ページの先頭です。 本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 総合政策部 > 広報広聴課 > 風物百選 80 意賀美神社、滝

本文

風物百選 80 意賀美神社、滝

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2009年3月3日掲載

意賀美神社の滝の日本画日本画 寺田真規

 初もうでの車がビュンビュン飛ばす塔原岸城線を捨てて田んぼのあぜ道をとると、八田町に入る。そこからは校区を次々と横切って行くので、子供たちは友達のだれかれのことを話し出す。が、ローラースケートや爆竹に興じている友人に出くわすと、消え入るようなあいさつが精一杯。あとは、目のやり場に困る風である。石畳の坂道を左に曲がる所に、大きな石の鳥居が立ち、真新しい御幣がカサカサと音を立てる。
 一面のみかん畑の茂みから子供らがパッと走り出たり隠れたりして、みかんを投げ合っている。絵本の中で見た村のお正月は「ちょうどこんな風やったね」と夫と話していると、はや、意賀美橋が見えた。
 シイなどの照葉樹が、小さい林をつくり、空気は清涼となる。この社叢(しゃそう)は市指定の文化財、天然記念物だ、と教えられていたが、木々に付けられた名札のほかに仰々しいものは無く、ひっそりと村の中に溶け込んでいる。橋の中ほどから川を見下ろすと、渓谷の風情がただよい、真冬のひなたの深みで、川魚の数匹が身を寄せ、流れに逆らっていた。足をかけて川をのぞいている飼い犬を促し、細い道を上流の方へ伝えば、雨降りの滝に出会う。滝を背に、夫に寄り添って立つと、長男が照れながら写真機を構えた。風に吹かれるのか、時折、滝のしぶきが冷たい。
 「日照りが続いたら、さっきの滝をさらえて、雨を降らしてください、と神さんにお祈りするんよ」と次男に聞かせながら、出店一つも無い境内を歩く。もうでる人が少ない分だけ、一人一人の願いごとを真剣に聞いてくださるような気がして、神妙に手を合わせる。三々五々訪れる近所の人たちがあいさつを交しながら行き過ぎ、社務所では、神主さんの奥さんらしい人が一人、静かに座って、ほほ笑んでおられた。人波に押されて、有名神社にもうでた昔がうそのような、ここ数年の元旦である。

文 白木江都子

資料

 意賀美神社は、陽成(ようぜい)天皇が・元慶(がんけい)8年(884)かんばつのとき、菅原道真に降雨を祈らせたことから、「雨降り大明神」ともよばれる。社殿の前を流れる津田川の上手に滝があり、ひでりには、この水をさらえて神前に祈ると、必ず雨が降ったことから「雨降りの滝」といわれている。

交通

 バス停宮の台下車。
※ 文中の「塔原岸城線」(府道)は、現在、「岸和田港塔原線」と改名されています。


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。


Danjiri city kishiwada