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定期監査の結果(平成29年10月実施分 教育総務部・生涯学習部)
第1 監査の対象
1 対象事務
平成29年度事務事業(平成29年4月1日から平成29年7月31日まで)。ただし、必要に応じて平成28年度を含む。
2 対象部課
(1) 教育総務部(総務課、学校給食課、学校管理課、産業高校学務課)
(2) 生涯学習部(生涯学習課、スポーツ振興課、郷土文化室、図書館)
第2 監査の主な実施内容及び着眼点
監査対象部課等における財務に関する事務(収入事務・支出事務・契約事務・補助金交付事務・財産管理事務等)が、法令等に従い適正に執行されるとともに、公正で合理的かつ効率的な事務運営を行っているかどうかに留意し、岸和田市監査等の基準及び事務処理に関する規程に基づき策定した平成29年度一般会計・特別会計に係る定期監査実施計画に定める監査の着眼点について、実査、証憑突合、帳簿突合、計算突合、質問、閲覧により行った。
また、前回の定期監査における指摘事項及び注意を要する事項について、改善状況の調査を行った。
第3 監査の実施場所及び日程
1 実施場所
監査委員室
2 日程
(1) 調査期間 平成29年9月8日から平成29年10月24日まで
(2) 監査実施日 平成29年10月24日
第4 監査の結果
各部の事務事業の執行は、おおむね適正に処理されているものと認められたが、一部、指摘事項又は注意を要する事項が認められた。また、前回の定期監査における指摘事項については、一部改善されていないものが認められたため、下記の判断基準(11)により、再度指摘事項とした。
指摘事項については、是正・改善の必要があるため、適切な措置を講じられたい。なお、措置を講じたときは、遅滞なく通知されたい。また、各課において指摘された事項については、部内においても確認し、再び誤りが生じないよう適切な事務処理に努めるとともに、注意を要する事項についても、部課内の管理点検体制を確認し、今後の事務執行に十分留意されたい。
指摘事項及びその他部内における注意を要する事項と判断した基準は、次のとおりである。
指摘事項 (1) 市に損害を与えている、又は損害を与える恐れがあるもの (2) 収入確保に適切な措置を要するもの (3) 予算を目的外に支出しているもの (4) 不必要な予算執行をしているもの又は損害を生じているもの (5) 法令や条例、通達等に違反しているもの (6) 契約や協定等に反しているもの (7) 機関の意思決定が適切になされていないもの (8) 書類の隠匿や改ざんその他の故意による違反行為があるもの (9) 重大な過失又は著しい怠慢によって誤りを生じているもの (10) 正確性、経済性、効率性又は有効性の観点から改善を要するもの (11) 前回、指摘事項又は注意を要する事項とした事項のうち、是正・改善されていないもの (12) その他、不当又は適正を欠く事項で指摘が適当であると認められるもの |
その他部内における注意を要する事項 (1) 不当又は違法ではないが適切でないもの (2) 執行機関等に改善・検討などを促し、又は注意を喚起することが必要と認められるもの (3) 上記の指摘事項以外で、金額、手続、処理、方法等から見て比較的軽微な誤りと認められるもの |
1 教育総務部
(1) 総務課
日本スポーツ振興センター保護者負担金等の収入事務、文書等仕分業務委託契約等の契約事務、遠距離児童通学費補助金等の補助金交付事務等について、関係書類等により調査した結果、おおむね適正に処理されているものと認められた。
(2) 学校給食課
学校給食センター敷地使用料等の収入事務、学校給食調理業務委託契約等の契約事務、岸和田市学校給食会運営費補助金の交付事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
(ア)複数年度にわたり行政財産の目的外使用許可をしたものについては、年度当初に、その使用料の調定及び納入の通知をしなければならないが、その処理がなされていなかった。(判断基準 (5))
(イ)職員旅費条例では、大阪府外へ出張する際の日当は、その日数に応じ、1日当たりの定額により支給することになっているが、支給されていなかった。(判断基準 (5))
(3) 学校管理課
学校敷地使用料等の収入事務、デジタルカラー複合機単価契約等の契約事務、行政財産の目的外使用許可等の財産管理事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
複数年度にわたり行政財産の目的外使用許可をしたものについては、年度当初に、その使用料の調定及び納入の通知をしなければならないが、その処理が遅れていた。(判断基準 (5))
(4) 産業高校学務課
授業料等の収入事務、ねずみ・害虫駆除業務委託契約等の契約事務、物品購入等の支出事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
岸和田市財務規則では、各部課等の長は、物品の購入をしようとするときは、執行伺書により契約検査課長に請求し、契約検査課長が購入の手続きを行うことになっているが、全日制の学校案内の印刷について、直接、業者への発注を行っていた。(判断基準 (5))
(5) その他部内における注意を要する事項
ア 業務委託契約書に仕様書が合綴されていないものがあった。契約書作成の際には、十分留意されたい。(判断基準 (1))
イ 岸和田市財務規則では、各部課等の長は、物品の所管換えを行った場合は、備品台帳の整理をしなければならないとなっているが、平成28年度に所管換えをした備品について、備品台帳の整理ができていないものがあった。備品は適切に管理されたい。(判断基準 (2))
ウ 地方自治法施行令第167条の2第1項第3号を適用した随意契約において、公表の内容に一部不備が見受けられた。今後十分留意されたい。(判断基準 (2))
2 生涯学習部
(1) 生涯学習課
公民館・青少年会館使用料等の収入事務、地区公民館等施設運営業務委託契約等の契約事務、社会教育関係団体運営補助金等の補助金交付事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
コピー機の利用料金は定期的に回収し、指定金融機関等へ納付しなければならないが、回収する際に、コピー機の中に保管している釣銭準備金の額を確認せず、コピー機のカウンターで利用枚数を判断し納付していたため、コピー機内の現金が、カウンターによる利用枚数分の料金及び釣銭準備金の合計額と相違していた。また、輪転機の利用料金の一部が回収されずに機械の中に残っていた。(判断基準 (5))
(2) スポーツ振興課
市民プール使用料等の収入事務、事前キャンプ地誘致及びWMG2021関西BMX競技大会開催に関する企画支援業務委託契約等の契約事務、岸和田市スポーツ振興事業補助金の交付事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
(ア)資金前渡職員は、常時の費用に係るものについては、毎月分を翌月10日までに、随時の費用に係るものについては、目的完了後10日以内に前渡資金の支払額の残額について精算しなければならないが、精算が遅れているものがあった。(判断基準 (5))
(イ)岸和田市民プール条例第8条及び同施行規則第7条の規定により、使用料は使用許可の際に前納させることになっているが、団体の専用使用について、使用許可の際に前納させず、納期限を設定していない納入通知書を交付していた。(判断基準 (5))
(ウ)市が所有する施設に送電するための電柱等について、行政財産の目的外使用を許可しているが、減免申請書の提出を受けず、行政財産の使用料の徴収に関する条例第3条第1項を適用し使用料を免除していた。(判断基準 (5))
(エ)運動広場使用料の滞納整理事務において、地方自治法第236条第1項に基づき時効が完成し、債権が消滅した後も納付書を送付し請求行為を行っていたものがあった。(判断基準 (5))
(オ)屋外スポーツ教室の講師に謝礼を支出する際に、相手方を確認せず誤って前年度の講師に支出したものがあった。(判断基準 (5))
(3) 郷土文化室
各種冊子等頒布収入等の収入事務、収蔵品台帳作成業務委託契約等の契約事務、行政財産の目的外使用許可等の財産管理事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
岸和田市教育委員会事務決裁規程では、行政財産の目的外使用の新規申請に関することは、教育長の決裁事項とされており、目的外使用料の減免に関することは、部長の専決事項とされているが、室長専決で処理されているものがあった。(判断基準 (5)(11))
(4) 図書館
各種冊子等頒布収入等の収入事務、岸和田市立図書館電算機器賃貸借契約等の契約事務、行政財産の目的外使用許可等の財産管理事務等について、関係書類等により調査した結果、次のとおりである。
ア 指摘事項
事前に予定されていた公用車での出張の際に必要となった高速道路料金を職員が立替えて支払いをしていた。(判断基準 (5))
(5) その他部内における注意を要する事項
ア 郵便切手の管理について、切手の現物と受払簿での残数が合致していることを最終的には確認できたものの、受払簿に記載誤りや記載もれがあり、一部の切手の保管場所が認識されていなかった。郵便切手等の有価証券については、現金同様厳重に管理されたい。(判断基準 (2))
イ 事業委託契約書に仕様書が合綴されていないものがあった。契約書作成の際には、十分留意されたい。(判断基準 (1))
ウ 地方自治法施行令第167条の2第1項第3号を適用した随意契約において、公表の内容に一部不備が見受けられた。今後十分留意されたい。(判断基準 (2))
エ 随意契約の根拠法令や理由が記載されていないものがあった。随意契約を行う際には、根拠法令等を明確にし、適切に事務を行われたい。(判断基準 (1))
第5 意見
今回の定期監査において、前回指摘事項としたものについて、措置状況が提出されてはいたものの、改善が見られず再度指摘事項としたものがあった。監査結果を真摯に受け止め、措置が適正になされていれば、起こるはずのないことである。現状を重く受け止め、再びこのようなことのないように、課内の業務全般について管理点検体制を確認し、必要に応じて見直しを行うことで、今後、事務が適正に行われることを強く要望する。