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風物百選 09 五風荘

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

五風荘の油彩油彩  近藤 進

――南木荘の茶室――
 南木荘は岸和田城天守閣わきにあり、都心と思えない幽邃(ゆうすい)な秘苑の中に、本邸のほか山亭・八窓席・残月席の三茶室が点在する。
 山亭は銘を対水亭といい、瓢池のほとり小高い築山の上にある。水準不そろいの、しかも表面突こつとした礎石に、あたかも根を下ろしたような15本のムロの木の古木を脚柱として舞台を組み、上に軽快な姿の茶室を置いた。まさに工匠苦心の作というべき建物で、五十年を経てなお寸分の狂いもなく、その優美な姿を瓢池に映している。亭に座って泉石を眺めると、文人画中の小亭に閑居する高士の気韻をさながらに覚える。
 山亭へ向かって右、築山の萩の原に13重石塔を見るが、これは近江源氏佐々木氏ゆかりの供養塔である。滋賀県より請来(しょうらい)した、鎌倉時代の由緒の明らかなもので、左水際の雪見灯ろうと対をなし、配置の妙は見事である。
 山亭を下り路地をたどれば、郁子蔓の柴門をくぐり、つくばいを経てクスノキの大樹の下、待合に至る。土間ひさしの待合を中心に右が利庵で八窓席、左が残月席で水屋とともに棟続きの中にある。八窓席は様々な窓が八つあるので名の由来となっているが、三畳中板のつつましやかな山里風(ぶり)のわびた茶室で、参ずる者に深い親近感をあたえる。
 残月席はこれと対照的で、上段の間と附書院、貴人口を持つ格式のある茶室であるが、威厳の中にゆったりとしたくつろぎを感じる席で、材の仕口は極めて軽快である。
 南木荘はこれらの茶室をゆたやかな環境の中に配置している。その庭園と共に、茶の精神「和敬清寂」をそのままに、利庵寺田利吉翁の茶の美に対する識見の高さと、茶道の師木津宗匠の企画と、卓越した木匠の技術とが渾然一体となった、茶味横溢(おういつ)した幽玄世界を現出していると思うのである。

文  久保 享司

※ 五風荘は施設改修及び管理方法の変更に伴い、平成21年9月10日に「がんこ岸和田五風荘」としてオープンしました。

交通

 南海蛸地蔵駅から北東200メートル。


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。