発達障害のある子どもの早期対応の大切さについて

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

発達障害とは?

これまで発達に問題がないと思われていた子どもたちの中に、発達上のつまずきのある子どもたちがいることが知られるようになってきました。こうした発達障害のある子どもたちの場合、全体的な発達の遅れはなく、早期に障害を見極めることが難しく、家族や周囲の大人も気づかないままに過ごすこともあります。また、一見すると普通に見える子どもであるために周知されにくく、どこか違うな・ちょっと気になるなと周囲の大人は感じながらも、原因がわからないためにその対応に戸惑うことがあります。
 こうした発達上のつまずきのある子どもたちは、これまでそのほとんどが家庭でのしつけの問題や親子関係の問題とされることが多かったのです。しかし、今日では発達障害は中枢神経系の何らかの機能不全で起こると推定されており、育て方や家庭環境が原因で起こるものではないことが明らかとなっています。そのため、発達障害の子どもの正しい理解がなされ、適切な支援がなされることが大切です。
 発達障害には、学習障害(LD)、高機能広汎性発達障害(高機能自閉症、アスペルガー症候群)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)が含まれます。

学習障害(LD)

基本的に全般的な知的な遅れはなく、特に学齢期において「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示すと言われています。幼児期においては、全般的な発達は順調であるのに、ことばの遅れ、手指の不器用さ、身体の動きがぎこちないなどの特徴が顕著に現れます。

高機能広汎性発達障害 : 高機能自閉症、アスペルガー症候群

広汎性発達障害には次の3つの特徴があります。
 特徴の現れ方は一人ひとり違います。広汎性発達障害の特徴のある子どもの中でも、言葉の遅れや知的発達の問題が少ない高機能自閉症やアスペルガー症候群の子どもたちは高機能広汎性発達障害と呼ばれています。

1,社会性の獲得や対人関係の難しさ
 視線の合いにくさ、他人の表情の読みにくさ、ジェスチャーの理解の難しさなど、言語以外のコミュニケーションの理解の難しさと、対人関係の築きにくさがあげられます。
2,コミュニケーションの特徴
 会話に代表されるような言語でのやりとりに特徴が見られます。幼児期においては、ことばの遅れ、好きなビデオやコマーシャルのせりふを覚えて一方的にしゃべることはできるが会話が成立しない、難しい言葉は知っているが使い方が独特であるなどの特徴がみられます。
3,想像力の特徴
 興味や遊びが限定されてしまうなどが想像力の問題です。幼児期においては、物にこだわる傾向が強く、例えば回るもの(タイヤ、扇風機、換気扇など)に強く関心を示したり、ドアの開閉、エレベーターなどに関心を示すことがあります。また、1歳半以降にみられる見立て遊びが遅れる傾向もあります。

注意欠陥/多動性障害(ADHD)

「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの行動を特徴とします。
 注意力散漫で気が散りやすい、何か気になることがあるとすぐに行動に移してしまうなどが「不注意」、落ち着きなく動き回る、しゃべりすぎてしまうなどが「多動性」、何か思いつくと後先考えずに行動してしまうなどが「衝動性」です。
 特徴の現れ方は一人ひとり違い、単独で特徴が現れる子ども、複数の特徴をあわせもつ子どももいます。いずれも子ども自身が自分で行動をコントロールするのは難しく、一般的なしつけでは治りません。ADHDは歩行し始めた頃から現れ始め、7歳未満に問題が生じ、また保育所や幼稚園、学校などの社会的な場と家庭など2つ以上の状況で特徴がみられることが前提となります。 

どうしたらいいの? 幼児期に大切にしたいこと

幼児期に発達障害のある子どもと関わる私たちは、どのようなことを心がけたらよいのでしょうか。幼児期は大人を軸にしながら様々なルールや友達関係を通して、人との関係や社会性を学ぶ大切な時期でもあります。子どもが抱える問題を正しく理解し、適切な対応をすることで、その後の集団生活や社会への適応が変わってくると言われています。

子どもが安心できる環境を整えましょう 

生活の見通しが立つことは、子どもに安心感を与え、社会性を育み、子どもの自発的な行動を促すことにつながります。

人との関わりやコミュニケーションの力を育てる 

人とのやり取りにおける安心感が育まれることによって、やり取りが楽しくなり、徐々に周りの世界へと興味関心を広げていきます。自分の意思や希望が伝えられるように、自発的なコミュニケーションの力を育てていくことが大切です。また、社会的なルールの理解の仕方を教えていくことも大切です。

生活スキルを身につける 

食事、排泄、着脱、歯みがきなどの生活習慣の習得や、毎日の生活リズムを整えることが大切です。

自己肯定感を保てるように 

「自分は自分のままでいい」という自己肯定感を育むことは、子どもが社会の中で生きていく上でも大きな力となります。得意なことはほめて伸ばし子どもの自信へとつなげ、また子どもが自分で選んで決める力を子どもの頃から日常生活のなかで培うことによって、子どもの自己肯定感が育まれます。

不適切な行動に対して 

周りからは不適切な行動に思えても、まずは子どもの身になって原因を探り、本当にやめさせる必要があるものかを判断することが大切です。多くの場合、環境の方を変えることで、不適切に見える行動は減少します。子どもは否定的なことばに敏感です。できるだけ肯定的なことばかけで、何をどうしたらいいのかを具体的に伝えることが大切です(「・・・・はだめよ」ではなく、「・・・・しようね!」)。

早期対応の大切さについて  

発達障害は、早期から発達障害についての正しい知識をもち、子どもにとって適切な環境づくりや援助がなされることが大切です。しかし、発達障害のある子どもたちは、集団生活を始めるまでは周りの大人も特に問題を感じずに過ごすことも多くあります。また、これらの発達障害は単独で現れるものではなく、相互に関連しながら存在するとも言われており、特に幼児期には子どもの成長によって問題が変化することもよくあります。そのため、乳幼児健診や発達相談などを利用していただく中で発達的な課題があるのかどうか、課題がある場合はどのようなことに留意して子どもたちに関わっていけばよいのかを早期に把握し、対応していくことが大切になります。

子どもとの関わりで大切にしたいこと 

発達障害の子どももまた日々の生活の中で成長し、子どもの発達への願いは変わりありません。発達障害のある子どもの場合、成長の一部から生じている行動が大人側にとっては問題にみえることがあります。しかし、この問題に見える行動の背景には必ず子どもの内面世界での変化があると言えます。大人側からすると子どもの内面世界は直接目に見えるものではないために、子どもの行動に振り回されてしまうことがよくあります。子どもの行動の背景にはどのような気持ちの動きがあったのか、子どもの発達への願いを理解し、どうしたらうまく関わることができるのかを伝えていくことが大人の役割です。

発達相談ではどんなことをしているの?? 

発達障害のある子どもは、赤ちゃんの頃からあやしても泣き止まない、触られるのを嫌がるなど、保護者にとっては育てにくいと感じることがよくあります。また保護者への愛着が形成されにくく、自分は必要ではないのではと感じることもあります。保護者もまた子育てに自信をなくしてしまうことも少なくありません。
 発達相談は、子どもの姿を保護者とともに確認し、子どもの特性や発達の状況を理解する手がかりを見つけていく場です。一人ひとりの子どもの発達の状況を把握するということは、決して子どもの優劣を把握することではありません。それぞれの子どもが今どんな力をもっているのか、そしてどんな援助を手がかりに次の力を獲得しようとしているのかを知ることなのです。子どもの発達の外見や印象だけでは捉えきれない子どもたちの発達の状況を、各時期の子どもたちの特徴を把握し、その後の具体的な支援について保護者とともに考えていく場となります。
 幼児期は、親と子どもをはじめとした人との信頼関係の形成、人格の基礎を築く大切な時期でもあります。この時期から、親子が安心して過ごせることがその後の子どもの育ちを豊かにしていくことにつながります。もし子育てでお悩みを抱えておられたり、子どもさんの発達や行動面で気になるな・・・と思われることがあれば、ぜひ保健センターまでご連絡ください。