岸和田市市制施行100周年記念誌
未来へのバトン60-61ページ

地元メディアの草創期から関わるおふたりにインタビュー
岸和田ならではの魅力と、未来に期待すること

地域密着メディアで長年にわたって市民とふれあい、常に岸和田の魅力を発信してきたおふたりに、いろいろとお話を伺いました。

お話をしてくれた人

ラヂオきしわだのロゴ
梶野さんの写真

二代目理事長
梶野昭太郎さん
かじのしょうたろう
昭和24年(1949)、岸和田市生まれ。銀行員として活躍し、退職後に地元で「ラヂオきしわだ」の立ち上げに携わる。約200名のボランティアスタッフを束ねつつ、パーソナリティとしても活躍中。

「だんじり"も"あるきしわだ」をめざし、知られざる魅力を発掘

― どんなラジオ局でしょうか。

平成23年(2011)に開局し、今では90以上の番組を制作、約200名のボランティアが運営に関わっています。番組は、20歳のダンサーによるマイケル・ジャクソン専門の音楽系から、87歳の方が昔の岸和田を伝える歴史系まで、年齢もジャンルもさまざま。メインは毎朝2時間放送する『おはようラヂオきしわだ』で、市や警察・消防などからのお知らせや、世の中の情報をお届けしています。ほかにもだんじりの魅力を語り尽くす『わが町自慢』や、地元の人をゲストに招いて仕事や活動を聞く『団塊カフェ 和子のひと巡り』など、地元に詳しくなれる番組も好評ですよ。
昭和20〜30年代に見られた「らんかん橋通」や「かじやまち」の昔ながらの活気をラジオを通じて取り戻したい、とも思っています。地元の人同士がラジオで繋がったり、番組からスターが誕生してもおもしろいですよね。

― 防災情報にも力を注いでいるとか。

災害時に身近な情報を細かく伝えられるのはラジオならでは。局に自家発電を備えるほか、地域の状況や情報を提供してくれる連絡員を27人確保し、独自のネットワーク作りを行っています。また、ボタン一つで緊急放送が流れるラジオ付きの自動販売機を市内に5カ所設置。ラジオは平常時にはボーッと楽しむ「昼行灯」でも、とにかく聞いてもらって、それが災害時の備えに繋がれば、と思っています。

― 未来に伝えたい、期待したいことは?

だんじり祭の中心地に実家がある私なんかは、地元を40年離れていてもDNAにだんじりが組み込まれています(笑)。だんじりが一番なのは間違いないですが、「だんじりもあるまち」といわれるよう、それ以外の魅力も伝えていきたいですね。
たとえば、 摩湯町にある全長約200mの大型前方後円墳・摩湯山古墳のほか、馬子塚古墳や三田古墳など、実は古墳が多かったりと、あまり知られていない歴史的な魅力がたくさんあります。実は今、郷土史の編纂に携わった94歳の方のお話を録りだめしているんですよ。これからはSNSと連携して若い世代を巻き込みながら、知られざる岸和田を発信していき、岸和田がだんじり以外でも誇りに思えるまちになればうれしいな、と思っています。

ラジオ岸和田が流れる自動販売機の画像や、収録中などの画像

お話をしてくれた人

テレビ岸和田のロゴ
庄司さんの写真

コンテンツ事業本部長
庄司浩貴さん
しょうじひろき
昭和36年(1961)、泉佐野市生まれ。昭和62年(1987)の「テレビ岸和田」開局時に入社。今まで数えきれないほどの番組を手掛ける。だんじり祭の実況生中継は人気。

「一つの家族みたいなまち」であり続けて欲しい

― どんなテレビ局でしょうか。

たとえば今年の4月から始まった『ほてから』がそうですが、近所の井戸端会議がテレビ版に拡大した感じ。身近で親しみやすい情報を提供し、知っている人がよく出ている、地域密着型の番組作りをめざしています。視聴率よりも、お店の方から「番組に出たらうちのプリンがよう売れたわ」というような、生の声、直接的な繋がりを大切にしています。

― 番組作りを通じて感じた岸和田の魅力とは?

地元のアイドルが幸せが渦巻く場所を訪ね、人とのふれあいを紹介する『綾の幸せのUZU(うず)』では、番組に出演いただいた農家の方からミカンや大根、お米など農作物をよくいただきます。それがびっくりするぐらいの量で。出演者というより以前からの知り合い、友人のように接してもらえるんですよ。
だんじり祭の時は、カメラ21台がまちに出てすべてのだんじりの全体像を映す実況生中継を行っていますが、以前はアップにしたり、解説を入れたりしていました。でも「やりまわしの良し悪しが見たい」「知り合いが見たい」「知っているから解説はいらない」とご意見があり、〝ヒキの画面で解説なし〞という今のスタイルになりました。言葉はきつくても最後は「期待してるからがんばってくれ」と。岸和田の人は情に厚く、やさしい人が多いんですよ。

― 未来に伝えたい、期待したいことは?

大阪府で一番の漁獲量とか、ギネスブックに世界一の糖度と認定された包近の桃とか、泉質がよい牛滝温泉とか、紀州街道に残る宮大工が手掛けた屋敷とか……岸和田のよいところをしっかり未来に伝えたいですね。
そして岸和田って人と人の距離が近く、みんな顔見知り。台風などの時は青年団がおじいちゃんやおばあちゃんを助けに行くなど、高齢者をとても大切にしています。もし大きな災害が起こっても、岸和田はほかより早く復興するだろうともいわれているんですよ。「一つの家族みたいなまち」という点では日本一、今後もそんなまちであり続けてほしいですね。

テレビ岸和田の番組出演者や、収録中の画像