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市の有形文化財を指定しました【絵画】 

印刷用ページを表示する 2016年7月1日掲載

下記の文化財を市の有形文化財(絵画)に指定しました。

名称および員数

       絹本著色 華厳海会善知識曼荼羅

所有者

           宗教法人 久米田寺

所在地

    岸和田市池尻町934

時 代

           鎌倉時代後期

指定年月日

    平成28年5月1日

説 明

本図の画面は3つの区画からなる。最上部は右端から左端に「華厳海会善知識図」と書された区画、その直下中央、上七分の三、左右三分の一に大きく描かれた毘盧遮那如来像(びるしゃなにょらいぞう)の区画、その左右と下部の小区画内に「華厳経入法界品」の善財童子歴参図54場面を表す部分である。

善財童子歴参図とは、善財童子が第1場面の文殊の勧めに従って各善知識(仏道への指導者)を訪れ、最後に普賢菩薩にまみえて悟りに至るという説話画である。

華厳海会善知識曼荼羅の遺品は少なく、本図の他に華厳宗の本山東大寺に2本(重要文化財本と明時代本)、滋賀県園城寺本などがある。園城寺本は東大寺重要文化財本(13世紀)と酷似した図様で、鎌倉後期14世紀とみられている。東大寺明時代本は15世紀と推定されている。

久米田寺本は、東大寺重要文化財本・園城寺本、東大寺明時代本とは以下の点で異なる。

1 毘盧遮那如来像の坐る台は、他例が蓮華のみであるのに対して、蓮華以下に本格的な六角台を備えている。そのため、この区画が縦長である。

2 善財童子歴参図の54場面が、他例は左右各縦2列、各列9小区画の36場面、中央3列、各列6小区画の18場面であるのに対して、左右各縦3列、各列7小区画の42場面、中央3列、各列4小区画の12場面の構成である。

3 善財童子歴参図が、宋時代の仏国禅師(ぶっこくぜんし)の『文殊指南図讃(もんじゅしなんずさん)』に極めて忠実に表されている。他例は、同書と類似した表現もあるが、忠実度は緩やかである。

久米田寺本は、京都市高山寺の明恵上人(みょうえしょうにん)が描かせた原画の写しと考えられている東大寺重要文化財本の系統とは全体の構成や善財童子歴参図の図様が異なり、独特の画面を構成している。また、朱や金泥を多用する彩色は、奈良県阿弥陀寺の観経十六観変相図(かんぎょうじゅうろくかんへんそうず)など宋画写しの作例に通じるものがあり、破綻のない精緻な描写から十三世紀末の制作と推定されている。

久米田寺は行基建立のいわゆる四十九院の一つで、泉州の代表的寺院である。現在は真言宗高野派であるが、鎌倉時代後期には東大寺の宗性や凝念(ぎょうねん)に学んだ禅爾(ぜんに)によって復興され、華厳教学が隆盛であった。このようなことから、本図は東大寺伝来の『文殊指南図讃』によって、凝念あるいは禅爾のもとで制作された可能性が指摘されている。

本図は画面の傷みが惜しまれるが、数少ない華厳海会善知識曼荼羅中最古級であり、他に類をみない特異な一本として貴重である。