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風物百選 60 靖霊殿

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2009年3月3日掲載

靖霊殿の日本画日本画 福本尚子

 国鉄阪和線の久米田駅から駅前商店街を通り過ぎ、府道牛滝線を渡り、東南の方向に緩やかな坂道を歩いて行く。「昔は高い建物がなかったので、ここから海が見えましたよ」と話してくれた老人の言葉を思い出しながら、昔の風情を残す家や今風の建物の間を歩くこと40分。坂道を登りつめたところから左の道に曲がり、少し行くと目の前が急に明るく広がってゆく。
 この地の繁栄を願った僧・行基が、神亀2年から天平10年まで、13年の年月を費やして築造した久米田池が水を満々とたたえている。四季折々の景色も美しく、池の端に立つものに悠々の歴史を語りかけるかのように、小さなさざ波が絶えることなく光ってる。
 この久米田池を背に振り向くと、夢殿風の建物が池を見守るように鎮座まします。これは法隆寺東院伽藍(がらん)の中心をなす八角堂国宝の夢殿を模して建立され、日清日露の両役より太平洋戦争に至る岸和田市出身戦没者の霊が祀(まつ)られているが、この中には元文部大臣岡部長景氏の力添えにより、唐僧玄装三蔵法師の御霊骨を奉安し、靖霊殿と号してあがめられている。
 春にはしだれ桜が見事で、花見を兼ねて久米田寺や靖霊殿に詣(もう)でる善男善女でにぎわう。秋祭りには勇壮なだんじりが、久米田寺境内に勢ぞろいし、身動きできないほどの見物客でいっぱいになる。しかしふだんは、静かなたたずまいを見せ、訪れる者に言い知れぬ安らぎを与えてくれる場所である。毎月21日には中央の扉が開かれ、仏教会より僧侶が見え、英霊回向の読経を勤めてくださる。
 昭和32年に靖霊殿が建立されてから、毎月神於町より参拝を続けている91歳の老婦に出会ったことがある。「戦死した息子が待っていると思えば、家で安閑としていらい」と語る年輪を刻んだしわ深い顔に涙を浮かべておられたが、とてもさわやかな印象だった。
 線香の煙が風にゆらぐなか、敬けんな気持で戦没者のご冥福をお祈りした。

 文 平岡先代

資料

 昭和32年10月、完工式挙行。戦没者の霊を慰めることを目的とし、法隆寺の夢殿風の建物である。
この中には、西遊記で有名な三蔵法師の頂骨が納められているが、かって文部大臣であった岡部長景氏の力添えによるものである。

交通

 バス停久米田から南東600メートル


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。


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