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報道発表 第29回 濱田青陵賞受賞者の決定

印刷用ページを表示する 2016年7月26日掲載

概要

平成28(2016)年度、第29回濱田青陵賞の受賞者は、去る6月13日朝日新聞大阪本社で行われた濱田青陵賞運営協議会並びに選考委員会において、慎重な審議の結果、京都大学の下垣 仁志(しもがき ひとし)氏に決定しました。

 授賞式式典は9月22日(木曜日・秋分の日)午後1時00分より岸和田市立文化会館(マドカホール)で開催予定です。

※同日開催の記念シンポジウムの内容については未定です。

詳細

受賞者プロフィール

 受賞者氏名

  下垣 仁志(しもがき ひとし)

下垣仁志氏

 経歴

2006年 京都大学大学院文学研究科考古学専攻博士後期課程修了

2007年 京都大学人文科学研究所研究機関研究員、立命館大学文学部日本史研究学域 准教授

現在  京都大学大学院文学研究科 准教授

主な論著 

  • 『古墳時代の王権構造』(吉川弘文館、2011)
  • 『古墳時代銅鏡の研究』(科学研究費補助金(若手研究B)研究成果報告書、2016)
  • 『三角縁神獣鏡研究事典』(吉川弘文館、2010)
  • 『倭製鏡一覧』(立命館大学考古学論集刊行会、2011)
  • 『列島出土鏡集成』(科学研究費補助金(若手研究B)研究成果報告書、2016)
  • トーマス,J.(下垣仁志・佐藤啓介共訳)『解釈考古学』(同成社、2012)
  • トリッガー,B.(下垣仁志訳)『考古学的思考の歴史』(同成社、2015)
  • 岡村秀典・下垣仁志・向井佑介編『シルクロード発掘70年』(臨川書店、 2008)

 授賞理由

 古墳時代の王権構造に関する考古学的研究

授賞理由詳細

【理由】「古墳時代の王権構造の解明に大きく寄与した」

下垣仁志氏の研究は、日本の古墳時代における倭王権の構造的特質と、その変容過程について、副葬器物の流通、祭式の生成構造、古墳群の構造や、複数埋葬などの視点で実証的かつ論理的に解明を試みたものである。立論に当たっては、厖大な先行研究を渉猟した上で、独自の論理展開を行っている。その際、文献史料を用いず、また、文献史学の研究成果も基本的には触れず、考古学特有の方法論に立脚する立場を明確にしている。そこで、とくに論拠の重要部分を占める三角縁神獣鏡をはじめとする日本列島出土の銅鏡の徹底的な資料集成と、それらに対する緻密な分析が行われている。そして、古墳時代の社会構造の反映である古墳における副葬遺物・祭式の流通や、畿内大型古墳群などから、有力集団間関係の問題に肉迫している。

ところで、下垣氏の研究において、まず王権は「その規範が成員の面識圏を超える範囲を被覆する、単一ないし複数の身体(=王)を核として、求心的に構成された有力集団構造」と定義される。その上で、王権が所在した畿内中枢と諸地域の有力集団とが構成する中心一周辺の構造や、有力集団内関係すなわち諸地域における有力集団の構造に関して、それらの生成・維持・再生産システムという新たな枠組の中で論究している。

さらに、前方後円墳の前方部複数埋葬の変遷とその背景を追及して、前方部複数埋葬を後円部の中心埋葬の副次的なものと位置づける。その結果、有力集団内の関係について、前方後円墳の機能の一つを内的序列の産出にあったと位置づける。また、同封複数埋葬における「男」性原理の優越性の変遷がたどられている。

なお、下垣氏は最近、欧米考古学の学史や理論の名著の翻訳を相ついで出版しているが、欧米における考古学研究の方法や動向を紹介するなど、さきの銅鏡に見られる資料集成とともに、それらの作業は、濱田青陵博士の思想と行動に通じるところがある。

以上に見てきたように、下垣氏の研究は、考古学的手法によって古墳時代の王権構造の解明に寄与した業績には顕著なものがあり、ここに下垣仁志氏を第29回濱田青陵賞の受賞者として選考した次第である。

 濱田青陵賞選考委員長 九州大学名誉教授 西谷 正 

 岸和田市文化賞「濱田青陵賞」とは

 濱田青陵賞は、岸和田市にゆかりが深く、我が国考古学の先駆者として偉大な功績を残され、多くの後進を育成された濱田耕作(号 青陵)博士没後50年にあたる1988年に、「岸和田市文化賞条例」に基づき、岸和田市と朝日新聞社とが創設しました。

 博士の業績を称えるとともに、我が国考古学の振興に寄与する目的で、業績のあった新進の研究者や団体を広く選考し表彰するもので、今回で29回目を迎えます。

本件に関する問合せ先

郷土文化室(電話:072-423-9688)