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岸和田城庭園(八陣の庭)景石補修報告書
岸和田城庭園(八陣の庭)景石補修報告書を刊行しました。
本報告書は、国指定名勝岸和田城庭園(八陣の庭)が有する価値を確実に継承していくために、その枢要な構成要素である景石(庭石)の自然劣化に伴う割れ、亀裂等の補修を実施した報告書です。
本庭園は、庭園研究家であり作庭家であった重森三玲(しげもりみれい)氏によって昭和28年に作庭された枯山水庭園で、石組のテーマとなっている「八陣法」には、平和を念願とする意味が込められています。
庭園は枯山水庭園であり、和歌山県の沖の島産の緑色結晶片岩が使用され、豪胆な石組が知られます。しかし作庭から70年近くが過ぎ、緑色結晶片岩特有の亀裂による景石の劣化も目立つようになっていました。
景石の劣化の対策を行わなければ、重森三玲特有の緑色結晶片岩の石組が崩れその価値が失われます。
そこで、当課では関係課の協力を得て、令和元年より景石の補修を進めてまいりました。
補修の特徴として、従来の文化財石造物の補修に用いられるエポキシ樹脂ではなく、岸和田地元企業の開発した
エマルジョンエポキシ樹脂を使い、業務受託業者と共に「岸和田モデル」ともいうべき補修技術を開発し、4ヵ年にかけて施工しました。
この石材補修技術は、コスト、施工性の良さ、経過の安定性などから、今後、日本における屋外文化財石造物補修のスタンダードになる技術であると確信しています。
本補修により、庭園の価値を保ち、岸和田城庭園(八陣の庭)と岸和田城をよりよい形で後世へ伝えていくことをめざします。
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岸和田城庭園(八陣の庭)景石補修報告書 [PDFファイル/11.16MB]