が示されていない。盛り込むことを推奨する。

ウ 施工計画書(坑内ダクタイル管布設工)26頁の「PN形継手チェックシート」にて「清掃」、「滑剤の塗布」を記入している。作業に際し、19頁の配管方法では「清掃及び滑剤を塗布し」と作業方法を示しているが具体的に示されていない。明確にすることを推奨する。(到達立坑・地上配管施工計画書18頁に詳しく示している。)

エ 施工計画書(当初)165頁、環境対策の酸欠防止対策は労働衛生に関する内容であり、明確にすることを推奨する。

オ 施工計画書(当初)144頁の安全衛生管理計画では、幹事会社の大阪支店方針を示している。主に「ワーク・ライフ・バランス」、「健康管理の維持・増進」など衛生管理(健康管理)に力点をおいている。しかし、施工計画書では、「健康管理の推進と快適職場の形成・労働衛生の向上」などの項目や「体調チェック・定期健康診断」などの事後的な対策が見られる。工事は作業員が狭隘な施工環境で作業を行うため、健康面に配慮した予防的な対策(作業環境管理、作業管理)について盛り込むことを推奨する。

カ 現場巡回では以下の内容を検出した。

  (ア) 発進立坑へ昇降する転落防止背枠付梯子(ペアーステップ)は、昇降口の手前に立入禁止のチェーンで防護している。チェーンをはずすとペアーステップの箇所では防護が無く、墜落の可能性がありリスクの低減を推奨する。

  (イ) 発進立坑エリアは公道を挟んで分断している。作業員が発進立坑エリアを横断時に公道を走行する自転車等と接触するリスクがあり、リスクの低減を推奨する。


Danjiri city kishiwada