岸和田市市制施行100周年記念誌
岸和田のいまむかし32-33ページ
岸和田で創業から100年以上。この店、あの会社
御菓子司 小山梅花堂 小山梅花堂 〈本町〉
渋谷幸子さん
当店は天保10年(1839)に今と同じ岸和田城近くで創業し、岸和田岡部藩の御用菓子司を務めました。初代の名が板屋藤兵衛だったので、今も名残で「板藤さん」と呼んでくださる方もいます。現在、小山啓一が七代目です。お茶席へのお届けなど、古くからの常連様も多く、岸和田城へ上納していた頃と変わらぬ味と、季節に応じた新しいお菓子の提供に精進する日々です。
実は平成に入って、火災で工房と店の一部が焼失し、閉店を考えたことがありました。でも、工房を貸してくださるなど、とても多くの方々に温かく支えていただき、長い道のりでしたが店と工房を再建することができたんです。皆様への感謝の思いを、この先も御菓子に込めていきたいです。
株式会社 留河 〈大町〉
四代目 代表取締役社長留河 昇さん
大正元年(1912)に創業し、二代目留河栄が勲六等瑞宝章を受章するなど、岸和田の桐箪笥店の老舗として数々の栄誉にあずかりました。しかし、私が代表になった頃、桐箪笥の市況は大変厳しくなっており、長年つちか培ってきた技術と知識を生かして、時代に即した新しい事業展開はできないかと模索し続けたんです。そして長い企画期間を経て、桐の調湿・防虫性などの特性を生かした「桐製米びつ」や、新素材「桐和紙」「桐糸」を開発しました。さらに近年は、企業や小学校などへの桐の植林活動にも着手しました。桐は二酸化炭素を多く吸収し、成長が早く育つ姿を楽しめます。多くの方々が桐に親しみ、岸和田の桐製品を見直すきっかけになってくれればうれしいです。
南宗味噌株式会社 〈今木町〉
五代目 代表取締役南 敦子さん
初代南 宗七が、慶応3年(1867)に岸和田の筋海町で糀の製造所として創業し、今も伝統の「もろ ぶた 蓋製法」で糀を製造しています。店内には糀・大豆・天然塩を原料とする、昔ながらの素朴な味の味噌・塩糀・醤油糀や、夏季限定の泉州名物水なす漬など〝心と体が喜ぶ発酵食品〞を多く取り揃えています。
私は岸和田で生まれ育ったので、〝大好きな地元の味を広めたい〞という思いで、「手造り味噌キット」を販売したり「味噌造り体験」を開催しています。また、お味噌・糀・地元食材を使った料理を提供するカフェも併設しました。昔から「なんそうさん」と親しみを込めて呼んでいただいているので、そのまま店名は「なんそうさんのCafe」に。これからも伝統の味を守り、
皆様に伝えていきたいです。