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自治基本条例逐条解説 第2章 市民及び事業者の権利及び責務(第4条ー第7条)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2018年6月22日掲載

条文

(市民の権利)
第4条 市民は、自己の責任において的確に判断できるよう、市政に関する情報を知る権利及び市政に参画する権利を有する。
2 前項に規定する市民の権利は、公共の福祉に反しない限り最大限に尊重され、市民は、権利の行使に際しては不当に差別的な扱いを受けない。

解説

 ここでは、子どもや女性、障害者、高齢者等の個々の権利についても規定したいという意見がありましたが、それらすべてについてこと細かく規定できませんので、それらを包含する形で「市民」の権利として規定しました。社会的弱者といわれるこのような人たちも当然他の人たちと常に対等な立場で参加できることが保障されます。

 第1項で市民には「情報を知る権利」と「市政へ参画する権利」の2つの権利があることを明記して、第2項で、市民の権利は公共の福祉に反しない限り最大限に尊重され、その権利の行使に際しては、制限を加えられたり、威圧的に関与されたりという不当で差別的な扱いを受けないというものです。

 「情報を知る権利」は、市から提供される情報を受けとるだけでなく、自ら積極的に市に対して市政に関する情報の提供を要求でき、これを取得できる権利をいいます。

 「市政へ参画する権利」としては、第2条の定義でもありますように、行政が政策や施策を立案する意思形成の段階や、実施しようとする段階、さらにそれらを評価する段階等、これらの過程で、市民の意向を聞いたり、市民が実際に参画することを保障することにより、市民と行政の乖離を防ごうとするものです。具体的な内容は、第6章の「協働及び参画」に規定されています。

 この条例では、基本的に、すでに憲法や法律に規定されている権利については、当然市民がこれを享受すべきものですからあらためて規定していません。

条文

(市民の責務)
第5条 市民は、相互に多様な価値観を認め合い、自らの発言と行動に責任を持ち、まちづくりに取り組むよう努める。
2 市民は、持続可能なまちづくりを進めるため、環境の保全に努める。
3 市民は、市政に関する認識を深め、市と協働して地域社会の発展に寄与するよう努める。

解説

 この条例では、情報を知る権利や市政へ参画する権利が規定され、最大限尊重されるものであることが謳われています。しかし、権利を主張するだけでは、社会生活は成り立ちません。それと同時に責務を果たすことも当然求められてきます。これから、市民も事業者も行政も議会もお互いに理解しあいながら協働して「市民自治都市の実現」を目指して取り組んでいこうとするとき、それぞれが果たすべき責任と役割を分担することが必要不可欠となってきます。

 市民は、お互いの存在や価値観を認め合うことが重要で、前文にもあるように、市民自身が自治の主体、まちづくりの担い手であることを自らも認識し、自分の発言と行動には責任を持ってまちづくりに関わることを促しています。
 また、生活雑排水やごみ、車の排気や騒音等の身近な問題が環境に与える影響を考慮し、市民にも環境保全に努めることを明記しました。
 さらに、市政に対して関心をもっていただき、認識を深めていただいて、市とも協働することで、地域社会の発展のために寄与することに努めるとしています。

条文

(事業者の権利)
第6条 事業者は、自己の責任において的確に判断できるよう、市政に関する情報を知る権利を有する。
2 前項に規定する事業者の権利は、公共の福祉に反しない限り最大限に尊重され、事業者は、権利の行使に際しては不当に差別的な扱いを受けない。

解説

 事業者には「情報を知る権利」が付与されており、市民と同様に最大限尊重され、その権利の行使に際しては不当に差別されないことを規定しています。

 この「情報を知る権利」というのは、市民と同じく、市から提供される情報を受けとるだけでなく、自ら積極的に市に対して市政に関する情報の提供を要求でき、これを取得できる権利をいいます。

 市民と大きく変わるのは、「市政に参画する権利」で、これは事業者にまで与えるものではありません。ただし、市内に事業所を置く事業者については、市民として位置付けていますので「市民の権利」として「市政に参画する権利」が保障されることになります。
 市外に事業所を置いていて、たまたま岸和田市内で営業活動を行う者は、あまり地域社会やまちづくりに関わろうとするものではないと考えられますので、そこにまでいろいろな権利を保障するものではなく、しかし、一定の責務は負っていただかないといけないだろうというものです。

条文

(事業者の責務)
第7条 事業者は、事業活動を行うに当たり、自然環境及び生活環境に配慮するよう努める。
2 事業者は、社会的な役割を自覚し、市民及び市と協働しながら地域との調和を図るよう努める。

解説

 第5条の「市民の責務」と第7条の「事業者の責務」については、特に市民と事業者の責任の分担という意味で、それぞれが守るべき責務を規定しています。

 環境への配慮等は、当然市民も責務として負うものですが、ここであらためて規定しているのは、事業活動が環境に与える影響等(開発による自然破壊や産業廃棄物、工場廃水、大気汚染等)を考慮して、特に事業者は、事業活動を行うに当たっては、自然環境や生活環境に配慮し、安心して住めるまちづくりに努めるというものです。
 そういうことから、事業者の社会参加の意識はますます必要となってきますので、その自覚を促す意味で、特に社会的な役割を自覚していただき、市民や市とも協働しながら、地域との調和を図るよう努めることを規定したものです。


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