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市立図書館「本棚リレー」第8回目は市立図書館長の橋本純です
本棚リレー
市立図書館の本棚リレー8回目は、市立図書館長の橋本純です。
図書館にご来館の際には、ぜひご覧ください。
橋本館長からのメッセージ
岸和田市立図書館へようこそ。館長の橋本です。岸和田市では、「図書館 また来よう」と思っていただける図書館を目指して、これまでの「静かに本を読む」「本を借りる」図書館だけではない、人と人が交流したり、やりたいことを実現したい人をサポートしたりする図書館づくりをすすめています。
ところで、図書館長ってどんな本を読んでるの?少しだけ、ご紹介します。
おすすめの本
うつ病九段 先崎 学/著 文藝春秋
あの藤井聡太さんが29連勝して将棋が注目されだした頃、そのフィーバーを知らないプロ棋士がいた・・・。“羽生世代”の将棋のプロ棋士が書いた、うつ病体験記です。
患者本人が書いたうつ病の本って少ないんですよね。でも、それはある意味当然。うつ病を発症すると、物事を論理的に考えたり、順序だてて文章を書いたりするのが難しくなってしまいますからね。これは将棋という論理的思考のプロであり、かつ、将棋と全く関係の無い雑誌にコラムの連載を持つほどの文才のある人だったから書けた、奇跡の闘病記です。
自分や自分の身近な人がもしうつになったら・・・。あらかじめこの本を読んでおくのとそうでないのとでは、きっと全然違うと思いますよ。
夜のピクニック 恩田 陸/著 新潮社
夜、みんなで一緒に歩く。ただそれだけなのにね。
生徒全員で一昼夜歩き通すという、茨城県水戸市の高校で実際に行われている行事をモチーフに描かれる、友情、恋愛、将来の夢、そして誰にも言えなかった秘密・・・。17年前に本屋大賞を受賞した青春小説ですが、ぜひ今の高校生にも読んで欲しいなあ(もちろん、昔、高校生だった人にも)。
優しい時間 倉本 聰/著 理論社
シナリオってお読みになったことがありますか?これは、2005年の冬に、二宮和也さんと長澤まさみさん主演で実際に放送されたテレビドラマの脚本です。
普通の小説とは違って場面の説明は最小限。ほとんどが登場人物のセリフだけで物語が描かれていきます。はじめは少し戸惑うかもしれませんが、慣れてくると、あなたの頭の中に映像が浮かんでくるようになるかもしれません。そのときあなたは、あなたの自由な演出でドラマを楽しんでいるはずです。
※倉本聰さんのドラマは、ホントに名作はかりですよねえ。でも、このドラマがテレビ放送されていたとき、私は裏番組だった『H2』を見てました。すみません(苦笑)。
[CD]連続テレビ小説カーネーション(サウンドトラック) 佐藤 直紀/作曲
音楽のジャンルの中で、“劇伴”というのをご存知でしょうか?映画やドラマの中で流れる音楽のことで、人気作品になるとサウンドトラックとして発売されたりします。
佐藤直紀さんは、その劇伴作曲の第一人者。『ウォーターボーイズ』のテレビドラマ版をはじめ、『オレンジデイズ』『GOODLUCK!!』『龍馬伝』。映画なら『海猿』『ALWAYS三丁目の夕日』などなど、挙げたらキリがありません(ちなみに、先に挙げた『H2』も佐藤直紀さんが作曲)。あなたも知らない間に、佐藤直紀さんの作品をお聞きになっているかも。
[DVD]その街のこども 劇場版 井上 剛/演出 トランスフォーマー
元々は阪神淡路大震災から15年目の日に、NHKで放送された単発ドラマでした。主演は山本未來さんと佐藤江梨子さん。大半がこの2人だけで物語が進みます。子どもの頃に神戸で震災を経験し、今は神戸を離れて暮らす2人がひょんなことから出会い、新神戸駅から追悼のつどいが行われる東遊園地までの道のりを夜通し歩くことになります。冬の夜の暗さと寒さ。その中で震災が残した心の傷に向き合っていく。そんなお話です。(夜通し歩くって設定が『夜のピクニック』つながりですね^^;)
地上波で放送されたテレビドラマを、わざわざ映画館でお金払って見ようって人が出るくらいの秀作。脚本はあの『カーネーション』の渡辺あやさん!ね、見たくなったでしょ(笑)。
図書館長プロフィール
平成4年に岸和田市役所に入庁。令和2年から図書館長。