岸和田のむかし話7 牛滝川周辺の話・(10)円勝寺の狐(大町)
印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載
聖雄和尚(せいゆうおしょう)さんは、いつからとなくお寺の縁の下に棲(す)みついた狐をたいへんかわいがっていました。「和助(わすけ)」という名前までもらった狐は、まるで犬のように和尚さんを慕(した)い、何処(どこ)へ行くにもついていきました。
ある夜、お寺の不用心をいいことに、泥棒(どろぼう)が仏像盗(ぬす)みに本堂へ忍(しの)び込(こ)もうとしました。
ところが、板戸(いたど)の隙間(すきま)から明かりが漏(も)れ、ポクポクと木魚(もくぎょ)の音が聞こえます。
「あれぇ、木魚が鳴ってる。おっかしいなぁ、和尚さん、まだ起きてはるんかいな」
仕方がないので、泥棒は縁の下にもぐりこみ、本堂の方をうかがって耳をたてていましたが、
ポクポクポク、ポクポクポク・・・・・・
木魚の音は、とぎれたと思うとまた鳴り出し、いっこうに終わりそうもありません。
しびれをきらした泥棒が、そろそろと縁の下から這(は)い出(だ)したとたん、ちょうど檀家(だんか)の法事(ほうじ)から帰ってきた和尚さんとばったり、
「ひゃあ、和尚さんが2人おったぁ」
びっくりぎょうてん、転がるように逃げだしました。
「あ、これこれ、どなたかな。えろう慌(あわ)てて、どないしたんじゃー」
小首かしげながら和尚さんが本堂へ入ってみると、なんと、和助狐がご本尊の前にちょこんと座って、大きな尻尾(しっぽ)で上手に木魚をたたいていたそうです。

※ この「岸和田のむかし話」は市制70周年を記念して平成4年11月に刊行された本をWeb化したもので、岸和田に伝わる昔話や、発刊時に創作された話を収録しています。
あくまでも昔話ですので、必ずしも史実に基づいているものではありません。
