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岸和田城庭園(八陣の庭)が国の名勝に指定されました

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2014年10月6日掲載

 岸和田城庭園(八陣の庭)は、昭和28年に日本の昭和期における代表的な庭園研究家であり作庭家でもあった重森三玲(しげもりみれい)氏によって、設計、作庭されました。本庭園は、上・中・下3段の基壇の中央に、大将の石組みを配置し、これを中心に8つの石組みが円形に配置されています。中国三国志の英雄として名高い諸葛孔明(しょかつこうめい)の「八陣法」をイメージしたもので、これらの石組みは地上からは、360度どの角度からも鑑賞することができるようになっています。また本庭園は、岸和田城天守閣の最上階の眼下にあって、その全容を眺望することができます。これまでの水平方向の視点だけでなく、垂直方向に展開する多様な視点を意図した本庭園は独創的で、国内外で注目されてきました。

 このたび、その芸術上の価値及び近代日本庭園史における学術上の価値が高いことから、平成26年10月6日付けで国の名勝に指定されました。

八陣の庭全景写真

八陣の庭と天守閣

八陣の庭とは?

 岸和田城庭園(八陣の庭)は、昭和28(1953)年に重森三玲が設計・作庭を行った回遊式枯山水庭園です。地上からだけでなく、翌年に建築されることが決まっていた天守閣や、航空機などの発達で上空から観賞されることを意図して設計されるなど、伝統的な日本庭園にはなかった独創的なデザインで、現代庭園の画期となった作品と評価されています。
 庭園の平面は、中世城郭の縄張図を参照しつつ現代風にアレンジされ、三重の屈曲線で仕切られた上・中・下三段で構成されています。上段中央に「大将」を表す石組を配置し、中・下段には大将を守るように8組の石組が配置されています。これは諸葛孔明の「八陣法」をテーマとしたもので、中段には「虎」、「風」の各陣を配置し、下段には「天」、「地」、「雲」、「竜」、「鳥」、「蛇」の各陣を配置しています。これらの石組みは、360度どの方向からも観賞できるように設計されています。三玲は八陣法は本来敵を攻める陣形ではなく、平和確立のために外敵から守る陣形であるとして、平和への願いをこの庭に込めたと自ら記しています。なお、石材は沖ノ島(和歌山県)産の結晶片岩が使用されています。 

八陣の庭設計図

八陣の庭設計図(岸和田市教育委員会蔵)

1 大将

本庭園で最大の巨石を使い、殆ど立石とし、四方正面の配置によって各陣形を指導している姿を表現しています。

大将

2 天陣

長石を棒状に立石として、陣勢が上天にのぼる勢いを表しています。

天

3 地陣

3個の石を地中深く沈めて、動かぬ様子を示しています。

地

4 風陣

7個の横石で暴風吹き荒れる様子を表現しています。

風

5 雲陣

3個の石で、雲が去来飛散して常に変化する姿を表しています。

雲の陣

6 竜陣

竜が海中から天に昇るように中央に長石を斜めに配し、これに9個の立石、臥石、横石を用いて竜を抽象的に表現しています。

竜

7 虎陣

中央に2個の立石を配して胴体とし、さらに9個の石を配置して猛虎が吠える姿を表しています。

虎

8 鳥陣

8個の立石・横石・臥石によって鳳凰が天空にはばたく姿を表しています。

鳥

9 蛇陣

3個の長石の石組に傾斜をつけ、大蛇が獲物に飛びかかる勢いを表しています。

蛇

重森三玲とは?

 重森三玲は、明治29(1896)年8月、岡山県上房郡賀陽町(現・加賀郡吉備中央町)に生まれました。
 日本美術学校で日本画を学んだ後、いけばな・茶道・建築など日本文化全般におよぶ研究を続ける一方、40代から日本庭園を独学で学びました。昭和11(1936)年より全国の庭園を実測調査し、全国300箇所におよぶ古庭園の調査などにより、作庭家としてのみならず、日本庭園史の研究家としても活躍しました。
 全国の古庭園実測調査の成果を『日本庭園史図鑑』全26巻(昭和14年)に結実して庭園史研究の基礎を築き、また晩年には長男の重森完途と共に『日本庭園史大系』全35巻(昭和51年)を刊行し、庭園史研究家として多大な功績を残しました。
 三玲が作庭した庭は、岸和田城庭園(八陣の庭)の他、東福寺本坊庭園(国名勝)、光明院庭園、瑞峯院庭園、松尾大社庭園、旧重森邸庭園(現、重森三玲庭園美術館)(以上、京都市)、石像寺庭園(兵庫県丹波市)、漢陽寺庭園(山口県周南市)、西禅院庭園(和歌山県伊都郡 国登録記念物)などがあります。昭和50年3月、79歳で亡くなりました。

八陣の庭と重森三玲

八陣の庭で水をまく重森三玲(昭和28年)

八陣の庭古写真集

市が保管している作庭中、あるいは完成後まもなくの八陣の庭の古写真です。

1 作庭中の八陣の庭(昭和28年)

八陣の庭の古写真

八陣の庭の古写真

2 建築中の天守閣と八陣の庭(昭和29年)

建設中の天守閣と八陣の庭

3 天守閣完成直後の航空写真

岸和田城と八陣の庭航空古写真

4 八陣の庭で行われた創作生花展(昭和30年10月)

八陣の庭生花展

八陣の庭生花展

5 八陣の庭で行われた舞踊会(昭和30年10月)

八陣の庭舞踏会


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