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風物百選 25 天主堂

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2009年3月3日掲載

天主堂の切絵きりえ 木田晴夫

 我々が親しみ、眺めながら育った天主教教会が姿を消して20年にもなるだろうか。なぜ我々の心に深く残っているのかを考えてみると、周辺にない異質な建物、つまり異国情緒豊かだったからに違いない。
 清そな時計の上に西欧風の窓、十字架の頂上の避雷針には風見鶏がついていたように覚えている。1時間ごとに時を告げた。正午と午後6時には特殊な音を聞かせ、教会界わいの住人たちの日々の生活にどれだけ潤いと憩いを与えてくれたことか。いや市民の生活にまで浸透していたといえる。
 岸和田カトリック教会の創設は明治11年と古いらしいが、私たちが親しんだ建物は三代目で、昭和2年に完成している(北町町史による)。庶民の心に溶け込んだあの懐かしい鐘は、聞くものの心を和ませるのどかな宗教的な音であった。玄関わきのマリア像は、子供の肩を抱いた慈愛にあふれる名品で、大正10年、鐘と共にフランスから輸入され「勝利の母」と呼ばれていた。花崗岩の正門中央上部に青銅のガス灯が懸かり、クスノキの陰に雨に濡れると、ヨーロッパの本格的な異国情緒がなんともいえず良かった。
 現在の教会は四代目で、数年前に完成したと思われるが、明るい現代的なスタイルを備えている。しかし余りモダンすぎて、宗教的尊厳に欠ける嫌いがある。古いものがいい、新しいものがよくないというより、我々の年配の懐古趣味かもしれないが…。
 かつて老境に入った叔父が教会の鐘の鳴らなくなったのを残念がり、私費で修復を考えたらしく、私にその費用の調査を依頼してきたことがあった。しかし、そう急いだ用事でもないと思って手間取っているうちに叔父は他界し、話は立ち消えになった。これも一つの思い出である。

文 岸 輪太郎

資料

 明治11年、クザン神父により布教開始。府下で2番目の教会である。現在の聖堂は四代目のもので、昭和47年3月、献堂式が挙行された。
 敷地内には、昭和6年開設された聖母幼稚園もある。

交通

 南海本線岸和田駅から北550メートル


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。


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