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岸和田市意見聴取の手続きに関する条例逐条解説

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2009年3月4日掲載

目次

第1条(趣旨)

第2条(定義)

第3条(意見聴取手続)

第4条(対象)

第5条(適用除外)

第6条(施策等の案の公開)

第7条(意見公募手続)

第8条(公聴会手続)

第9条(意見の取扱い)

第10条(手続きの特例)

第11条(意見聴取手続実施責任者)

第12条(一覧表の作成等)

第13条(その他)

附則

条文

(趣旨)
第1条 この条例は、岸和田市自治基本条例(平成16年条例第16号。以下「自治基本条例」という。)第18条の規定による意見聴取の手続(以下「意見聴取手続」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。

主旨・運用など

◆この条例は、自治基本条例第18条第3項の規定を受けて「意見聴取制度」について定めるものである。いわゆるパブリック・コメントのように、市が計画や条例を策定しようとする適当な段階で、その構想や素案等を示して意見を聴取しようとする制度である。

参照条文 自治基本条例第18条

(意見聴取制度)
第18条 市長及び他の執行機関は、次の各号に掲げる事項のうち市民生活に重要な影響を及ぼすものについては、市民に当該事項に関する情報を提供し、意見を求めなければならない。
 (1) 計画の策定、変更又は廃止
 (2) 条例の制定、改正又は廃止
 (3) 施策の実施、変更又は廃止
2 市長及び他の執行機関は、前項の規定により意見を求めるときは、適切な方法を選択し、市民から提示された意見に対して回答し、これを公表しなければならない。
3 前2項に規定する意見の聴取に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。

◆意見聴取制度の主旨は、自治基本条例第17条第1項にあるように、市民参画の機会の保障である。

参照条文 自治基本条例第17条

(参画)
第17条 市は、意見聴取その他の多様な制度を設け、又は施策を講じることで、市民が参画する機会を保障しなければならない。
2 市は、市民が参画できないことによって不利益を受けることのないよう配慮しなければならない。

◆意見聴取制度は、あくまでも多様な市民等の意見を聴取することにより、施策等の案の内容をより良いものにするためのものであって、賛成・反対の各意見の多寡で意思決定の方向を判断する住民投票類似の制度ではないことは、留意を要する。

参照条文 岸和田市意見聴取の手続に関する条例施行規則(以下「規則」という)第1条

(趣旨)
第1条 この規則は、岸和田市意見聴取の手続に関する条例(平成17年条例第23号。以下「条例」という。)の施行に関し必要な事項を定めるものとする。

条文

(定義)
第2条 この条例において「市民等」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
 (1) 自治基本条例第2条第1号に規定する市民
 (2) 本市に対して納税義務を有する者
 (3) 当該意見聴取手続の対象とする施策等に利害関係を有する者
2 この条例において「施策等」とは、自治基本条例第18条第1項各号に定める事項のうち市民生活に重要な影響を及ぼすものをいう。

主旨・運用など

◆意見を述べることができるのは、意見聴取の対象となっている施策等から直接影響を受ける者に限るのが妥当と考え、各号に定める者に限定した。

参照条文 自治基本条例第2条

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 市民 市内に住み、働き、若しくは学ぶ人又は市内に事業所を置く次号に規定する事業者をいう。
 (2) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。
 (3) 参画 市の政策の立案、実施及び評価に至る過程に、責任を持って主体的に関与することをいう。
 (4) 協働 市民、事業者及び市が、それぞれの責任と役割分担に基づき、互いの特性を尊重しながら協力しあうことをいう。

◆ 自治基本条例第2条第2号の事業者は、単に市内で事業活動を行う者を指しており、自治基本条例同様情報を知る権利を有するに留まると解するのが妥当と判断し、意見聴取手続の権利を有する者に入れない。

参照条文 規則第2条

(定義)
第2条 この規則で使用する用語の意義は、条例で使用する用語の例による。

条文

(意見聴取手続)
第3条 市長その他の執行機関(以下「執行機関」という。)は、次の各号に掲げるもののうち、いずれか1以上の手続によって意見聴取手続を実施するものとする。
 (1) 意見公募手続(ある事項を決定する際にあらかじめ当該施策等の趣旨、目的、内容等の必要な事項を広く公表し、公表したものに対する市民等からの意見の提出を受け、市民等から提出された意見の概要及び市民等から提出された意見に対する市の考え方等を公表する一連の手続をいう。以下同じ。)
 (2) 公聴会手続(ある事項を決定する際にあらかじめ当該施策等の趣旨、目的、内容等の必要な事項を広く公表し、公述を希望する市民等から事前に意見の要旨等の提出を受け、公式の場でその意見を聴く制度をいう。以下同じ。)
2 意見聴取手続において意見を提出しようとする市民等は、住所、氏名その他規則で定める事項を明らかにしなければならない。
3 執行機関は、第1項各号の規定による手続のほかアンケート、説明会等を適宜実施し、市民の意見を取り入れるよう努めるものとする。

主旨・運用など

(第1項関係)
◆意見聴取制度には、意見公募(パブリック・コメント)手続と公聴会手続があることを定める。
※ 英語の「public comment」は,この手続によって市民等から提出された意見を指すが、わが国では,この手続自体を「パブリック・コメント手続」と呼んで取り入れ、「パブリック・コメント」という名称で,手続と意見との両方を指すようになった経緯がある。 
しかし、パブリック・コメントという言葉が、一般に馴染まれているとはまだまだ言い難い現状があり、国立国語研究所でも「意見公募」と言い換えを推奨している現状にも配慮し、条例中では「意見公募」を採用している。

◆意見聴取手続を施策等の決定に関する市民参加の一般ルールとして定める以上、この制度を市政全般に適用させるため、議決機関である議会を除く市の執行機関すべてをこの制度の対象に位置づけている。議会は選挙によって民意を代表していることからもこの条例の適用対象外である。

◆執行機関は施策の性質などに応じて意見公募手続と公聴会手続のいずれか1つ、または両方を選択するものとする。

(第2項関係)
◆ 意見公募手続と公聴会手続に共通する意見提出者に関する規定である。市民等が意見等を提出する際には、意見提出に係る責任の所在をはっきりさせることと、意見内容等の確認を行う可能性があることから、意見等を提出する者の住所や氏名、勤務先(市内在勤者)、通学先(市内在学者)、納税義務者である旨、利害関係者である旨を明らかにして行うこととする。

参照条文 規則第3条

(意見及び意見の要旨等の提出に当たって明らかにすべき事項)
第3条 条例第3条第2項の規定により明らかにすべき事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
 (1) 本市の区域内に事務所若しくは事業所を有する者又は本市の区域内に所在する事務所若しくは事業所に勤務する者にあっては、当該事務所又は事業所の名称及び所在地
 (2) 本市の区域内に所在する学校に在学する者にあっては、当該学校の名称及び所在地
 (3) 条例第2条第2号に掲げる者にあっては、本市に対し納税義務を有する旨及びその内容
 (4) 条例第2条第3号に掲げる者にあっては、当該意見聴取の対象となる施策等に利害関係を有する旨及びその内容
2 前項各号に定める事項は、意見公募手続においては意見を提出する時に、公聴会手続においては意見の要旨等を提出する時に明らかにしなければならない。

(第3項関係)
◆ 意見公募手続や公聴会手続以外にも、案件によっては立案段階など様々な段階で様々な方法で市民等の意見を聴取する必要性が考えられる。第3項では、本市が従来から取り組んできたアンケートや説明会などを適宜実施し、市民の意見を様々な段階で聴取するように努めることを規定する。
 立案段階で意見聴取する事例としては、ゴミ処理場を建設するような場合に、「建設する必要があるのか」「建設するならどこにするのか」などを聴取するものが考えられる。

条文

(対象)
第4条 意見聴取手続の対象となる施策等は、次の各号に掲げるものとする。
 (1) 総合計画等市の基本的政策を定める計画や基本構想、個別行政分野における施策の基本方針その他基本的な事項を定める計画の策定、変更又は廃止
 (2) 次に掲げる条例の制定、改正又は廃止
  ア 市の基本的な制度を定める条例
  イ 市民等に義務を課し、又は権利を制限する条例
  ウ 市民生活又は事業活動に直接かつ重大な影響を与える条例
 (3) 市民生活又は事業活動に直接かつ重大な影響を与える施策の実施、変更又は廃止

主旨・運用など

◆自治基本条例第18条第1項では、市民生活に重要な影響を及ぼす事項を行おうとするときは、市民に情報提供するとともに、意見聴取をするものとしている。
 しかし、「市民生活に重要な影響を及ぼす事項」については、「計画の策定、変更又は廃止」「条例の制定、改正又は廃止」「施策の実施、変更又は廃止」が対象となっているだけで、これだけでは抽象的すぎる面もあり、運用時に執行機関によるバラツキも考えられることから、次の通り一定の方向性を示すこととした。
(1) 基本的な計画(総合計画などのほか個別行政分野における施策の基本方針やマスタープランなどが対象で、それらを受けた実施計画的なものは対象外)
基本的な制度を定める条例(「自治基本条例」「情報公開条例」など、市政全般又は個別行政分野における基本理念、方針、市政を推進する上での共通の制度を定めるもの)
(2) 市民等に義務を課したり権利を制限したりすることがらを定める条例(地方自治法第14条第2項に基づく条例)
※ 地方自治法第14条第2項:普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
(3) 市民生活又は事業活動に直接かつ重大な影響を与えることがらを定める条例(行政指導を伴う条例など)
(4) 市民生活又は事業活動に直接かつ重大な影響を与える施策を制度の対象としている。
 本条例では自治基本条例よりも踏み込んだ判断基準を示しているが、それでもなお、個別の案件がこの制度に定める手続きを取るべき対象であるかどうかについては、執行機関の裁量によるところ少なくない。そこで、第11条に定める意見聴取手続実施責任者の連絡調整を通じて、適切な運営を図ることとしている。

◆条例案については、議案提出前に市民の意見を聞くのは間接民主主義を否定し、議会軽視につながるのではとの意見がある。しかし、意見聴取手続は、議会に代わって議決をするものではなく、あくまでも施策の素案段階で市民の声を吸収し、議会に提出する条例案等をよりよいものにすることを目的としており、議会審議を脅かすものではない。

◆ 第3号について:市民等に義務を課したり権利を制限する場合は条例によらなければならないが、庁舎や学校の管理、行政契約など、規則に基づき市長や行政委員会が事実上市民活動に一定の制限を設けたり、作為を求めたりするものが考えられる。

条文

(適用除外)
第5条 施策等が次の各号のいずれかに該当する場合には、意見聴取手続を実施しないことができる。ただし、第1号の規定に該当する場合において意見聴取手続を実施しないときは、施策等の実施後に市民等の意見を聴取するよう努めるものとする。
 (1) 迅速又は緊急を要するもの
 (2) 軽微なもの
 (3) 地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第1項の規定による直接請求により議会に付議するもの
 (4) 市の権限に属さないもの
 (5) 金銭徴収に関するもの

主旨・運用など

◆第1号の「迅速又は緊急を要するもの」とは、本手続に係る所要時間の経過により、その効果が損なわれるなどの理由で、この条例による手続を経る時間がない場合をいう。

◆第2号の「軽微なもの」とは、第4条に該当する計画や条例などの改正等であっても、制度の大幅な改正又は基本的な事項の改正を伴わない場合を想定している。例えば、自治基本条例は第4条第2号アの「市の基本的な政策を定める条例」に該当するため、その改正は意見聴取制度の対象となるところであるが、制度の変更を伴わないような条文の文言の修正程度ならば、この条項で意見聴取制度の適用除外とするものである。

◆第3号の直接請求により議会に付議するものが除外されるのは、地方自治法第74条第3項の規定により市長は意見を付することができるのみで、市民等の意見を施策等に反映させることを目的とするこの条例の主旨に合致しないためである。

参照条文 地方自治法第74条

第74条 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下本編において「選挙権を有する者」という。)は、政令の定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。
(1) 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
(2) 普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。

◆第5号で「金銭徴収に関することがら」を意見聴取の対象から外しているのは、地方自治法第74条第1項の直接請求権において「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するもの」が対象から外されているのと同様の趣旨によるものである。
  税を始めとする各種の負担金などは行政全般を総合的に考慮した上で決められるべきものであって、個別事案のみで判断すべき性質のものではないからである。個別案件について、負担の軽減を求める意見を採用していると、結果的に財政基盤が脆弱になるためである。
 パブリック・コメントの先進事例を調査したところ、横須賀市や神奈川県城山町などでも「金銭徴収に関することがら」を対象から外している。
※ 金銭徴収の例としては、ゴミの収集料金や水道料金、保育料(負担金)などが考えられる。

条文

(施策等の案の公表)
第6条 執行機関は、意見聴取手続を実施しようとするときは、相当な期間を設けて意見聴取を行おうとする施策等の案を公表しなければならない。
2 執行機関は、前項の規定により施策等の案を公表するときは、併せて次の各号に掲げる資料等を公表するものとする。
 (1) 施策等の案を作成した趣旨、目的及び背景
 (2) 施策等の案を立案する際に整理した考え方及び論点
 (3) 市民等が当該施策等の案を理解するために必要な資料
3 前2項の規定による公表の方法は、規則で定める。

主旨・運用など

(第1項関係)
◆ 「相当な期間」という表現は抽象的ではあるが、意見公募手続(第7条)と公聴会手続(第8条)にそれぞれ具体的な定めを置いている。

(第2項関係)
◆ 施策等の案を公表するに当たっては、市民等がその案件について内容を十分理解し、適切な意見を提出できるように、関係資料や関連情報を併せて提供する。

◆第3号の「市民等が当該施策等の案を理解するために必要な関連資料」とは、次のようなものを指す。
(1) 根拠法令
(2) 計画等の策定又は改定にあたっては、上位の計画等の概要
(3) 当該施策等の実施により生じることが予測される影響の程度及び範囲
(4) その他必要な資料

(第3項関係)
◆案の公表方法に広報きしわだを含んでいないのは、紙幅の制約があるからである。しかし、広報きしわだで案や資料の入手方法を周知するのは当然である。これは、規則第6条に定める意見の提出方法とも関係するが、視覚障害者への配慮にもつながる。広報きしわだは、点字版、テープ版、インターネット版なども用意されているからである。

◆ 意見聴取制度の実施に当たっては、広く市民等に周知することが重要であるので、「執行機関が指定する場所」は担当課のほか、情報公開コーナーや各市民センターが考えられるが、これらは規則に定める。

参照条文 規則第4条

(施策等の案の公表の方法)
第4条 条例第6条第3項の規定による施策等の案の公表の方法は、市長公室広報広聴課内に設ける情報公開コーナー、支所設置条例(昭和23年条例第17号)第1条に規定する支所、岸和田市市民センター条例(昭和56年条例第1号)第2条に規定する市民センターその他公表する施策等の案に応じて必要な場所に資料を備え付けるほか、インターネットを利用した閲覧の方法等により行う。

◆ 案等は、執行機関が指定する場所で閲覧・配付されるわけであるが、事前に必要部数が判明しないのが現実である。そこで、市民センター等の各施設に閲覧用を配置するとともに、必要に応じて施設に設置している街頭端末機からプリントアウトしてもらうか、市民等に交付申請書を記入してもらい郵送する方法を適宜採用することとする。

参照条文 規則第5条

(施策等の案に修正があった場合の措置)
第5条 執行機関は、条例第6条の規定により施策等の案を公表した後にこれを修正した場合は、速やかに当該事項を公表するものとする。ただし、修正の内容が軽微なものと認められるときはこの限りでない。

条文

(意見公募手続)
第7条 執行機関は、意見公募手続により市民等に意見を求めようとするときは、前条の規定により公表することとされているもののほか、次の各号に掲げる事項を併せて公表しなければならない。
 (1) 意見を提出できる者の範囲
 (2) 意見の提出先、提出方法及び提出期限
 (3) 前2号に掲げるもののほか、執行機関が必要と認める事項
2 前項第2号に規定する意見の提出期限は、前条の規定による施策等の案を公表した日から起算して30日以上を経過した日としなければならない。
3 意見公募手続における意見の提出方法は、規則で定める。

主旨・運用など

◆意見公募手続により意見聴取をする場合は、案等の十分な周知と意見提出のための時間を確保する必要がある旨の規定である。「30日以上」という規定が「1カ月以上」でないのは、手続きの実施月によって受付期間の長短が左右されないようにするためである。
※ ちなみに国は、「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」(平成11年3月23日閣議決定)で「1カ月程度」との規定を有している。30日以上もこれに準じたものである。

◆提出方法は規則で定める。

参照条文 規則第6条

(意見及び意見の要旨等の提出方法)
第6条 条例第7条第3項の規定による意見の提出方法及び条例第8条第3項の規定による意見の要旨等の提出方法は、次の各号のいずれかによるものとする。
 (1) 執行機関が指定する場所への書面の持参
 (2) 郵便
 (3) ファクシミリ
 (4) 電子メール
 (5) その他執行機関が適当と認める方法

◆規則第6条第2号に定める郵便以外にもメール便など別の方法が存在する現在、郵便以外の類似の送達方法は、同条第5号の規定で認めることとする。

◆意見提出の方法として電話や口頭によるものは記録が困難であることから除外すべきであるが、視覚障害者などに対する配慮として録音テープなどによる提出は認めるものとする。これも規則第6条第5号により認めることとする。

条文

(公聴会手続)
第8条 執行機関は、公聴会手続により市民等に意見を求めようとするときは、第6条の規定により公表することとされるもののほか、次の各号に掲げる事項を併せて公表しなければならない。
 (1) 公聴会の開催日時及び場所
 (2) 公聴会で公述できる者の範囲
 (3) 公聴会で公述しようとする意見の要旨及びその理由(以下「意見の要旨等」という。)の提出先、提出方法及び提出期限
 (4) 前3号に掲げるもののほか、執行機関が必要と認める事項
2 前項第1号に規定する公聴会の開催日時は、第6条の規定による施策等の案を公表した日から起算して30日以上を経過した日としなければならない。
3 市民等が公聴会での公述を希望するときは、公聴会開催日の2週間前までに意見の要旨等を規則に定める方法により提出しなければならない。
4 執行機関は、提出期限までに意見の要旨等の提出がなかったときは、公聴会の開催を中止し、その旨を公表するものとする。
5 公聴会は、執行機関が指名する者が議長となり主宰するものとする。
6 議長は、公聴会を開催した都度、規則で定める事項を記録し、執行機関に提出するものとする。
7 執行機関は、災害などやむを得ない理由により公表した日時に公聴会を実施できない場合は、公聴会の開催を延期することができる。この場合において、執行機関は、延期の旨及び延期した公聴会の開催日時及び場所について、延期後の公聴会の開催を予定する日の7日前までに公表しなければならない。

主旨・運用など

(第2項関係)
◆意見公募手続同様、「30日以上」という規定や意見の要旨等の提出方法などについて定めている。

(第3項関係)
◆公聴会で意見を述べることができるのは公述人のみである。公聴会を円滑に運営するため、同じ主旨の意見の要旨等が複数ある場合は、執行機関が公述人を決定する。

◆提出方法は、意見公募手続同様に規則第5条による。

参照条文 規則第7条

(公述人)
第7条 執行機関は、公聴会において公述を希望する者の中から公述する者(以下「公述人」という。)を決定するものとする。
2 前項の公述人の決定にあたり、趣旨を同じくする意見の要旨等が多数提出されたときは、それらの意見の要旨等を提出した者の中から執行機関が公述人を決定するものとする。
3 執行機関は、前2項の規定により公述人を決定したときは、速やかにその旨を意見の要旨等を提出した者に通知するものとする。

(第4項関係)
◆公聴会の開催を中止する場合の公表の方法も、規則第4条に準じるものとする。

(第5項関係)
◆公聴会の運営などについての規定である。

参照条文 規則第8条

(公聴会での意見陳述)
第8条 公述人は、意見を述べようとするときは、議長の許可を受けなければならない。
2 公述人は、事前に提出した意見の要旨等の範囲を逸脱して発言をすることはできない。
3 議長は、必要に応じて発言時間を制限することができる。
4 議長が適当と認めた場合は、公述人が意見を述べることに代わって、代理人に述べさせ、又は文書による意見の提出をさせることができる。

参照条文 規則第9条

(公聴会の運営)
第9条 公聴会の円滑な進行を図るため、公聴会の参加者は、議長の指示に従わなければならない。
2 議長は、公聴会の秩序を維持するために必要と認めた場合は、秩序を乱した者に対して発言を制限し、又は退場させることができる。

◆公聴会では、公述人以外は意見陳述できないが、議長は、必要に応じて、傍聴人にアンケート用紙を配布し、感想等を提出する機会を提供することは可能である。
 これは、公述人の意見を聴いたことにより、傍聴人が意見を述べることを希望するようなことも考えられることから、傍聴人に感想等を提出する機会を提供するものである。 
しかし、公述人が事前に意見の要旨を提出し、しかも同様の意見が複数あれば、代表者のみが発言できるような条件にありながら、傍聴人が事前に何の手続きを経ることなく公聴会の当日に意見を述べることができては、両者の平等を失することから、アンケート用紙による感想の提出に留めるものである。
なお、提出された感想等は、あくまでも意見聴取手続外の参考意見でるため、条例第9条の意見の公表の対象とはならないものとする。

(第6項関係)
◆ 「公聴会を開催した都度」とは、同一の事案に対して数回に分けて公聴会行う場合等については、それぞれ開催した公聴会ごとに記録するものとしている。

参照条文 規則第10条

(会議録)
第10条 条例第8条第6項に規定する規則で定める事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
 (1) 対象とする事案の概要
 (2) 公聴会の開催日時、開催場所及び参加人数
 (3) 公聴会で配布した資料等の内容
 (4) 公述人の氏名及び意見陳述の内容
 (5) その他必要な事項

条文

(意見の取扱い)
第9条 執行機関は、意見聴取手続を経て提出された意見を総合的かつ多面的に検討しなければならない。
2 執行機関は、提出された意見の検討を終えたときは、岸和田市情報公開条例(平成12年条例第9号)の規定に基づき公開することができないものとされる情報を除き、規則で定めるところにより速やかに次の各号に掲げる事項を公表するものとする。
 (1) 提出された意見の内容
 (2) 提出された意見の検討経過及び検討結果並びにその理由

主旨・運用など

◆執行機関は、提出された意見を考慮して意思決定を行うものであるが、提出された意見を必ず採り入れるということではない。あくまでも提出された多様な意見を十分考慮して、その上で判断するということが意見聴取制度の趣旨である。

◆意見聴取制度は、施策等の案の賛否を問うためのものではないことから、賛否の結論だけを示した意見については、必ずしも執行機関の考え方を示す必要はないが、そのような意見があったことは公表する必要がある。

◆ 類似の意見が多数あった場合は、行政コストや事務の効率の観点から考えて、類似する意見を集約するなど適宜整理・工夫をして公表することとする。

◆ 提出された意見の中に、公表することが不適切な情報(個人や法人の利益を害する恐れのある情報など)が含まれていると判断される場合には、その全部又は一部を公表しないものとする。

参照条文 情報公開条例第8条

(公開してはならない行政文書、公開しないことができる行政文書)
第8条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている行政文書については、公開してはならない。
(1) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人を識別され得るもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令又は条例(以下「法令等」という。)の規定により、又は慣行として公にされている情報
イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ウ 公務員の職務の遂行に係る情報に含まれるものであって、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報
(2) 法令等の規定により、又は実施機関が法律上従う義務を有する主務大臣その他の国の機関及び大阪府知事その他府の機関の指示により、公開することができないことが明示されている情報
2 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている行政文書については、公開しないことができる。
(3) 法人その他の団体(国及び地方公共団体その他の公共団体(以下「国等」という。)を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生命、身体又は健康を保護するために、公開することが必要であると認められる情報を除く。
ア 公開することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上の地位に不利益を与え、又は社会的信用を損なうと認められる情報
イ 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件の下に、任意に提供された情報で、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものであって、当該情報の提供者の承諾なく公開することにより当該情報の提供者との協力関係又は信頼関係が損なわれると認められ、かつ、その情報の内容が公にしないことが真に妥当であると認められるもの
(4)市の機関又は国等の機関が行う調査研究、企画、調整等に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、市民の正確な理解を妨げることなどにより不当に市民の生活に支障を及ぼすおそれ又は特定のものに不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
(5)市の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって、公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの
(6)公にすることにより、人の生命、身体、財産等の保護、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすと認められる情報

条文

(手続の特例)
第10条 執行機関は、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき設置する審議会その他の附属機関が、第6条から前条までの規定に準じた手続を経て行った報告、答申等に基づき施策等を決定するときは、第3条第1項各号に定める意見聴取手続を実施しないことができる。
2 法令の規定により、縦覧等意見聴取の手続が義務づけられている施策等については、この条例と同等の効果を有すると認められる範囲内に限り、この条例の手続を実施したものとみなし、実施されていない手続のみを実施すれば足りるものとする。

主旨・運用など

◆ 附属機関等の答申等を受けて意思決定をする場合、附属機関等がこの条例に定める手続に準じた手続を経て策定した答申等を受けて市が意思決定を行う場合には、同一の案について同様の手続を繰り返すことは行政コストや事務効率の観点から望ましくないと考えられることから、改めてこの条例の定める手続を経ないこととする。

条文

(意見聴取手続実施責任者)
第11条 執行機関は、意見聴取手続の適正な実施を確保するため、意見聴取手続実施責任者を置くものとする。

主旨・運用など

◆ 意見聴取手続は、執行機関に課せられた義務であるが、策定しようとする施策等を手続の対象とするかどうかは各課(室)長の判断による。意見聴取手続の実施に漏れがないように、さらに各部課により実施のバラツキが出ないように、各部に意見聴取手続実施責任者を置き、適正な運用の確保を図ることとする。
なお、実施責任者は、あくまでも意見聴取制度の管理者である。施策等の策定に際し意見聴取制度を採用するかどうかの判断をする立場にある。それ故に、部長クラスを想定している。しかし、意見聴取手続実施責任者においても判断に迷うケースが考えられる。そこで、必要に応じて、副市長を長とする意見交換と連絡調整をする意見聴取手続実施責任者連絡協議会を設けることとする。

参照条文 規則第11条

(意見聴取手続実施責任者)
第11条 条例第11条に規定する意見聴取手続実施責任者は、部長の職にある者をもって充てる。
2 公平な意見聴取手続の実施のために、必要に応じて市長公室の事務を担任する副市長を長とし、意見聴取手続実施責任者を構成員とする意見聴取手続実施責任者連絡協議会を設置する。

◆意見聴取手続実施責任者連絡協議会において、市長公室広報広聴課を所管しない副市長が所管する業務を取り扱う場合は、当該副市長も出席して意見を述べるものとする。

条文

(一覧表の作成等)
第12条 市長は、意見聴取手続を行っている施策等の一覧表を作成し、インターネットを利用した閲覧等の方法により市民等に情報提供するものとする。

主旨・運用など

◆ 現実に意見聴取手続を行っている案件以外に、完了した案件についても情報を公表すべきであり、その内容は規則に定める。

参照条文 規則第12条

(一覧表)
第12条 条例第12条に規定する一覧表には、施策等の案件名、施策等を所管する部課の名称、手続方法、公表日、意見等提出期間その他必要事項を記載しなければならない。
2 意見聴取手続が終了したときは、手続が終了した旨を6月以上一覧表において公表するものとする。

◆一覧表は、インターネットを利用した方法のほか、案等を配置した施設(市役所・市民センターなど)にも配置するものとする。

条文

(その他)
第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

主旨・運用など

参照条文 規則第13条

(その他)
第13条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、執行機関が別に定める。

条文

附則 この条例は、平成17年8月1日から施行する。

解説

参照条文 規則附則

   附則
 この規則は、平成17年8月1日から施行する。


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