ページの先頭です。 本文へ
現在地 トップページ > 自治基本条例 > 自治基本条例逐条解説 第1章 総則(第1条ー第3条)

本文

自治基本条例逐条解説 第1章 総則(第1条ー第3条)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2009年3月3日掲載

条文

(目的)
第1条 この条例は、岸和田市における自治の基本理念を明らかにし、市民及び事業者の権利及び責務並びに市長及び議会の権能及び責務を明確にするとともに、市政に関する基本的な事項を定めることにより、市民自治都市を実現し、市民福祉の向上を目指すことを目的とする。

解説

 ここでは、何のために自治基本条例を作るのかを規定します。
 岸和田市における自治の基本理念を明らかにして、市民や事業者それぞれの権利や責務、行政や議会の責務、市政運営の基本原則等を定めることで、「市民自治都市」を実現し、市民福祉の向上を目指すのが自治基本条例の目的ということになります。

 1行目の「岸和田市」は全体としての「岸和田市」を指します。これは、法人格をもった自治体です。「岸和田市」という言葉には、まず地理的概念としての「地域」、そこに住む人である「住民・市民」、選挙によって選ばれた「議会」、選挙によって選ばれた「市長」が統治行為を行っている主体、以上をすべて含んでいます。つまり、「岸和田市」という概念は地理的、人、政治組織すべてを包含します。
 ここでいう「自治の基本理念」とは、前文に規定する自治基本条例を貫く理念を指します。

条文

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に住み、働き、若しくは学ぶ人又は市内に事業所を置く次号に規定する事業者をいう。
(2) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。
(3) 参画 市の政策の立案、実施及び評価に至る過程に、責任を持って主体的に関与することをいう。
(4) 協働 市民、事業者及び市が、それぞれの責任と役割分担に基づき、互いの特性を尊重しながら協力しあうことをいう。

解説

 自治基本条例の中では、この言葉はこのような意味で使います、ということを明らかにします。

 「市民」とは、「市内に住んでいるか、働いているか、学んでいる人、それに加えて市内に事業所を置く事業者」をいいます。つまり、市の区域内に住所を有する住民、「住民」は地方自治法の規定と同じものとし、岸和田市に住んでいる人です。市内の企業やNPO等で働く人、市内の学校で学んでいる人、それに加えて市内で事業所や店を設けて事業活動や商売をしている人等も市民とします。

 この「市内に事業所を置く事業者」はその事業を行う中で、地域と非常に密着した活動(地域活動にも参加し、協働の関係にある)を行うことも多く、その権利・責務も自然人としての市民に近いので、これも市民とすることにしました。
 「事業」とは継続反復して行われる活動をいい、営利目的であるか否かを問いません。したがって非営利的活動を行っているNPOや公益法人が行う活動も「事業」に該当します。

 自治基本条例は「市民」として「自治」を進めるための条例なので、事業者もそういう面から捉えるべきだと考えます。事業者のまちづくりに関する権利も責務も明確にしていくのですが、あくまでも自治基本条例で自治に関わっていくべき事業者は、「市内に事業所を置く事業者」ということで「市民」として位置付けることにしました。

 「事業者」とは「市内で事業活動を行う者」を指し、市内に事務所を置いていようと市外に事務所を置いていようと構いませんが、とにかく市内で事業活動を行う事業者をいいます。自然人・法人どちらも含みます。事業活動には営利活動も非営利活動も含みます。

 「参画」というのは「政策の立案から実施、評価に至る市の意思形成過程や実施過程で、責任を持って主体的に関与すること」をいい、例えば審議会の委員や行政計画の策定委員になって発言すること等を指します。「参加」より行政活動への関与の度合いが強くて、原則として責任のある役割を担うことになります。

 「協働」は「市民、事業者と市、それが市民と市、市民と事業者であったり、市民同士であったりしますが、それぞれの責任と役割分担に基づいて、お互いの立場や特性を尊重しながら協力しあうこと」をいいます。

 それ以外にも、確認しておくべき用語がありますが、基本的に法律に規定のあるものは法律の規定を適用して、この自治基本条例にはあえて規定しません。

条文

(基本原則)
第3条 第1条の目的を達成するため、次の各号に掲げることをこの条例の基本原則とする。
(1) 市民、事業者及び市は、一人ひとりの人権を尊重すること。
(2) 市民及び市は、互いに市政に関する情報を共有しあうこと。
(3) 市民は、市政への参画の機会が保障されること。
(4) 市民、事業者及び市は、協働してまちづくりを行うこと。
(5) 市民の公益的活動は、自主性を基本とし、尊重されること。

解説

 前文に規定する基本理念や第1条に規定する目的、すなわち市民自治都市の実現、市民福祉の向上のための原則として5つの柱を規定します。
 基本原則をどこまで盛り込むかについては、後に出てくる規定をすべて盛り込むと重複することになりますので、最大公約数を盛り込むこととしました。

 1つは、まず、大前提として、市民も事業者も市も、それぞれがお互いに一人ひとりの人権を尊重することを規定します。

 それに加えて基本となる手段として、1つは、「情報の共有」です。市民が自ら考え、的確な判断が下せ、行動できるためには情報共有が必要不可欠になってきます。この「情報共有」というのは、政策の立案や実施、評価に至る過程での情報であったり、市民生活に重要な影響を及ぼすようなものについては、市民に対して情報を提供して共有することをいいます。一時的に市内で事業活動しているような事業者にまで、このような情報共有を行うものではありません。したがって、ここでの規定は、市民と市の情報共有としています。

 1つは、市民の「市政へ参画する機会の保障」です。様々な参画の方法を、この後の条文で規定しますが、その機会を保障するというものです。

 1つは、市民と事業者、市とがそれぞれ「協働してまちづくり」に取り組むことです。市民、事業者と市、それが市民と市であったり、市民と事業者であったり、市民同士であったり、それぞれの責任と役割分担に基づいて、お互いの立場や特性を尊重しながら協力しあいながらまちづくりに取り組んでいこうというものです。

 1つは、「自主的な公益活動の尊重」です。最近、市民の公益的な活動が活発化してきていますが、市民の公益的活動は、自主性を基本とし、尊重されるべきものであるというものです。以上の5つです。

 この第3条までは、全体を通しての根本的な部分の規定になります。


Danjiri city kishiwada