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岸和田のむかし話5 津田川・城下周辺の話・(12)だんじり吉兵衛(並松)

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

 ずうっと昔、この浜に吉兵衛ちゅう、それはそれはだんじり好きな者(もん)がおったんや。年中仕事しながら、
 「チキチン ドコドン チキチン ドコドン エーヤ ソーリャ・・・・・・」
 と、お囃子(はやし)をやってた。そやから、祭りには飯食(めしく)う間もだんじりから離れへん。太鼓(たいこ)も叩(たた)けば笛も吹くが、それがまたごっつい上手で、みんなはいつも聞きほれたもんや。
 そんなある年、皆(みな)くたくたにくたびれて帰ってしもたが、吉兵衛は一人で、お堀の水に映(うつ)る提灯(ちょうちん)をみてるうちに寝てしもた。ふっと足がこそばいので、寝呆(ねぼ)け目をあけると、たぬきが2匹足元(あしもと)に座(すわ)って代(か)わる代(が)わる足を舐(な)めてた。
 「折角(せっかく)よう眠ってるのに・・・・・・」
 と、すぐに目をつむったが、またこそばい。
 「どないしたんな。やめんかえ―」
 たぬきはじっと吉兵衛を見ている。よく見ると、たぬきは何か頼んでいるようや。吉兵衛はやっとそれに気がついて、
 「どないしたんや?…」
 すると、たぬきはしっぽで太鼓を叩く真似(まね)をして頭を下げたそうな。
 「太鼓を叩きたいんか。うーん・・・」
 たぬき達は嬉しそうに何度もうなずいた。吉兵衛も大好きな太鼓や。早速(さっそく)小太鼓をトコトン、トコトン・・・と打ちだした。それに合わせて、たぬきはうれしそうにしっぽで太鼓を叩く。何度か繰り返すと次に大太鼓をせがんだ。それを繰り返すうちに夜があけてきた。たぬき達は何度も何度もお辞儀(じぎ)をし、嬉しそうに踊(おど)りながら何処(どこ)かへ消えてしもうた。

だんじり吉兵衛の挿絵

 こんな夜やったのに、だんじり大好きな吉兵衛のこっちゃ。次の日も元気でだんじりについて走り回った。夜の曳(ひ)き回しも終わり、明日(あした)は宮入りやから早よ寝(ね)とこうと、太鼓の横に寝転ぶとすぐにいびきをかきだした。
 昨日からの疲れでぐっすり眠っていると、不意に傍(そば)の小太鼓がトコトンと鳴(な)った。
 吉兵衛は、「うう・・・」と言っただけ、次にドコドン、ドコドンとなったのにまだ目が覚めない。今度は大きな音で鳴った。吉兵衛はよっぽど疲れてたんやなあ。なかなか起きんよって、たぬきは連れてきた子だぬき達を呼んで小太鼓と大太鼓を叩きだした。さすがに吉兵衛も頭をもたげ、
 「お前らも祭りを楽しみたいんやなあ。しっかり覚えるんやでぇ」

 そんなことがあった年から、祭りが終わると、風に乗って祭り囃子(ばやし)が聞こえてくるようになったんや。海の向こうの神戸あたりに引っ越した人も聞いたちゅうほど吉兵衛に習ったたぬきの仲間も増え、たぬきの祭りになってしもうたんやなあ。


※ この「岸和田のむかし話」は市制70周年を記念して平成4年11月に刊行された本をWeb化したもので、岸和田に伝わる昔話や、発刊時に創作された話を収録しています。
あくまでも昔話ですので、必ずしも史実に基づいているものではありません。

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