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令和元年度指定管理者監査の結果
第1 監査の対象
1 指定管理者
南海・T V Kグループ
2 対象施設
岸和田市立浪切ホール・岸和田市営旧港地区立体駐車場
3 所管部課
魅力創造部文化国際課
4 対象期間
平成30年度分(平成30年4月1日から平成31年3月31日まで)。ただし、必要に応じて他年度分を含む。
第2 監査の主な実施内容及び着眼点
監査対象施設の指定管理者及び所管部課から関係諸帳簿の提出を受け、岸和田市監査等の基準及び事務処理に関する規程に基づき策定した令和元年度公の施設の指定管理者監査実施計画に定める監査の着眼点について、実査、証憑突合、帳簿突合、計算突合、質問、閲覧により行った。
第3 監査の実施場所及び日程等
1 実施場所
第1委員会室
2 日程
(1) 調査期間 令和元年10月29日から令和2年1月29日まで
(2) 監査実施日 令和2年1月29日
3 監査を実施した監査委員
平田徹、森田敏裕
第4 指定管理者の概要
1 設立
平成27年7月21日に成立したグループである。
2 構成団体
南海ビルサービス株式会社及び株式会社テレビ岸和田
3 代表団体
南海ビルサービス株式会社
4 職員数
浪切ホール職員 31名
第5 指定管理の状況
1 岸和田市立浪切ホール(以下「浪切ホール」という。)
(1) 施設の所在地
岸和田市港緑町1番1号
(2) 施設の設置目的
市民文化の創造を図り、交流の促進に資するために設置されている。
(3) 指定期間
平成28年4月1日から令和4年3月31日まで
(4) 指定管理者の業務範囲
ア 浪切ホールの利用に関する業務
イ 浪切ホールの利用の料金の収受に関する業務
ウ 浪切ホールの利用の料金の減免及び還付に関する業務
エ 浪切ホールの施設及び設備の維持管理に関する業務
オ 浪切ホールで実施する事業の運営に関する業務
カ その他、浪切ホールの管理に関し市長が必要と認める業務
(5) 指定管理者の選定方法
公募
(6) 利用料金制
導入
(7) 施設の利用状況
平成30年度 | 平成29年度 | |
利用料金収入 | 137,833,285円 | 130,578,165円 |
来館者数 | 579,901人 | 589,404人 |
企画事業数 | 53事業 | 61事業 |
企画事業入場者数 | 54,421人 | 44,709人 |
友の会会員数 | (一般)2,517件 | (一般)1,977件 |
(法人) 126件 | (法人) 119件 | |
駐車場利用台数 | 104,764台 | 106,796台 |
(注)監査資料より
2 岸和田市営旧港地区立体駐車場(以下「立体駐車場」という。)
(1) 施設の所在地
岸和田市港緑町2番
(2) 施設の設置目的
本市の旧港地区における自動車利用者の利便増進を図り、もって地域経済の振興に資するために設置されている。
(3) 指定期間
平成28年4月1日から令和4年3月31日まで
(4) 指定管理者の業務範囲
ア 立体駐車場の利用に関する業務
イ 立体駐車場の利用の料金の収受に関する業務
ウ 立体駐車場の利用の料金の減免及び還付に関する業務
エ 立体駐車場の施設、設備等の維持管理に関する業務
オ その他、立体駐車場の管理に関し市長が必要と認める業務
(5) 指定管理者の選定方法
公募
(6) 利用料金制
導入(ただし、平成28年7月1日から利用料金は無料)
(7) 施設の利用状況
平成30年度 | 平成29年度 | |
立体駐車場利用台数 | 73,362台 | 61,015台 |
(注)監査資料より
3 収支の状況 ((注)事業報告書より)
(1) 浪切ホールの施設運営・管理に関する収支状況
収入 | |
岸和田市指定管理料 | 185,327,000 |
利用料金 | 137,833,285 |
その他 | 36,136,881 |
収入合計 | 359,297,166 |
支出 | |
人件費 | 79,392,709 |
修繕費 | 6,517,385 |
光熱水費 | 51,535,947 |
保守管理費 | 180,193,812 |
その他 | 28,608,608 |
支出合計 | 346,248,461 |
収支差引額 | 13,048,705 |
(2) 企画事業実施に関する収支状況
収入 | |
岸和田市指定管理料 | 56,830,000 |
チケット収入 | 153,779,703 |
助成金 | 5,000,000 |
その他 | 21,808,558 |
収入合計 | 237,418,261 |
支出 | |
事業費 | 216,223,027 |
広告宣伝費 | 23,679,102 |
その他 | 10,494,987 |
支出合計 | 250,397,116 |
収支差引額 | △12,978,855 |
(3) 浪切ホール駐車場及び立体駐車場の運営・管理に関する収支状況
収入 | |
岸和田市指定管理料 | 14,745,000 |
収入合計 | 14,745,000 |
支出 | |
運営業務委託料 | 10,886,400 |
光熱水費 | 1,542,546 |
機器点検委託料 | 1,190,976 |
その他 | 29,184 |
支出合計 | 13,649,106 |
収支差引額 | 1,095,894 |
(※ 人件費は、浪切ホールの施設運営・管理に関する経費に含む)
第6 監査の結果
浪切ホール及び立体駐車場の管理運営については、設置条例及び基本協定書に基づき、おおむね適正に実施されているものと認められたが、所管部課・指定管理者において、一部、指摘事項又は注意を要する事項が認められた。
指摘事項については、是正・改善の必要があるため、適切な措置を講じられたい。なお、所管部課は、指定管理者による管理運営の状況を確認し、必要に応じ指導する立場にあるため、措置を講じたときは、指定管理者による措置の状況も確認した上で、遅滞なく通知されたい。また、指定管理者においては、注意を要する事項についても、管理点検体制を確認し、今後の事務執行に十分留意されたい。
指摘事項及び注意を要する事項の判断基準は、次のとおりである。
指摘事項 (1) 市に損害を与えている、又は損害を与える恐れがあるもの (2) 収入確保に適切な措置を要するもの (3) 予算を目的外に支出しているもの (4) 不必要な予算執行をしているもの又は損害を生じているもの (5) 法令や条例、通達等に違反しているもの (6) 契約や協定等に反しているもの (7) 機関の意思決定が適切になされていないもの (8) 書類の隠匿や改ざんその他の故意による違反行為があるもの (9) 重大な過失又は著しい怠慢によって誤りを生じているもの (10) 正確性、経済性、効率性又は有効性の観点から改善を要するもの (11) 前回、指摘事項又は注意を要する事項とした事項のうち、是正・改善されていないもの (12) 前回、観察事項とした事項のうち、再度誤りがあったもの(修正されたものを含む) (13) 注意事項に該当する事項が多数存在するなど財務事務が全般的に不適切であるもの (14) その他、不当又は適正を欠く事項で指摘が適当であると認められるもの |
注意を要する事項 (1) 不当又は違法ではないが適切でないもの (2) 執行機関等に改善・検討などを促し、又は注意を喚起することが必要と認められるもの (3) 上記の指摘事項以外で、金額、手続、処理、方法等から見て比較的軽微な誤りと認められるもの |
1 指摘事項
(1) 共通事項(所管部課・指定管理者)
ア 基本協定書では、指定管理者は事前に書面で市の承諾を受けた場合を除いて、本業務の一部を第三者に委託し、又は請け負わせてはならないとされているが、市の承諾に関する書面を確認できないものがあった。(判断基準 (6))
イ 基本協定書では、指定管理者は市に対して事業報告書を提出するにあたり、監査日、監査結果及び監査人氏名等を記した監査報告書を提出しなければならないとされているが、指定管理者から提出された会計監査報告書に監査日の記載がなかった。(判断基準 (6))
ウ 基本協定書では、指定管理者は管理備品をその費用負担区分や所有区分により、1種・2種・3種に区分して管理することになっているが、市が指定管理者に貸与している備品等(1種)について、市の備品台帳に記載されていないもの、現物確認できなかったものがあった。また、基本協定書では、備品等(1種)について、使用することができなくなったときは、指定管理者は市に対し、使用できなくなった備品の名称・数量・使用できなくなった事由を書面で通知のうえ、当該備品を市に返納することになっているが、その書面を確認できなかった。(判断基準 (6))
(2) 指定管理者
指定管理業務に係る収支について、収支報告書に重複して計上されているもの、収支報告書と総勘定元帳に計上されている金額が合致していないもの、総勘定元帳に計上されているが収支報告書に計上されていないものがあった。また、レストラン業務に係る光熱水費について、仕様書では、指定管理業務に係る光熱水費に含めないこととされているが、指定管理業務に係る経費に含まれていた。(判断基準 (6))
2 注意を要する事項
(1) 指定管理者
企画事業実施に関する契約について、契約書を確認できなかったものがあった。関係諸帳簿については、適切に整備し保管されたい。(判断基準 (1))
第7 意見
地方自治法第244条の2第10項では、市は指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地調査し、必要な指示をすることができると規定されている。市は施設の設置者として、指定管理者による管理・運営が協定書・仕様書等に基づき適正に行われているか、事業収支は適正か、利用者に対してサービスが安定的に提供されているか等について、常に点検・調査し、指定管理者による管理・運営の実態把握に努めることが重要である。
また、浪切ホールは平成14年の開館から18年が経過しており、今後多額の維持保全費用が見込まれることから、施設の維持管理については計画的に行われたい。
今後も、市と指定管理者による活発な情報交換や必要に応じた市の指導・助言等により、利用者満足度を高め、利用促進を図ることで、浪切ホールが総合的な文化拠点施設として、また、地域活性化の中心的な施設として、市民文化の創造及び交流の促進に寄与できるよう、より一層の努力を望む。