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報道発表「ムサシモが発見されました」
概要
久米田池で府内絶滅と思われていた「ムサシモ」の生育が確認されました。
詳細
新潟大学の志賀 隆 准教授らによる久米田池での水草調査(2023年9月20日)で、全国的に珍しい沈水性水草であるムサシモが生育していることが確認されました。大阪府内では69年ぶりの発見です。
ムサシモは平地の浅い水中に生える小型の一年草で、宮城県以南の本州と四国、国外では台湾、中国に分布が確認されています。全国的に極めて稀な植物で、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧IB類(EN:近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に指定されています。大阪府内では、1954年に天王寺公園で採集された標本を最後に、以後は確実な生育情報はなく、大阪府レッドリスト(2014)では府内絶滅としてリストアップされています。
よく似た種類が多いイバラモ属ですが、本種は学名や別名で示されるように、三日月型に曲がった果実を持つという点で極めて特異であり、果実があれば同定は容易です。
ムサシモは小型の沈水植物で、毎年種子から成長を開始する一年草なので、生育や繁殖のためには、春から秋にかけて続く、ある程度の透明度を保った浅瀬を必要とします。除草が徹底し、夏から秋に乾田化する近年の水田は生育適地とはなりにくくなっており、久米田池の広大な浅瀬は、ムサシモの安定した生残地として大いに期待できます。そのため、水の透明度の保全と浮葉性植物の過剰な繁茂を防ぐための監視が必要です。
水底に生える小型植物であるムサシモなどのイバラモ属植物は、調査、発見の難しい水草の中でもとりわけ見逃されやすい植物です。近隣のため池にも生残の可能性があり、調査や環境保全が望まれます。
ムサシモ(別名:マガリミサヤモ)
Najas ancistrocarpa A. Braun ex Magnus (トチカガミ科、旧イバラモ科)
(ancistrocarpa: フック状・鉤状の果実をもつ)
問合せ先
岸和田市教育委員会生涯学習部郷土文化課
きしわだ自然資料館(電話:072-423-8100)