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自治基本条例逐条解説 第7章 市政運営の原則(第21条ー第29条)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2023年4月1日掲載

条文

(情報の共有)
第21条 市は、市政に関する情報を積極的に提供することにより、市民との情報の共有に努めなければならない。

解説

 第3条に規定する5つの基本原則のうち、情報共有をここに規定します。市政に関する情報については、積極的に市民に提供することにより、徹底的な情報の共有に努めることにします。ただし、情報共有というのは、市からの一方的な情報提供だけではなく、市民からの情報発信があってこそ成り立つものです。

条文

(個人情報の保護)
第22条 市は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に定めるところにより、個人の権利利益を保護し、及び同法第60条第1項の保有個人情報に関しては、厳重にこれを管理しなければならない。

解説

 市は、情報を積極的に提供しますが、個人の権利利益を保護しなければならないことや、保有する個人情報に関しては、厳重に管理する旨を規定します。

 個人情報の保護に関する法律の一部改正(令和5年4月1日施行)に伴い、個人情報を取り扱う行政機関等に対し、遵守すべき義務等が全国的に統一して定めることとされたことから、個人情報の保護が適切になされるよう、岸和田市の最高規範である自治基本条例には、個人情報の保護に関する根幹的な考えを市の姿勢として明記しています。

条文

(説明責任)
第23条 市長及び他の執行機関は、政策の立案、実施及び評価に至る過程において、その経過、内容、効果等について市民にわかりやすく説明する責任を果たさなければならない。

解説

 市長及び他の執行機関は、政策を立案するときから実施して、評価をするまでの過程で、経過や内容、効果等についてわかりやすく市民に説明する責任を果たさなければならないということです。
 これは、市民等の権利を保障するための市長及び他の執行機関の責任であり、市民に仕事の内容を具体的に説明する義務があるということです。

 「説明責任」とは、市の様々な施策や事業等について市民に説明する責任をいい、本条が及ぶ範囲は広く、市の仕事の計画段階から財政上の情報などまちづくりの諸活動の成果までを想定しています。
 市長及び他の執行機関が市の代表者として、「どのような情報や案に基づき」「どのような議論を踏まえ」「どのように考え、いつ、どの時点でどう判断したか」等の政策決定の過程を明らかにすることは当然の責務であり、市民自治を進める最低限の義務でもあります。

条文

(総合計画)
第24条 市は、この条例の理念にのっとり、市政の運営を図るための基本的な構想及びこれを実現するための計画(以下「総合計画」という。)を定めなければならない。
2 前項に規定する基本的な構想を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければならない。
3 市長は、総合計画の内容を実現するため、適切な進行管理を行わなければならない。
4 市長は、総合計画が社会の変化に対応できるよう常に検討を加え、必要に応じて見直しを図らなければならない。

解説

 自治基本条例の理念にのっとって、市は総合的で計画的な市政の運営を図るために、「基本的な構想」及び「それを実現させるための計画」で構成する「総合計画」を定めることとしています。
 また、市民・行政・議会が一体となってまちづくりを進めるという観点から、「基本的な構想」を定めるときや見直すときは、議会の議決を経ることとしています。
 そして、市はこの内容を実現するため、適切な進行管理を行わなければならないとしており、社会の急激な変化等に柔軟に対処できるよう総合計画の見直しを図りますが、「常に見直す」ことは現実的には不可能ですので、常に検討は行って、必要に応じて見直す旨を規定しました。

 総合計画が自治基本条例を生み、今度はその自治基本条例に明確に位置付けられることによって、自治体の政策展開の根幹たる地位を確立することができ、同時に、こうした総合計画の位置付けによって自治体の政策主体性をより鮮明にすることができるのです。

 条例と行政計画はお互いにその特徴に応じ、役割分担をして車の両輪のように岸和田市のまちづくりを支えるべきものであると考えています。

条文

(組織)
第25条 市は、社会情勢に柔軟に対応し、政策を着実に実現するため、簡素で機能的かつ市民にわかりやすい組織の編成に努め、常にその見直しに努めなければならない。
2 市は、効率的かつ効果的に組織を運営しなければならない。

解説

 市は、組織については、社会情勢に柔軟に対応できて、政策を着実に遂行できるような「簡素で機能的に動けるような組織」ということに加えて、「市民にとってわかりやすい組織」という視点から編成し、常にその組織の見直しを行うよう努めなければならないとします。
 組織の運営に当たっては、効率的かつ効果的に運営できるよう努めなければならないというものです。

 自治体の組織は、地方自治法第138条の3の規定「執行機関の組織の原則」において、「系統的に構成しなければならない」、「執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない」と規定されています。本条は、この規定をより深め身近なものとなるよう、市としての組織のあるべき姿を表現したものです。

 「市民に分かりやすい組織」という意味は、地方自治法第1条の規定「この法律の目的」にいう「民主的にして能率的な行政の確保」という自治体の本旨に基づくものです。単純に組織の名称を分かり易いものに変えればよいというものではなく、どのような組織体制が市民にとって有益で、機能的に素早い対応が取れるかということを、市は常に念頭に置き、組織の編成を考えていかなければならないことを表現しています。

条文

(法務)
第26条 市は、市の事務に関する法令の解釈に当たっては、法令の調査研究を重ね、自主的かつ適正な解釈に努めなければならない。
2 市は、地域の特色をいかした政策を実現するため、条例制定権の活用に努めなければならない。

解説

 職員は、法令を遵守してその職務を遂行しなければなりません。法令遵守はそもそも、役所自身が法律を犯して、恣意によって法令解釈を曲げるようなことはいけないという趣旨です。これが原則ですが、自治体には自主的な法令解釈権があって、地域の特色ある政策を実現するため、法令についての調査研究を重ねることで、積極的・自主的に、適正に法令を解釈し、法律を使いこなせるようにならないといけません。そうすることで、条例や規則等の制定・改廃を行って、市民本位の市政運営に努めるというものです。

 従来の自治体は「この法律の解釈については国がこういうふうにいっている」で済ませてきたところがあります。しかし、これからはそうではいけません。自主的な法律解釈が定着すれば自主立法として条例をつくるというところにつながってきます。これらは当たり前のように見えますが地方自治を実りあるものにするために重要な規定です。

 また、これからの自治体は、自ら法律の自主解釈権をもち、自治をどのように展開させていくのかが課題です。市民の代わりに法務の専門家である自治体職員がこの法文はこう解釈されるべきであるというふうに主張していかなければならないということになります。

条文

(財政)
第27条 市長及び他の執行機関は、総合計画に基づく政策目標を達成するため、財政計画に基づき、健全で持続可能な財政運営を行わなければならない。
2 市長は、市及び市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人その他の団体については、その財政状況を一体的に捉え、市民にわかりやすく公表しなければならない。
3 市長は、市政運営の透明性を確保するため、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの10分の1以上2分の1未満の割合で出資している法人その他の団体については、その財政状況を市民にわかりやすく公表するよう努めなければならない。
4 市長及び他の執行機関は、市が保有する財産を明らかにし、適正に管理するとともに効果的に活用しなければならない。

解説

 財政については、市長や他の執行機関は、まず、総合計画に基づく政策目標を達成するため、財政計画に基づいて、健全で、持続的な運営を行わなければならないとします。

 第2項では、財政状況を明らかにするため、これは地方自治法に基づくものですが、「市と市が資本金等で2分の1以上出資しているか、損失補償している法人その他の団体」については、財政状況を一体的に捉え、市民にわかりやすく公表しなければならないとします。

 もうひとつ第3項では、市政運営の透明性を確保するため、「市が資本金等の10分の1以上2分の1未満の割合で出資しているか、損失補償している法人その他の団体」については、その財政状況を市民にわかりやすく公表するよう努めなければならないとします。

 また、市が保有する財産についても、適正管理を行うとともに、効果的に活用しなければならないとします。

条文

 (行政評価)
第28条 市長は、総合計画に基づき実施し、又は実施しようとする施策等については、その成果及び到達度を明らかにするため、行政評価を実施し、その結果を公表しなければならない。
2 市長は、行政評価の結果に基づき、施策等を見直すとともに、総合計画の進行管理及び予算の編成に反映させなければならない。

解説

 第1項では、市長は、総合計画に基づいて実施したり、また、実施しようとする施策等については、「事業の成果が本当に上がっているのか」、「効率的に仕事がされているのか」、「投入コストに対して効果は妥当なのか」、「どれだけ成果が上がり、どこまで目標に到達しているのか」を明らかにするため、行政評価を実施し、その結果を公表しなければならない、という規定です。
「施策等」の「等」は、総合計画に基づかない施策も含むという意味であり、事務事業、施策、政策も含むという意味です。
 第2項では、その結果に基づいて、施策を統廃合したり、逆に拡充するなどの見直しを行ったりするとともに、総合計画の進行管理や予算の編成に反映させなければならない、という規定です。客観的な指標に基づき事業を評価し、Plan(計画)・Do(実施)・Check(評価)・Action(改善・見直し)というサイクルを定着させようというものです。
 「行政評価」は、行政サイドのための作業に関する部分にとどまることなく、市民が新たな政策要求をするための必要不可欠なものとなってきます。

条文

(外部機関その他第三者による監査)
第29条 市は、適正で、効率的かつ効果的な行財政の運営を確保するため、必要に応じて外部機関その他第三者(以下「外部機関等」という。)に監査を実施させることができる。
2 住民は、前項に規定する目的を達成するため、市に対して監査委員に代えて外部機関等による監査の実施を請求することができる。
3 市は、前項に規定する請求があったときは、外部機関等に監査を実施させることができ、その結果を公表するものとする。ただし、監査を実施させないときはその理由を公表するものとする。
4 前3項に規定する外部機関等による監査の実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。

解説

 市は、適正で効率的かつ効果的な行財政の運営を確保するため、内部の監査とは別に、必要に応じて第三者の目による監査、外部機関その他第三者による監査を実施することができるというふうに制度として設けておくというものです。
 住民は、市に対して外部機関その他第三者による監査の実施を請求することができます。
 市はその請求があったときは、外部機関その他第三者による監査を実施することができ、結果については公表します。
 もちろん、実施しないときは、実施しない理由を公表する、という旨の規定です。やむを得ない理由の公表は義務付けし、歯止めを掛けます。
 外部機関その他第三者による監査の実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定めます。

 ここでいう外部機関による監査というのは、基本的に地方自治法上の個別外部監査契約に基づく監査を想定しています。
 内部監査はあるものの、外部の機関、第三者の目による監査をすることで、より適切なチェックが可能ではないかということであり、ただし、地方自治法上の包括外部監査は、膨大な経費がかかり、費用対効果の面で疑問がありますので、包括外部監査のように常設するのではなく、必要に応じて実施するという個別外部監査なら可能である、という考えです。

 そもそも外部監査自体は地方自治法に基づく制度です。地方自治法では監査の目的が明確にされています。それは、地方自治法第2条第14項では「住民の福祉の増進に努める」ことと「最少の経費で最大の効果をあげる」ことであり、同第15項では「組織及び運営の合理化」です。これらを達成するために外部監査を実施することとされています。

 岸和田市が外部監査を行おうとすると、契約に基づく監査を受けることを条例で定めなければなりません。岸和田市としては、これを条例化して制度として整備しておいて、必要に応じて行うというものです。


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