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自治基本条例逐条解説 はじめに

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2018年6月22日掲載

岸和田市にとって、なぜ今、自治基本条例が必要なのでしょうか。

 平成12年4月に地方分権一括法が施行されました。これは、地方分権に関するいろいろな法律が制定されたり、改正されたりして、それ以後、地方分権時代が到来したといわれています。
 これまでは、国と地方といった場合、国があってその下に地方があるという上下主従の関係にあったのですが、それ以後国と地方とが対等協力の関係になったということで、地方が、自ら考え、自ら行うという独自性、自律性をもつ地方政府としての地位を持つことになりました。

 ということは、自治体が当然自ら責任を持たなくてはいけないのですが、自分で決定できる範囲が拡大されたということや、国のモデルに頼ったり、国のいうことばかりに従うのではなく、自治体も独自の個性を発揮することが求められてくる、というような大きな時代の流れ、全国的な動きがひとつの要因としてあります。

 また、岸和田市の置かれている状況も、平成14年に市制施行80周年を迎えたこと、平成14年からは新たに「特例市」としてのスタートを切ったことで、府で取り扱われていた事務の一部が岸和田市の責任で行われるなど、市の果たすべき役割は確実にどんどん大きくなってきたということがあります。

 さらに、岸和田市の第3次総合計画では、「市民自治都市の実現」をめざして、新しいまちづくりのシステムとしていろいろな取組みを進めるべきことが明記されています。
 これまでも、市民とともにまちづくりに取り組んできたのですが、こういった取組みは、必ずしも確立されたものではなく、体系化されていなかったということがあります。

 地方分権といわれるこういう時代には、岸和田市という自治体、そこに住む住民、地域が、創意工夫を凝らして、自らの考えと責任において自立的な地域運営が可能になります。
 こういうことから、岸和田市という自治体にも、岸和田市がどんな考えで、どんなまちづくりを行っていくのか、それを明らかにする条例を持つことが重要になってきたということです。

 条例というのは、市が独自に定めることができる立法、いってみれば市の法律といえます。
 条例は、もちろん憲法や法律に違反してはいけないものです。しかし、たとえ憲法や地方自治法等の法令の範囲内であっても、条例で岸和田市の組織や市政の運営に関する基本原則等を明確にして、国の憲法のようにあらゆる行政の執行に対して拘束力を持つような仕組みをつくり、また、それを明らかにする最高規範性のある条例を定めて、これを頂点として総合的な政策や立法の体系を構成していく必要があると考えられます。

 一方で、いろいろな場面で市民参加が活発化しているなど、「自分達の地域は自分達の手で」というように、住民が自ら地域を担っていくんだという機運も高まりを見せています。
 しかし、憲法や法律には間接民主制による地方自治を保障していますが、市長の解職請求、議会の解散請求等の一部直接請求を除いては、市民の直接参加による地方自治については特に触れていません。

 このようなことから、市民が市政に参画する基本的な考えや情報共有・協働のルールを、岸和田市が独自に定めて、共通の指針とするための条例が必要となってきます。
 これらの役目を果たすのが「自治体の憲法」、「わがまちの憲法」といわれる自治基本条例なのです。

 法律というのは全国的に適用される画一的なものであって、必ずしも地域の特色を反映していないのも事実です。自治基本条例を制定することで、岸和田市の実情に即したまちづくりへの取組みを明確にするねらいがあります。これがそもそも地方分権だといえると思います。
 これからの自治体運営には、地方自治法など既存の法令にない事項についても、自治体が独自に姿勢を明確にしていくことが必要になってきます。だからこそ、今、自治基本条例なのです。

 そういう自治基本条例を、岸和田市では行政主導ではなくて、市民委員が中心になってイチから素案づくりを行っていくということでやってきました。

これまでの経過

 平成15年1月から、公募の結果決定した27名(会議出席委員が17名、通信委員10名)の市民委員と学識経験委員4名で構成する策定委員会がスタートしました。
 毎月2回のペースで会議を開き、当初は、そもそも「自治基本条例とは何か」ということから始まり、自治基本条例の先進地の事例や岸和田市の行政の現況等の調査・研究を研修会やグループ討論も交えながら行ってきました。
 また、自治基本条例にどんなことを規定し、何を実現したいかという自治基本条例に対する市民委員の思いを出し合い、それらを項目別に「条例私案」としてまとめました。
 さらに、自治基本条例の大きな枠組みを決定しました。
 一方で、広く市民全体からも意見を聞きたいということで、広報でも度々PRしてきましたが、平成15年8月にはアンケート調査も行いました。それらの意見も取り入れながら、8月から具体的な条文原案の作成に入りました。
 まず、先の「条例私案」とその後の議論を元に「条文原案タタキ台」をつくり、それについて小委員会で市民委員同士が議論し、今度はそれを修正した「小委員会修正版」について、策定委員会で学識経験委員のアドバイスを受けながら議論を重ね、「条文原案(策定委員会修正版)」としてまとめていきました。
 これらの一連の作業を行いながら、ようやく平成16年2月27日の策定委員会でひととおり検討が終わり、条文原案がすべて出揃いました。
3月からは、これらの条文原案についてもう一度全体を通して見直す作業に入りました。

 一方で、策定委員会で考えた条文原案については、庁内的な組織である自治基本条例推進会議(※)、議員や職員対象の説明会等を開き、それぞれの立場、様々な視点からの意見や指摘を数多くいただき、個々の条文原案に対するそれらの課題や問題点について、策定委員会で検討を加えながら、原案を修正し、7月26日に自治基本条例素案としてまとめました。


(※ 自治基本条例推進会議…市役所内の組織で全部長と自治基本条例関係課長とで構成。策定委員会の策定する条例素案について、協力・協調の視点から適切な意見を述べ、策定委員会と協働して自治基本条例の案を作成するものである。)

 この条例素案については、市民に対して、8月1日から広報やHP、テレビ市政だより、市民報告会等で広く公表し、様々な立場からいろいろなご指摘やご意見をいただきました。
 また、策定委員会から学識経験委員と市民委員代表、それに企画課、総務管財課の法規担当を加えて「条例精査チーム」をつくり、最終的な規定内容や表現の精査、主語・述語の整理、法的なチェック等を行うとともに、前記の説明会、報告会の中で出された様々な指摘や意見についても再度検討を重ね、修正を行ってきました。
 さらに、この案についても議員、庁議、推進会議に説明会を開き、新たな意見もいただきました。
 これらをふまえて、10月4日の最後の策定委員会で、「策定委員会としての自治基本条例案」として確定し、10月6日に市長へ報告されました。
 それを受けて、特別職、推進会議、庁議での議論を経て、市としての「岸和田市自治基本条例(案)」が決定し、12月定例会で議会に提案し、審議の結果満場一致で可決されました。

 このように、岸和田の場合、あくまで公募の市民委員中心の策定委員会でイチから条例案をつくるという作業を行ってきました。ここまで市民委員が中心になって行っているという取組み、それに対して早い段階から庁内の意見や議員の意見を求め、それをまた策定委員会に返して議論しながら、条例案づくりを進めているスタイル、さらに一般の市民からも意見を求めていく、というやり方は、岸和田らしさといえ、市民自治都市の実現を目指そうという自治基本条例の策定には大きな特徴だといえると思います。

わかりやすい表現

 全体を通してですが、「条例全体を親しみやすい表現、わかりやすいものにすべき」という意見がありました。
 これについては、簡単な言葉を使ってもなかなか表現しきれないものがあります。
国や自治体で、共通の意味や約束事として使われている法令用語を、岸和田市だけ別の言葉に置き換えたり、表現方法を変える場合、正確性を欠いてしまって、いろいろな解釈をもたらすおそれがありますので、分かりやすさの追求には限界があります。
 そこで、文体としては、前文は「です・ます」調を使ってやわらかく表現し、本則・附則は「である」調にすることにしました。
 ただし、全体を通して内容、表現をできるだけシンプルにという視点から各条文を整理しました。


Danjiri city kishiwada