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風物百選 71 牛滝街道

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

牛滝街道の水彩水彩 榎本博

 沼の天神さんを右に見て、下松から額原へ。小栗街道を横切って、坂道を上ると久米田池。その堤防づたいに、春ならば桃の花盛りの岡山に出、竹やぶや林の間に見え隠れする牛滝川の流れに沿って、小倉、包近、山直中と過ぎ、稲葉、積川、内畑に入り、大沢を経て、めざす牛滝へ。この間およそ4里半、現今のバス路線にして17キロ余、これが牛滝街道である。(古くは、上町から土生を経、泉光寺門前を過ぎて、尾生、福田、神於を経由した時代もあったそうだが)
 泉州路のなかでも、この街道は、神於・水間を結ぶ道に次いで古く、この地の文化発祥に果たした役割大とは古老の話だが、われわれの少年時代の思い出は、これと並行する塔原街道などとともに、自然への憧憬(しょうけい)と、未来への限りない夢をはぐくんでくれた、ハイキングの道として、今も印象に深いこと、同感の方々も多いのではあるまいか。

茅淳(ちぬ)の浦わの朝開(あさぼらけ) 和泉の山脈(やま)の夕霞(ゆうがすみ)
神代ながらに海陸(うみさと)の ながめに富める岸和田市

とは、当時親しまれた市歌。
 ともあれ、握り飯に梅干しの弁当、水筒を肩に、友人、家族連れ立って、遠くは牛滝から葛城、犬鳴の山々、近くは、これら幹線からくしの歯のようにのびる丘陵の小径に分け入っては、流れる雲や、道端の一木一草にも語りかけながら歩いた、懐かしいあの頃…。                                                
 紀伊と大和のはざま、海に近く山に近く、美しい自然に恵まれて発展しつづけてきた郷土の、これからの一層の繁栄を願う上からも、車のドライブでは得られぬ、健康で魅力に満ちたレクリエーションとしてのハイキングを、もう一度見直してみることも、ふるさと再発見への1つの手がかりになるのではないかと、切に思うこのごろである。

文 田中良吉

資料

 もとは、牛滝川の谷を川沿いに縦貫する道であったが、岸和田を起点として牛滝山、さらに葛城越えの道として、踏み均されてきたといわれる。中世以降のルートに小異があるようである。


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。