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心臓震盪(しんぞうしんとう)とは

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

 皆さんは、心臓震盪という言葉をご存知ですか?

 当市で行われていた高校野球の試合中、打球を胸に受けたピッチャーが心臓震盪を起こし、たまたま試合を観戦していた救急救命士が、試合会場である高校校舎に備え付けのAED(自動体外式除細動器)を使用し、救命したことは記憶に新しいところです。

 この事案以外でも近年心臓震盪に関するニュースがたびたび報じられ、皆さんの中でも心臓震盪に関心を寄せられている方も多いと思います。

 心臓震盪は、健康な人でも、特に子どもや若年層の人ならばだれでも起こり得る可能性があり、心臓の真上に何らかの外力が加わったことにより起こる心停止です。
 厳密には心室細動という不整脈が起こっている状態で、心臓が細かくケイレンし、十分な血液を脳や全身に送ることが出来なくなっている状態です。
 心室細動が起こった場合、速やかに心肺蘇生を行い、AEDによる電気ショックを行わなければ救命できません。
 そのためには、近くにAEDがあることと誰かがAEDを使用できることが不可欠であり、現在各市町村の消防署や各団体がAED講習会を実施し、AEDの正しい使い方を含めた心肺蘇生法の普及に努めているところです。

 アメリカでは心臓震盪は1990年代後半から注目されており、野球、サッカーなどの球技やラグビーなどのコンタクトスポーツで起こることが報告されています。
 なかでも野球中の発生が多いのですが、先ほどのピッチャーが打球を胸に受けた場合のほか、素振りのバットが当たった、キャッチボールのボールが当たったなど、状況はさまざまで、ほかに躾やケンカなどの際、肘や膝が胸に当たって起こったことも報告されています。

 心臓震盪は、衝撃が当たる場所、当たる強さ、当たるタイミングの3つの条件が揃わなければ起こりません。まず、当たる場所は心臓の真上です。強さは強くすぎても弱すぎても起こらず、傷が残らない程度の衝撃でも起こる場合があります。心臓震盪が起こるタイミングは解明されており、心電図のある決まったときに衝撃を受けると発生することがわかっています。逆に言えば、これらが揃えば、誰にでも起こる可能性があるということです。
 また心臓震盪が子どもや若年者に多い理由は、肋骨などが柔らかく、受けた衝撃が心臓に伝わりやすいからと考えられています。

 そのため、健康な子どもや若年者が胸の真ん中に何らかの外力が加わった後、虚脱状態となり倒れたのに遭遇した場合は心臓震盪の可能性を念頭に置き、反応と正常な呼吸が無ければ119番通報とAEDの手配を頼み、直ちに心肺蘇生法を開始しなければいけません。
 心室細動の唯一の治療は、AEDなどによる電気ショックですが、AEDの到着まで何もしないでほおって置くと、次第に心室細動から心静止と呼ばれる、完全に心臓が停止した状態となり、ますます救命が困難な状態へ移行します。
 胸骨圧迫と人工呼吸とからなる心肺蘇生法は心室細動の状態を何もしないよりも長時間維持するので、AEDの使い方とともに非常に重要なものですので、心肺蘇生法とAEDをまとめて、一次救命処置(BLS)といいます。

 お子さんがいらっしゃる方は、心臓震盪の存在を知ったことにより、不安に思われている方も多いでしょう。
 心臓震盪はスポーツのほか日常生活上でも起こり得る可能性がありますが、ある程度の予防のてだてがあります。
 まず、野球の場合、胸部を保護するプロテクターが野球用品メーカーから販売されています。ほかのスポーツでも胸部に衝撃が加わる可能性があるなら胸部プロテクターの装着を考慮すべきでしょう。
 打球を捕球する際も、「ボールを胸で受け止めろ。」というような指導方法を見直すべきではないでしょうか。
 また一時期「失神ゲーム」と称する、胸をついて相手を失神させる遊びが流行っていましたが、これは極めて危険な行為であり、このような遊びを見つけたなら即刻やめさせ、危険性を教えなければいけません。

 それとともに学校教育として子ども達が心肺蘇生法とAEDの使用方法について学ぶことを通して、命の大切さを教えていくことも大切ではないでしょうか。

 そしていざ心臓震盪を疑わせる事態になった場合、AEDが消火器のように町のどこでも存在し、すぐに持って来られるようなシステムを構築することが望まれます。