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平成27年度工事監査の結果((仮称)岸和田市立中学校給食センター新築工事)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2016年4月1日掲載

第1 監査の対象

(仮称)岸和田市立中学校給食センター新築工事(建築)

第2 監査実施日

平成27年11月25日(水曜日)

第3 監査の方法

平成27年度に施工した工事のうち、契約金額が1,000万円以上の中から内容等を勘案のうえ、監査対象を抽出し、設計図書、関係図書等の書類監査と現場監査を関係職員立会いのもと説明聴取を受け実施した。

なお、技術的、専門的立場から公益社団法人大阪技術振興協会に工事技術調査を依頼し、技術士の派遣を得て実施した。

第4 工事概要、監査結果及び調査内容

1 (仮称)岸和田市立中学校給食センター新築工事の概要

(1) 工事場所 

岸和田市三ケ山町地内

(2) 工事請負業者

株式会社 堀健

(3) 設計委託業者

株式会社 谷脇建築事務所

(4) 工事請負金額

546,080,400円(設計金額 606,773,160円)

(5) 落札率(工事請負金額/設計金額)

90.0%

(6) 工事期間

平成27年3月3日から平成27年12月28日まで

(7) 工事監督員

建築住宅課 仲井 隆之

(8) 工事の内容

ア 規模

敷地面積  6,349平方メートル

建築面積  2,622平方メートル

延べ面積  3,266平方メートル

イ 用途

事務室、検収室、野菜下処理室、肉魚類下処理室、上処理・釜調理室、和え物室、焼物・揚物・蒸物調理室、炊飯室、洗浄室、コンテナ室、配送室、会議室、事業者事務室、調理員食堂、休憩室、洗濯乾燥室

ウ 構造

鉄骨造2階建

 (9) 工事進捗状況

実施出来高 90%(平成27年11月25日現在)

2 監査結果

技術士による書類調査及び現地調査において、調査に立ち会って確認をしたところ、当工事の計画・調査・設計・積算・契約・施工管理等の各段階における技術的事項の実施状況については、総括的に良好であると判断した。

なお、以下の調査内容に関して、技術士から口頭にて提言のあった事項については、今後の技術水準向上に役立てられたい。

3 調査内容

 (1) 施設の設置目的及び経緯について

近年のわが国の食をめぐる現状に対して、食育基本法の施行(平成17年7月)、食育推進基本計画の策定(平成18年3月)など、国は「食育」を中心とした食環境の改善への取り組みを進めてきた。岸和田市では、家庭での核家族化や夫婦共働きの増加、勤務形態の多様化などで、家庭での弁当作りの負担も考慮して、家庭弁当持参方式を継続しながら、平成18年から平成19年にかけて「スクールランチ」(業者の弁当を希望者が購入するもの)の導入を始めた。

そして、平成22年度より、中学校の昼食はどうあるべきか、食育をどうするべきかの検討を始め、平成23年2月、教育委員会は岸和田市中学校給食検討委員会の報告を受け、中学校給食の実施を決定した。

上記を受けて、平成23年5月、「岸和田市中学校給食実施計画策定委員会」が設置され、検討の結果、「全員喫食」、「センター方式」、「民間委託」により完全給食を実施していくことにした。

平成25年4月、厨房機器プロポーザルを実施することとし、(仮称)岸和田市立中学校給食センター厨房機器業者選定委員会により、最大7,000食の給食調理ができ、調理後2時間以内に喫食可能となる機器及び施設レイアウトの提案を求めて、同年10月プロポーザルを実施して、12月には厨房機器業者を決定した。この業者の提案をもとに給食センターの設計を進めるため、入札による建築設計者の決定を平成26年3月に行っている。

なお、工事費用は、公立学校施設環境改善交付金(国庫)が対象経費の二分の一以内、残りの経費を大阪府の補助金と岸和田市が負担するが、これに対する起債を予定している。

「中学校給食実施方針」については、下記を目指している。

1.基本目標

(1)栄養摂取の観点:安全・安心な給食、かつ、おいしいものであること

(2)食育の観点:食事を考える力をつけ、食事を通じた人間的な成長、食文化の理解、学校・家庭地域の連携を図る

2.給食の対象

原則、全員喫食とする。

3.給食の内容

(1)献立作成:市教育委員会、栄養教諭・学校給食会で検討し、献立作成委員会で決定する。

(2)アレルギー対応:食物アレルギーを持つ生徒に対し、細心の注意を払う必要があるため専用調理室を設置し、除去食対応を行う。

(3)食の安全性:安全性が確認されたものを安定的に安価に調達すること、地産地消に取り組む。

HACCP(ハサップ:食品の製造・加工過程で安全を確保する衛生管理の手法)については、以下を基本的な計画としている。

1.ハード面

(1)ドライシステムの採用により床に水を流さないことで、細菌等の繁殖を防ぐ。

(2)外部からの搬入物を扱う部屋と、調理スペースなど清浄エリアのゾーニングを行う。

(3)作業動線を交差させないこと、加工を一直線とする。

(4)調理手法別に部屋を区画する。

(5)更衣室、トイレを調理室から離し、感染防止を図る。

(6)調理室などの清浄室の空調は正圧とし、入口に風除室を設置する。

2.ソフト面

(1)食材の熱処理を75℃・1分間とし、貝などは85℃・1分間とする。

(2)マニュアルを作成・整備し、関係者に周知徹底する。

岸和田市の中学校は11校、生徒数約5,900人であり、人数は今後横這いないし微減であるとしている。保温食缶を用いて約25分で各校に配送車により配送され、配膳される。

(2) 工事概要について

工事について設計図に従って説明がなされた。上記の条件により、設計プロポーザルにより施設レイアウトが決定され、給食センターとしての機能、HACCPに配慮した設計、耐震性、ランニングコストの削減などを工夫している。具体的には、平面計画での入荷ゾーンと調理ゾーンの分離、材料移動時のパスボックス使用による人の出入り制限、排水処理施設によりBOD600以下(生物化学的酸素要求量: 単位mg/Lで、値が大きいほど、その水質は悪い。)とすること、建築的には、床に水切溝(サニタリーパイプ)設置により、床面の水が他ゾーンに移動しないようにすること、建具枠の横材の上面を斜めにして、ホコリ溜りをなくし、巾木と床の間も曲面となるように床材を巻き上げるなどの詳細としている。重要度係数(建物の設計時に耐震力を割増す係数)1.25による耐震設計、照明器具へのLED照明一部導入やトイレの自動水栓の採用などで節電・節水対策を行なうなどである。

(3) 設計図書、特記仕様書等に関して

平成23年の東日本大震災でも経験した津波の危険性について、当施設敷地はO.P.+107(大阪湾最低潮位:単位m)の山中にあり、津波被害の検討は殆ど不要である。むしろ、被災地への炊き出しの拠点としての機能が期待される。

シックハウス対策については、計画通知時の仕上表により建築材料を確認しているほか、使用材も材料承認にあたりカタログ等により性能、化学物質、アスベストの有無を確認していた。換気もすべて24時間換気とし、VOC(揮発性有機化合物)についても工事完了後に各階2室、各室2箇所をパッシブ方式(24時間平均濃度測定)で7物質について測定を予定している。接着剤についても、当日作業終了後持ち帰りとしている。

設計図面の意匠図、構造図、特記仕様書とも必要枚数、記載内容とも問題なく、詳細についても質疑回答や打ち合わせ記録の照合により問題はない。

(4) 積算等に関して

ア 数量積算者は設計者の株式会社谷脇建築事務所である。

イ 積算の基準は下記の通りであることを確認した。

建築積算研究会制定「建築数量積算基準・同解説」

ウ 値入れは委託設計事務所が行ない、建築住宅課担当者が見直しをしている。「単価」や「分掛」は市販の刊行物によっていた。上記での資料に「単価」が記述されていないものについては業者見積りをとり、最低のものに低減率をかけたものを採用している。

建物延べ面積当たりの単価については、同種物件実施事例との比較検討し、高松市で35万円/平方メートル(平成20年9月1日開業)を参考にしている。本市の当建築工事は、税抜き設計金額で172,023円/平方メートルであり、電気工事、機械設備工事、厨房設備工事を加えて試算すると、妥当な単価である。

上記の調査により、積算について問題はない。

(5) 入札、契約関係等に関して

ア 入札参加業者の見積り期間

平成27年1月17日から平成27年2月2日の17日間(うち土日6日間)

イ  質疑状況及び件数

質疑は5社から191件出されていた。なお、入札では市内AB1クラスの6社のうち3社、市外の経営審査点1300点以上の2社が応札し、市内AB1クラスの株式会社堀健が落札者となった。

ウ 監理技術者と主任技術者の資格

監理技術者資格者証、1級建築施工管理技士の免状の写しを確認した。

エ CORINS(工事実績情報提供システム)による情報の提出

写しが保管され、適正であることを確認した。

オ 前払金保証、工事の履行保証

西日本建設業保証(株)による証券を確認した。

カ  設計変更

設計変更はそのつど書面で確認されており、変更契約を行う予定である。

上記により、入札、契約に関して問題はない。

(6) 施工管理・品質管理・施工監理等に関して

ア 施工計画書について

総合施工計画、総合仮設計画書、各種工事に関する個別施工計画書が作成されていた。基礎工事については、当工事で採用されている深層混合処理工法の計画書について、事前に試験施工を行い、土質に対する適性、改良材の使用量などの確認がなされていた。立会い記録や写真も整備されていた。

その他の計画書も「内容確認」及び「審査済」の手続きは適正に行なわれていた。施工計画書のデジタルデータの利用が行なわれる結果、当該工事に特有の施工管理上の個別具体的な注意点が特記されない傾向があるので、標準仕様書及び監理指針なども参考に固有の具体的な確認事項や注意事項の施工計画書への記述を求めていくことを提言した。

イ  使用材料について

躯体工事使用材料及び仕上げ工事材料の確認は、「使用資材審査願」により適正に行われていた。

ウ  実施工程表について

実施工程表にはクリティカルパス(最も長い工程を要する作業)は表示されていなかったが、本件工事では平屋工事工程は実質的に単線となるので、特にクリティカルパスを表示しなくとも鉄骨工事、1階床工事がポイントとなることは明らかであるので問題はない。

ただし、外注製作物の作図、承認、製作の期間を工程表には表示すべきであるがされていなかったので、本来は表示すべきであることを提言した。

実施工程と計画の異同については、月次の進捗状況表に表示していた。工事は、3月に発注されたので、下請け業者の労務状況が良好だった結果、少し早めに進捗した。

エ  建設副産物の扱いについて

「運搬収集・中間処理・最終処分」の契約書の写し、再生資源利用計画書の作成がされていた。「マニフェスト」(産業廃棄物管理票)も整備されており、適切である。

オ 建設業退職金共済組合への加入について

元請業者が建設業退職金共済の証紙を購入した領収書を確認した。

カ 施工体系図について

適切に掲示されていた。

キ 工事監理・監督について

工事監理は建築住宅課の直営により行なわれ、「監理業務分掌区分」は、建築工事、設備工事、厨房機器で明確に区分されていた。

共通仕様書は、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書 平成25年版」、監理指針は、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事監理指針 平成25年版」としていた。

施工業者から、「月間工程表」及び「週間工程表」などの提出を受け、「工程監理」を行っていた。「工事打合せ会」として、毎週火曜日13時30分から各施工業者、工事関係者、市担当者が出席した工程会議が行われ、議事録も整備されていた。会議には市監督職員、工事関係者、施工者が毎回出席していたが、議事録に出席者全員の名前が記録されていないので、出席者のサインなど別途整理することを提言した。

施工業者への指示書・連絡書、試験・検査などの段階確認の立会い記録・写真などが良好に保管・整備されているのを確認した。

ク 特記仕様書に記述されている個別の工種工事の監理について(書類調査)
(ア) 仮設

官庁提出書類を確認したが問題はなかった。労働安全衛生法第88条第2項の届は、足場の存置期間が60日未満であるので、提出の必要はなかったとのことであるが、天候などの影響で期間が延伸した場合には届の必要性があるので、今後注意が必要であることを提言した。

建物位置、設計GLの確認状況の写真を確認したところ、問題はなかった。

(イ) 土

掘削土は、隣接区画整理事業における仮置場(岸和田市管理地)に場外搬出、埋め戻しは掘削土を使用するものであった。埋め戻し土の転圧状況の写真を確認したが、問題はなかった。

山留め工事については、オープンカットであり当工事での該当はない。

土壌調査の有無については、山林であり利用履歴はないので調査の必要はない。

(ウ) 地業

柱状改良地業の支持力確認方法については、1本目の施工(試験杭)での支持層でのトルク値を確認して基準値とし、改良柱の強度はコア抜きにより確認している。確認写真もあった。改良におけるセメント使用量については、高炉セメントB種を280kg/立方メートル、水セメント比70%ということであった。使用量について、杭径、杭長から算出される必要量と実施使用数量の比較表をも作成整理しておくことを提言した。

立会い記録、確認状況から杭工事に問題はないと判断した。

(エ) 鉄筋

鉄筋材料証明書、入荷札及びロールマーク(圧延時に転写された製造メーカー名、材料種別)の確認写真により、材料が適正であることを確認した。

圧接作業者の技量証明書、圧接部の抜き取り試験結果より圧接部の品質は適正である。

配筋検査は、施工業者、担当者、配筋検査の検査員の検査が為され、検査記録・写真ともに整備されていた。

柱、梁断面での最小鉄筋比については、主筋の0.8%、せん断補強筋の0.2%とも問題はない。

検査での指摘及び是正について、その場で是正された場合でも、次回以降の施工において、改善や再発防止に役立つので、その旨記録に残すことを提言した。

(オ) コンクリート

配合報告書と設計図書を照合し、適正であることを確認した。設計基準強度と調合強度との補正値における、強度割り増しS値の扱いについて、適切に管理されていた。単位水量は185kg/立方メートル以下であった。生コンの試験書類及び立会い記録写真、打ち込み状況の写真、強度試験結果などは適正に保管整備されていた。圧縮強度は全て、満足していた。試験結果について、施工日毎、部位別の一覧表を今後作成予定ということであった。

豆板(表面に砂利が出ていること)補修の記録・写真もあった。是正方法は、監理指針により為されたとのことである。QC手法(工程管理手法)によるPDCAのサイクルを考慮し、発生位置、状況、補修や再発防止などの是正・改善を記録することにより、品質が向上していくため、今後の管理に役立てることを提言した。

(カ) 鉄骨

鉄骨製作工場の能力・グレードについて質問したところ、Mグレード(国土交通大臣認定 TFB M-110072)(株)井上工作所の認定証が確認できた。工場での品質管理記録やダイヤフラムの使用材料のSN490Cの材料検収写真も整理されていた。製作時の品質管理記録、工場製品検査記録も整理されていた。

アンカーボルト埋め込み(ベースパック工法)に関する施工記録、ベース下モルタルの施工精度確認もなされていた。

高力ボルト接合部の写真、柱脚処理などの記録もあり、鋼材、ボルトなどのミルシート(鋼材の材質を証明する添付書類)も整理されていた。

材料確認、工場製作、現場組立・接合、耐火被覆などについて問題はなかった。

(キ) 防水

屋上アスファルト防水については、特にドレイン(排水口)廻りからの漏水が多い。当工事では、屋上防水は完了し、押えコンクリートも施工されていたが、水張り試験をおこなっていないので、雨天時にドレイン周りの漏水がないことを確認しておくことを提言した。アスファルト防水、ウレタン防水ともに10年の保証書が提出されるとのことである。

シーリング(隙間充填材)の接着性試験成績書も提出されていた。

(ク) 屋根・外壁及び樋   

屋根はアスファルト防水の上の押えコンクリートである。一般的な工法であり特に問題はない。異種金属同士の接触も、特に問題になるところはない。

(ケ) 金属

屋外となる部位の天井下地を外部仕様とし、天井ふところが大きくなるような箇所での葡萄棚状(スノコ状)鉄骨下地からの吊ボルト取付けなど、随所に工夫がされていた。

天井の地震時落下対策については、通常の仕様としていた。屋外での手摺や笠木などで温度差による膨張収縮については、特に長尺のものはないので、検討はされていない。

(コ) 建具工事

外部に面する建具についての耐風圧性、気密性、水密性の確認はできていた。重量シャッターはない。オーバースライダー(入口の両脇から天井まで施設されたレールの上を、パネル状のシャッターがスライド移動して開閉されるもの)については手動であり、はさまれ事故の問題はない。

(サ) 塗装工事

VOC放散量が少ないF☆☆☆☆(エフフォースター:ホルムアルデヒド等級の最上位規格を示すマーク)の塗料を選定していた。塗料・シンナーの使用後は、持ち帰りとしており防犯、VOC対策とも問題はない。

使用量のデータについて、部位別使用量の表作成と、風袋の記録を提言した。

(シ) 内装工事

内装材・接着剤について、VOC放散量が少ないF☆☆☆☆のものを選定し、納入時及び出荷証明で確認済である。

使用材料審査時にカタログにより、アスベストが使用されていないことを確認している。

床材でのスリップ事故防止については、調理室内全般、階段、廊下で検討している。

(ス) その他

照明器具の球替えが困難となる箇所については特になく、階段室なども踊り場の壁などに取り付けるので問題はなく、LED照明器具を使用することで玉替え間隔を長くとれるので費用的にも有利である。

別途工事である機械設備、電気設備、厨房機器設備の各工事についての建築工事との関連部分の調整は毎週実施する工程会議で調整を行い、記録していた。

(7) 現場調査における所見(施工状況、安全対策等)

外装工事に関して、屋上仕上げ、設備機器工事、外装金属板工事は概ね完了しており、外部足場は入口などで一部残っていた。外構工事が開始されており、構築物の工事を行っていた。

1階では、壁仕上げ貼り、天井ボード貼り、床仕上げ下地左官工事など部屋・工事区画毎にそれぞれ作業をしていたが、天井内設備工事はほぼ完了し、壁仕上げは概ね完了していた。2階の監理部門の内装工事は天井・壁とも概ね完了し、床材貼り工事を開始していた。

日々の安全書類は整備されており、施工体系図の掲示、安全掲示板や朝礼広場も整備されていた。

外構工事で掘削を行っているときに、建屋内で仕上げ工事を行っている区域に靴底に付着した泥を持ち込むことがあるが、入口での清掃をよく行い、雨天にもかかわらず土砂の汚れは少なかった。

現場での技術調査では以下の事項について提言を行なった。

ア 品質事項

(ア)学校給食を供給し、食材を扱う工場として考察するならば、衛生的な工事管理が必要である。そうすると、工事中の清潔な環境も必要となるので、鉄骨工事中に部材に付着した泥をそのままにしていないか、内装工事中にホコリが舞い上がり、天井内に堆積して、供用中に天井の隙間から落ちてくることはないか等、仕上げ工事中の配慮をお願いした。

(イ)1階屋根(2FL:2階フロアライン)に2階建屋の屋根の縦樋が下りてきて垂れ流しとなっている部分の落とし口は、防水押えコンクリートに直接落とすのではなく、コンクリート既製品、タイルなどの受け材を介して流すことを提言した。

(ウ)2階の一般通路からEVホールに出て1階に降りる階段入口について、入口からすぐに段が始まっていた。床に点字ブロックを設ける予定ではいるが、階段室の表示をしておかなければ、入口三方枠を通過したらすぐに下り階段が始まっているのに気づかない人が転倒することがあるので、サインなどを検討することを提言した。

(エ)1階調理室部分床で、サニタリーピット(水廻り室の排水桝)を設けているが、ピット枠と床仕上げ材の取り合いで段差があると水たまりが発生するので、床下地精度はかなり精密な調整が必要となることを特に提言した。

(オ)1階外部工事で、金属製建具の取り付け溶接部が左官仕上げ前の状態で確認できたが、水が浸入して錆汁が出て汚れる事例があるので、施工に注意することを提言した。

(カ)キャノピー(天蓋)に金属板製谷樋があるが、全長が13m程度あり、両端を固定した場合に、熱膨張により、樋が破損する事例がまれにあるので、温度差による膨張、収縮の検討をしておくことを提言した。

イ 安全設備他

天井高さが高い箇所で、高さ2.5m程度のいわゆる長尺脚立を使用していたが、転倒や墜落に気をつける必要がある。特に、床にピットや配管貫通孔がある場合に転倒事故が起こりやすい。作業員の高齢化もあり重大事故となる恐れもあるので特に注意を喚起するものである。

(8) 結び

中学生を対象とする給食センターであり、調理後25分以内に各校に運搬し2時間以内に喫食という計画である。また災害時にはガスコージェネ設備(ガスで発電すると同時に、廃熱を給湯や空調、蒸気などの形で有効に活用するムダのない設備)により1,500食の炊き出しを想定している。食品工場であるとともに物流施設でもあり、衛生的に清潔であることや、効率的に生産されること、運搬車の動線などの機能が十分に満足されるかが大切なこととなる。

担当部課の学校管理課、建築住宅課においても、前例などを調べて計画されていたが、大規模厨房設備の立ち上がり時には種々の問題が発生しがちである。大阪府や他市などとも連絡をとることで問題の事前予測や対策を講じることが容易となるだろう。

工事は今後床を仕上げたのち、厨房機器の据付が行われる。図面で表現することができなかったことによる問題も発生するかもしれないので、よく調整することで、健康な中学生の食育に役立つ施設となることを願う。


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