本文
平成30年度工事監査の結果(山直中福田線(山直中橋)橋梁修繕工事・春木駅大宮駅線(加守橋)橋梁修繕工事)
第1 監査の対象
1 対象工事
山直中福田線(山直中橋)橋梁修繕工事(平成28年度施工)
春木駅大宮駅線(加守橋)橋梁修繕工事(平成29年度施工)
2 対象部課
予算所管・工事担当部課 建設部高架事業・道路整備課
契約担当部課 総務部契約検査課
第2 監査の目的
岸和田市が管理している市内230橋のうち主要橋梁93橋を対象として、平成27年5月に岸和田市橋梁長寿命化修繕計画(以下「計画」という。)が策定された。計画では、予防保全型管理(将来の損傷を予測した上で計画的に修繕する方法)を計画的に実施することにより、橋梁の寿命を延ばし、将来にわたって持続的に安全性・信頼性を確保するとされている。計画に基づき、平成28年度には山直中福田線(山直中橋)を含む3橋、また、平成29年度には春木駅大宮駅線(加守橋)を含む3橋の修繕工事が実施された。今後、継続的に実施される工事であることから、計画の趣旨に基づき、設計、積算及び施工が法令等に準拠しているか、工事が適切かつ効率的、経済的に実施されているかについて調査し、必要な是正・改善を図るとともに関係職員の能力向上に資することを目的とする。
第3 監査の着眼点
岸和田市監査等の基準及び事務処理に関する規程に基づき策定した平成30年度工事監査実施計画に定める監査の着眼点について、実査、立会、確認、証憑突合、帳簿突合、質問、閲覧により行った。
第4 監査の主な実施内容
平成28年度及び平成29年度に施工された橋梁修繕工事の中から、変更契約の状況等を勘案のうえ、構造が鋼であるもの、コンクリートであるものから1橋ずつ対象工事を選定し、設計図書、関係図書等の書類調査と現場調査を関係職員立会いのもと説明聴取を受け実施した。
なお、監査の実施にあたっては、専門的な知識を必要とするため、協同組合総合技術士連合に工事技術調査業務を委託し、派遣された技術士による技術調査の結果報告を参考に、総合的に判断する方法により実施した。
第5 監査の実施場所及び日程
1 実施場所
書類調査 第1委員会室
現場調査 岸和田市山直中町地内及び加守町地内他
2 日程
(1) 調査期間 平成30年9月21日から平成30年10月31日まで
(2) 監査実施日 平成30年10月31日
第6 工事の概要
1 山直中福田線(山直中橋)橋梁修繕工事
(1) 工事場所
岸和田市山直中町地内
(2) 工事請負業者
株式会社 旭地建
(3) 工事請負金額
当初請負金額 13,481,640円(設計金額 15,832,800円)
第1回変更請負金額 17,068,320円(設計金額 20,045,880円)
第2回変更請負金額 17,391,240円(設計金額 20,424,960円)
(4) 工事期間
当初工事期間 平成28年10月24日から平成29年2月28日まで
変更工事期間 平成28年10月24日から平成29年3月24日まで
(5) 変更理由及び内容
第1回変更理由及び内容
断面修復工において、施工前の事前詳細損傷調査により、設計時に診断されていない損傷(コンクリートのうき)が確認されたため、増額変更がなされた。
伸縮装置取替工において、当初、既設床版厚がコンクリートアンカーを打ち込む標準型では適応できないとの判断から、薄型対応型で設計されていたが、製造メーカーによる現地詳細調査により、標準型での施工が可能となったため、減額変更がなされた。
高欄嵩上げ工において、特殊形状であったため、適合する製品がなく、当初、施工困難とされたが、施工可能な製品を提供できる製造会社との協議が整ったため、増額変更がなされた。
第2回変更理由及び内容
舗装工において、当初の想定より舗装厚が厚かったため、切削及び舗装復旧について増額変更がなされ、併せて工事期間も変更された。
(6) 工事監督員
高架事業・道路整備課 島田 正志
(7) 竣工検査日
平成29年3月30日
(8) 橋梁の構造
鋼橋
(9) 工事の内容
工事延長 L=31メートル(橋長24.7メートル)
ひび割れ補修工 55メートル
断面修復工 0.8立方メートル
表面保護工 303平方メートル
排水施設工 一式
塗替塗装工 165平方メートル
伸縮装置取替工 17メートル
橋面防水工 125平方メートル
舗装工 155平方メートル
高欄嵩上げ工 49メートル
2 春木駅大宮駅線(加守橋)橋梁修繕工事
(1) 工事場所
岸和田市加守町地内他
(2) 工事請負業者
有限会社 ニシノ組工業
(3) 工事請負金額
当初請負金額 14,232,240円(設計金額 16,471,080円)
第1回変更請負金額 13,819,680円(設計金額 15,994,800円)
(4) 工事期間
平成29年8月30日から平成30年1月31日
(5) 変更理由及び内容
伸縮装置取替工において、試掘調査の結果、伸縮装置設置が一部不要と判断されたため、減額変更がなされた。
塗替塗装工、仮設足場工において、所轄警察署との協議の結果、交通規制が必要となったため、交通誘導警備員分について増額変更がなされた。
(6) 工事監督員
高架事業・道路整備課 北出 達郎
(7) 竣工検査日
平成30年2月9日
(8) 橋梁の構造
コンクリート橋
(9) 工事の内容
工事延長 L=27メートル(橋長26.9メートル)
ひび割れ補修工 1メートル
断面修復工 0.2立方メートル
表面保護工 490平方メートル
排水施設工 一式
塗替塗装工 83平方メートル
伸縮装置取替工 10メートル
高欄嵩上げ工 47メートル
第7 監査結果
山直中福田線(山直中橋)は、市内中央部を結ぶ主要道路である山直中福田線に架かる橋で、1969年に架設されている。また、春木駅大宮駅線(加守橋)は、市街地中心部である南海本線春木駅と和泉大宮駅を結ぶ主要道路春木駅大宮駅線に架かる橋で、同じく1969年に架設されている。
当工事は、橋梁定期点検の結果、損傷が確認され、計画に基づき損傷度、重要度を勘案し、計画的な予防保全による橋梁の長寿命化及び安全な交通の確保を図るため実施されたものである。
技術士による書類調査及び現場調査に立ち会って確認をしたところ、書類調査では、当工事の計画、設計、積算、契約、施工管理等について、総括的に良好であると判断した。
現場調査では、山直中福田線(山直中橋)について、橋台ひびわれ注入工打音、うき及び防護柵嵩上げ高欄の取付け状況等、春木駅大宮駅線(加守橋)について、断面修復工の補修後状況及び防護柵嵩上げ高欄の取付け状況等を確認し、総括的に良好であると判断した。
本市における道路施設の多くは、現在建設後50年以上経過している。橋梁についてもさまざまな損傷が見られ、適時修繕を行わなければ大規模な修繕が必要となり、将来的に大きな負担が生じることとなる。橋梁の老朽化に伴う更新時期の到来に向け、橋梁修繕工事の計画的な実施は非常に重要なものだと思われる。今回の工事監査において、技術士の専門的な見地から書類調査、現場調査を受け、調査結果は工事全般について是正や瑕疵は見当たらず、良好とされた。このことについては、本市の工事担当者の技術水準が評価されたものである。今後も定期的に橋梁点検を実施し、現状を把握することで、計画の見直し、更新を行い、コストの縮減・適正化、市民の安全の確保のため、なお一層、工事担当者の技術水準の向上に努められたい。
第8 調査の内容
技術士による工事技術調査結果報告書の主な内容は、以下のとおりである。
1 山直中福田線(山直中橋)橋梁修繕工事
(1) 総括所見
現場は既に工事は完了しており、工事監査資料及び工事写真他関係書類並びに現地調査のうちから、各工種の技術調査着目点について質疑応答を行った。
質疑に関する回答(口頭及び資料による)は十分なものであった。調査の結果、工事全般に関する是正や瑕疵は見当たらなかったので良好と認めた。
なお、関係書類及び現地調査を行った工事監査の着眼点評価は、下記のとおりである。
工事監査着眼点評価一覧表[〇:適、合格 △:是正要望のある場合、-:該当なし]
番号 | 調 査 着 眼 点 | 評価 | |
計画設計 | 1 | 上位計画との整合、基本計画等の策定経過等、工事の計画性に問題はないか。 | 〇 |
2 | 法令・基準等を遵守した計画・設計・施工をしているか。 | 〇 | |
3 | 設計が合理的、妥当なものかどうか。その根拠は適切か。 | 〇 | |
4 | 機能・安全に対し適切か。構造・仮設計算等のチェック・認識は良いか。 | 〇 | |
5 | 維持管理の容易及び経済性を考慮して設計されたか。 | 〇 | |
6 | 施工法等に改善すべき点はないか。新工法を積極的に検討したか。 | 〇 | |
7 | 設計成果物内容の検査及び確認は適切に行われているか。 | 〇 | |
積算入札 | 8 | 特定の機種や会社の製品を使っている場合、理由は明確か。 | 〇 |
9 | 損料計算など積算根拠は明確か。仮設等に未積算はないか。 | 〇 | |
10 | 積算でのチェックは組織的にかつ確実に行っているか。 | 〇 | |
11 | 入札・契約・完成保証等方法及び書類は適切か。 | 〇 | |
工事監督 | 12 | 工事監督は適切に行われているか。書類は適切か。内容確認は適切か。 | 〇 |
13 | 関連工事との連絡調整は適切に行われているか。 | 〇 | |
14 | 工期変更がある場合、理由は適切か。竣工までに問題はないか。 | 〇 | |
15 | 材料等の承認・伺い事項等適切な管理の実行、必要書類の欠落、無駄な書類の存在 | 〇 | |
施工管理 | 16 | 工事施工計画書は適切か。 | 〇 |
17 | 工事施工に関する諸官庁等への事務手続は適正に行われているか。 | 〇 | |
18 | 設計図書どおり施工されているか。変更の場合は理由が明確か。 | 〇 | |
19 | 現場保安措置及び災害・交通対策は、適切に行われているか。 | 〇 | |
20 | 工事公害(騒音・振動・大気・河川汚染)等への環境対策は適切か。 | 〇 | |
21 | 材料の出納保管は適切に行われているか。 | 〇 | |
22 | 重機類の安全対策、作業員の安全教育等、安全に関して適切か。 | 〇 | |
検査 | 23 | 各種検査、材料試験等は適正か。またそれらの記録は的確に整備されているか。 | 〇 |
(2) 書類調査
現場は既に工事は完了しており、電子納品資料等の工事の関係書類の確認を行った。計画・調査・設計・積算・契約・施工・管理・試験・検査等の技術的事項について関係者に質疑し、回答を求めた。結果は、記載内容、資料整備、各項目での整合性もなされており、適切かつ妥当であり、特に問題は無かった。
主な関係調査書類は下記のとおりである。
各書類詳細についての一覧表
・工事請負契約書 |
・現場代理人、主任技術者届 |
・特記仕様書及び設計図面 |
・設計内訳書 |
・構造、要領、数量計算書 |
・全体工程表、施工計画書 |
・建設業退職金共済加入、労災保険成立証明書 |
・施工体制台帳、下請業者届、施工体系図 |
・使用材料承認願書 |
・再生資源の利用促進、建設副産物の適正処理 |
・工事指示書関係 |
・安全衛生記録 |
(3) 計画・設計
計画・設計上準拠した指針・基準等
書 籍 名 | 発 刊 | 発 刊 者 |
コンクリート標準示方書 維持管理編 | 2013年制定 | 公益社団法人 土木学会 |
道路橋床版防水便覧 | 平成19年3月 | 社団法人 日本道路協会 |
鋼道路橋防食便覧 | 平成26年3月 | 公益社団法人 日本道路協会 |
防護柵設置要綱・資料集 | 昭和61年7月 | 社団法人 日本道路協会 |
(4) 積算
積算の根拠資料としては次のとおりであり、建設物価本等に記載がないものは業者見積(3社以上)を採り比較検討を行って積算をしている。
積算上準拠した基準等を次の一覧に上げてみる。
書 籍 名 | 発 刊 | 発 刊 者 |
建設工事積算基準 | 平成27年4月 | 大阪府都市整備部 |
廃棄物等受入価格 | 平成27年度 | 大阪府都市整備部 |
月刊 積算資料 | 平成28年4月 | 一般財団法人 経済調査会 |
月刊 建設物価 | 平成28年4月 | 一般財団法人 建設物価調査会 |
土木施工単価 | 平成28年4月 | 一般財団法人 経済調査会 |
土木コスト情報 | 平成28年4月 | 一般財団法人 建設物価調査会 |
(5) 使用材料
使用材料は材料承認願いが提出され、工事監督員が内容確認をしており、各材料の形状寸法、品質、強度は設計に適合するものと思われる。
(6) 施工管理
本工事の施工にあたっては、特記仕様書によるほか、「岸和田市土木工事共通仕様書・岸和田市土木工事施工管理基準」、大阪府都市整備部の「請負必携等」によるものとしている。
現場は山直中福田線に架設されている橋梁であり、工事は既に竣工している。市道春木岸和田線(蜻蛉池公園側)から岸和田牛滝山貝塚線へのアクセス道路であり、国道170号が隣接しているため、抜け道で一般車両が頻繁に走行している。
このことにより、一般車両、通行人への危害防止、交通災害の防止を行わなければならない工事箇所である。仮設工(資材搬入・搬出、高欄嵩上げ工)時は、昼間片側交互通行であり、橋面補修工は、昼間車両通行止めにより道路占用をかけていたので、車両通行止め時一般車両は迂回をしているが、警察協議で決められた時間には通行止めを解除するため、解放前の材料の硬化等確認が必要であった。
ア 環境対策
特記仕様書にも列記されているが、大気汚染対策として、排出ガス対策型建設機械指定要領に基づき指定された排出ガス対策型建設機械を使用するものとして、施工計画書に発電機、コンプレッサー等の当該機械を使用するよう記載されており対策はされていた。また、斫り作業時は、散水を行い粉じんの抑制を行っている。
水質汚染対策としては、橋梁下には二級河川の牛滝川が流れており油脂類、塗料等が流出し水質汚染が懸念されるため、関係従事者への教育の実施を行い、吊り足場の作業床にシートを敷き河川へ流出しないようされていた。
公道の維持管理は汚さないよう心がけ、日常人力による清掃にも心がけていた。
以上のことにより、環境対策は良好であった。
イ 安全衛生管理
現場の安全管理は、工事写真、施工計画書での安全関係書類等での判断であるが、既に竣工しており、無事故無災害であったと聞いている。「墜落・転落災害」及び「交通災害」の防止に務めることが重要であった。
墜落・転落災害の防止対策は、吊り足場上での安全帯の完全使用であり日常の安全教育と常に声掛けを行うことが周知できていた。
交通災害防止は、標識類、防護柵等の安全施設類について、現場条件に応じて設置する他、道路管理者及び所轄警察署と協議・打合せの結果、昼間通行として橋面補修工は通行止めで迂回路含め交通誘導員5人/日配置、仮設足場工の資材搬入出は片側交互通行であり、交通誘導員3人/日を配置し、交通災害防止に務めていた。
以上のことにより安全衛生管理は十分行き届いており、無事故無災害で竣工している。日ごろの安全意識を関係者全員持ち続けたことも鑑み、良好であった。
ウ 品質管理・出来形管理
工事請負業者は日常の施工段階で工事監督員に段階確認を行ってもらっている。成果物は、工事写真、出来形調書等を確認した結果、仕上がり状況は良好であった。
どの工種においても基準値以内に収まっていた。
以上のことにより、品質管理・出来形管理は良好であった。
エ 工程管理
工程管理については、設計変更に応じて都度修正されて、支障物件の工程調整においても取組みがなされ、良好であった。
2 春木駅大宮駅線(加守橋)橋梁修繕工事
(1) 総括所見
現場は既に工事は完了しており、工事監査資料及び工事写真他関係書類並びに現地調査のうちから、各工種の技術調査着目点について質疑応答を行った。
質疑に関する回答(口頭及び資料による)は十分なものであった。調査の結果、工事全般に関する是正や瑕疵は見当たらなかったので良好と認めた。
なお、関係書類及び現地調査を行った工事監査の着眼点評価は、下記のとおりである。
工事監査着眼点評価一覧表[〇:適、合格 △:是正要望のある場合、-:該当なし]
番号 | 調 査 着 眼 点 | 評価 | |
計画設計 | 1 | 上位計画との整合、基本計画等の策定経過等、工事の計画性に問題はないか。 | 〇 |
2 | 法令・基準等を遵守した計画・設計・施工をしているか。 | 〇 | |
3 | 設計が合理的、妥当なものかどうか。その根拠は適切か。 | 〇 | |
4 | 機能・安全に対し適切か。構造・仮設計算等のチェック・認識は良いか。 | 〇 | |
5 | 維持管理の容易及び経済性を考慮して設計されたか。 | 〇 | |
6 | 施工法等に改善すべき点はないか。新工法を積極的に検討したか。 | 〇 | |
7 | 設計成果物内容の検査及び確認は適切に行われているか。 | 〇 | |
積算入札 | 8 | 特定の機種や会社の製品を使っている場合、理由は明確か。 | 〇 |
9 | 損料計算など積算根拠は明確か。仮設等に未積算はないか。 | 〇 | |
10 | 積算でのチェックは組織的にかつ確実に行っているか。 | 〇 | |
11 | 入札・契約・完成保証等方法及び書類は適切か。 | 〇 | |
工事監督 | 12 | 工事監督は適切に行われているか。書類は適切か。内容確認は適切か。 | 〇 |
13 | 関連工事との連絡調整は適切に行われているか。 | 〇 | |
14 | 工期変更がある場合、理由は適切か。竣工までに問題はないか。 | - | |
15 | 材料等の承認・伺い事項等適切な管理の実行、必要書類の欠落、無駄な書類の存在 | 〇 | |
施工管理 | 16 | 工事施工計画書は適切か。 | 〇 |
17 | 工事施工に関する諸官庁等への事務手続は適正に行われているか。 | 〇 | |
18 | 設計図書どおり施工されているか。変更の場合は理由が明確か。 | 〇 | |
19 | 現場保安措置及び災害・交通対策は、適切に行われているか。 | 〇 | |
20 | 工事公害(騒音・振動・大気・河川汚染)等への環境対策は適切か。 | 〇 | |
21 | 材料の出納保管は適切に行われているか。 | 〇 | |
22 | 重機類の安全対策、作業員の安全教育等、安全に関して適切か。 | 〇 | |
検査 | 23 | 各種検査、材料試験等は適正か。またそれらの記録は的確に整備されているか。 | 〇 |
(2) 書類調査
現場は既に工事は完了しており、電子納品資料等の工事の関係書類の確認を行った。計画・調査・設計・積算・契約・施工・管理・試験・検査等の技術的事項について関係者に質疑し、回答を求めた。結果は、記載内容、資料整備、各項目での整合性もなされており、適切かつ妥当であり、特に問題は無かった。
主な関係調査書類は下記のとおりである。
各書類詳細についての一覧表
・工事請負契約書 |
・現場代理人、主任技術者届 |
・特記仕様書及び設計図面 |
・設計内訳書 |
・構造、要領、数量計算書 |
・全体工程表、施工計画書 |
・建設業退職金共済加入、労災保険成立証明書 |
・施工体制台帳、下請業者届、施工体系図 |
・使用材料承認願書 |
・再生資源の利用促進、建設副産物の適正処理 |
・工事指示書関係 |
・安全衛生記録 |
(3) 計画・設計
計画・設計上準拠した指針、基準等
書 籍 名 | 発 刊 | 発 刊 者 |
コンクリート標準示方書 維持管理編 | 2013年制定 | 公益社団法人 土木学会 |
道路橋床版防水便覧 | 平成19年3月 | 社団法人 日本道路協会 |
鋼道路橋防食便覧 | 平成26年3月 | 公益社団法人 日本道路協会 |
防護柵設置要綱・資料集 | 昭和61年7月 | 社団法人 日本道路協会 |
(4) 積算
積算の根拠資料としては次のとおりであり、建設物価本等に記載がないものは業者見積(3社以上)を採り比較検討を行って積算をしている。
積算上準拠した基準等を次の一覧に上げてみる。
書 籍 名 | 発 刊 | 発 刊 者 |
建設工事積算基準 | 平成28年4月 | 大阪府都市整備部 |
廃棄物等受入価格 | 平成28年度 | 大阪府都市整備部 |
月刊 積算資料 | 平成29年4月 | 一般財団法人 経済調査会 |
月刊 建設物価 | 平成29年4月 | 一般財団法人 建設物価調査会 |
土木施工単価 | 平成29年4月 | 一般財団法人 経済調査会 |
土木コスト情報 | 平成29年4月 | 一般財団法人 建設物価調査会 |
(5) 使用材料
使用材料は材料承認願いが提出され、工事監督員が内容確認をしており、各材料の形状寸法、品質、強度は設計に適合するものと思われる。
(6) 施工管理
本工事の施工にあたっては、特記仕様書によるほか、「岸和田市土木工事共通仕様書・岸和田市土木工事施工管理基準」、大阪府都市整備部の「請負必携等」によるものとしている。
現場は南海本線春木駅南直近にある春木第1踏切と春木第3踏切の東側市道中間点で、南海本線に平行して架設されている橋梁であり、橋梁下に春木川が流れている。朝、夕には踏切箇所で交通渋滞があるため、現場まで影響が伸びる箇所である。工事は既に竣工しているが、難易度が高かった箇所であったと思われる。
このことにより、一般車両、通行人への危害防止、交通災害の防止を行わなければならない工事箇所である。仮設工(資材搬入・搬出、高欄嵩上げ工)時は昼間片側交互通行であり、橋面補修工は、昼間車両通行止めにより道路占用をかけていたので、車両通行止め時一般車両は迂回をしているが、警察協議で決められた時間には通行止めを解除するため、解放前の材料の硬化等確認が必要であった。
ア 環境対策
特記仕様書にも列記されているが、大気汚染対策として、排出ガス対策型建設機械指定要領に基づき指定された排出ガス対策型建設機械を使用するものとして、施工計画書に発電機、コンプレッサー等の当該機械を使用するよう記載されており対策はされていた。また、斫り作業時は散水し粉じんの抑制を行っている。
水質汚染対策としては、橋梁下には二級河川の春木川が流れており、油脂類等の流出による水質汚染が懸念されるため、関係従事者への教育の実施を行い、吊り足場の作業床にシートを敷き、河川へ流出しないようされていた。
公道の維持管理は汚さないよう心がけ、日常人力による清掃にも心がけていた。
以上のことにより、環境対策は良好であった。
イ 安全衛生管理
現場の安全管理は、工事写真、施工計画書での安全関係書類等での判断であるが、既に竣工しており、無事故無災害であったと聞いている。「墜落・転落災害」及び「交通災害」の防止に務めることが重要であった。
墜落・転落災害の防止対策は、吊り足場上での安全帯の完全使用であり日常の安全教育と常に声掛けを行うことが周知できていた。
交通災害防止は、標識類、防護柵等の安全施設類について、現場条件に応じて設置する他、道路管理者及び所轄警察署と協議・打合せの結果、仮設工(資材搬入・搬出、高欄嵩上げ工)は昼間片側交互通行として交通誘導員3人/日を配置、橋面補修工時は昼間通行止めとし、交通誘導員6人/日を配置し、交通災害防止に務めていた。
以上のことにより安全衛生管理は十分行き届いており、無事故無災害で竣工している。日ごろの安全意識を関係者全員持ち続けたことも鑑み、良好であった。
ウ 品質管理・出来形管理
工事請負業者は日常の施工段階で工事監督員に段階確認を行ってもらっている。成果物は、工事写真、出来形調書等を確認した結果、仕上がり状況は良好であった。どの工種においても基準値以内に収まっていた。
以上のことにより、品質管理・出来形管理は良好であった。
エ 工程管理
工程管理については、当初計画工程通りであり、支障物件の工程調整においても取組みがなされ、良好であった。