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『生き心地の良い社会』をめざして~ゲートキーパー養成研修~を開催しました

印刷用ページを表示する 2014年3月10日掲載

「生き心地の良い社会」をめざして~ゲートキーパー養成研修~を開催しました

平成25年12月14日土曜日に、岸和田市立浪切ホール4階特別会議室にて、「生き心地の良い社会」をめざして~ゲートキーパー養成研修~が開催され、108人の方が参加されました。

日本では毎年3万人近くの人が自殺で亡くなっています。自殺は様々な要因によって心理的に追い込まれた末の死です。悩んでいる人、またその人を心配している家族や友人をどう支えていくか。一人でも多くの人を支援するために、私たちができる事を一緒に考え、自殺に追い込まれていくいのちを、みんなでつながりながら守っていくことを目的に研修を開催しました。

講師の写真

ゲートキーパーとは

ゲートキーパーとは、自分や家族、友人など身近な人の身体や心のストレスサインに早めに気づき、必要時、相談窓口に橋渡しを行い、「生きることを支援する」役割の人を言います。

講師紹介 

根岸 親(ちかし)氏 
NPO法人自殺対策支援センターライフリンク 副代表

福島県出身。8歳の時に父を自殺で亡くされました。
関西の大学へ進学し、阪神大震災遺児や自死遺児などを支援する活動や、在学中に1年間休学してブラジルの貧困地域で活動するNGOにて研修に参加するなど様々な活動を行ってこられました。
卒業後は、群馬県太田市教育委員会事務局にて、外国人の子どもの教育を担当しました。
2007年から「“1000人の声なき声”に耳を傾ける自殺実態調査」の中で、約200人の自死遺族から話を伺うという活動に携わり、その後2010年3月に太田市役所を退職され、現職に至っておられます。
現在は、自治体における自殺対策の都市型モデルの構築、「自殺対策全国民間ネットワーク」「自殺のない社会づくり市区町村会」の事務局など、プロジェクト全般に携わっておられます。

講演内容

<日本の自殺の現実について>

自殺した人の身近な人は、「まさか」と言う。まさか、自殺するとは思わなかったと。見るからに自殺しそうな人ではなく、「やっぱり」ではなく。そして、日常の中で起こっている出来事です。自殺した人は「ごめんね」と、あやまりながら亡くなっていく。まじめで責任感がある人が多く、追い詰められた末の死であり、決して弱い人だけがすることではありません。

自殺した人は決して帰ってくることはありません。社会的に見たら3万分の1の出来事ですが、自分や家族にとったら1分の1の取り返しのつかない出来事なのです。

一人自殺で亡くなると、4~5人の自死遺族が増えると言われています。そして、また悲しみの連鎖が始まっていくのです。

自殺者数3万人という数字について。東京マラソンの走者が約3万人。映像で、3万人の走者が新宿の靖国通りを走り抜ける様子が流されました。道路いっぱいの走者が走り抜ける映像。3万人通り抜けるのにかかる時間は20分間。実際にはこんなに多くの人が自殺で亡くなっていて、ひとりひとりにそれぞれの人生があり、そのかけがえのない命を3万人も失っている。それが毎年続いているのが日本の現状なのです。

・日本の平成24年の自殺率は人口10万人当たり24.4。世界8位。米国の2倍。英国や伊国の3倍。

・40歳~60歳代の男性(父親世代)が全体の4割を占める。

・若い世代20歳~30歳代の死因1位は自殺。20歳代の死因の半数が自殺。

<人が自殺するとき、自殺せざるを得ないとき>

人が自殺するとき、自殺せざるを得ないときとは、「生きることの阻害要因」が「生きることの促進要因」を上回るときです。 

「生きることの阻害要因」とは

○将来への不安や絶望

○失業や不安定雇用

○過重労働

○借金や貧困

○家族や周囲からの虐待、いじめ

○病気、介護疲れ

○社会や地域に対する不信感

○孤独     など

「生きることの促進要因」とは

○将来の夢

○家族や友人との信頼関係

○やりがいのある仕事や趣味

○経済的な安定

○ライフスキル(問題対処能力)

○信仰

○社会や地域に対する信頼感

○楽しかった過去の思い出   など

  「生きることの阻害要因」を、様々な立場の人が取り除いていくことが重要です。

人が生きることを選ぶとき、選べるときとは、「生きることの促進要因」を引き上げて、「生きることの阻害要因」を取り除き、本人が「生きてみよう」という気持ちを高めることができるときです。

<自殺の危機経路、自殺要因の連鎖>

ライフリンクが、自死遺族の聞き取り調査「“1000人の声なき声”に耳を傾ける自殺実態調査」を行い、そこから見えてきた自殺の危機経路が明らかになりました。自殺で亡くなった人は、自殺に至るまでに複数の要因を抱えています。例えば、家族の不和、身体疾患、うつ病などの精神疾患を抱えている、DV・性暴力、生活苦、失業、負債、事業不振、職場の人間関係、過労など、これらの様々な社会的要因がそれぞれ連鎖しています。そして、この連鎖には規則性があり、自殺に至るまでに平均的に4つの要因を抱えていることが多いのです。

うつ病対策も自殺対策では重要です。自殺になる一歩手前が「うつ病」の状態であり、様々な要因が連鎖した結果、うつ病になることもあります。しかし、うつ病対策だけでは不十分で、その手前の社会的な要因への対策が重要です。様々な分野で様々な人がかかわることが必要です。

実態調査の中で「自殺する前に専門機関に相談していたか」という質問で、70%の人が相談していました。また、全体の44%、相談していた人のうち6割以上の人が亡くなる1か月前に相談に行っていました。この結果でわかることは、70%の人が生きる意志を最後まで持っていたということ、相談していたにもかかわらず、生きるために十分な支援を受けることができなかったということです。 

<生き心地の良い社会へ>

自殺は様々な社会問題が最も深刻化した末に起きています。

身近な人の悩みに気付いたら、否定をせずに受け止めながら、問題を一緒に整理し、専門の機関につなぐ。支援を求める事への “どうせ相談してもだめなんじゃないか” というような不安を和らげることが必要です。

これまで「点」として散在していた地域の相談機関や専門家を、当事者のニーズに応じる形、線でつないでいく。そうした線をたくさん紡いでいくことで「面」としてのセーフティーネットができていきます。自殺対策(生きる支援)が、地域づくりの絶好の切り口になり、安心・安全な地域づくりにつながっていきます。

<ライフリンクのモットー>

新しいつながりが、新しい解決力を生む。

私たち一人ひとりは微力だが、無力ではないのだから。

研修の風景 

講演の最後に、内閣府「いのち支える(自殺対策)プロジェクト」キャンペーンソング「あかり」を、紹介していただきました。

ワカバというJ-Popユニットの曲で、ファンが自殺で亡くなったことをきっかけにつくられた曲です。

いのちの大切さ、生きる力、支えること、支えられること、ひとりで生きていくのではなく、みんなで一緒に生きていこう、いろんなメッセージが伝わってきました。 

当日は、市民の皆様はじめ、ボランティア関係者や民生委員児童委員、介護保険サービス事業所関係者など多くの関係機関からも参加していただきました。

参加者の方からは、

・「まさか」を「もしや」でくい止めることができる。自殺対策=生きる事への支援は、地域社会づくりでできる、自分も何かできるのではと思うようになりました。(60歳代女性) 

・何かできる事があると思えました。否定はせず、話を聞いて受け止めて、寄り添ってほどいてあげたいと、そう思います。(40歳代女性) 

・自分が相談された時は相談窓口につないでいきたいと思います。悩んでいる人の悩みに気付けるようになりたいです。(50歳代女性)

他にも多くの感想をいただきました。ありがとうございました。