風物百選 98 葛城旧登山道の丁石

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載
葛城旧登山道の丁石の日本画日本画 高宮郁子

 私は、ひとりで葛城登山をするときは、大抵、道標のお地蔵さまの立っている旧登山道を登ることにしています。
 理由は、いちばん近道であること、自動車の排ガスを浴びずに登山できること、一丁ごとにお地蔵さまに会えること、などです。
 大威徳寺境内に「是より葛城山へ三十一丁」と刻まれた大きな地蔵さまが立っています。
 一丁のお地蔵さまは、今は憩いの家の前に立っていますが、元はバス停の近くに立っていたと、牛滝の古老に教えていただきました。
 牛滝付近の旧登山道は、林道の開設のため、ずたずたに切られてわからなくなっています。しかし、道標のお地蔵さまをたどることによって大体の見当はつきます。
 五丁と十八丁のお地蔵さまにはまだ会っていませんが、一丁から二十二丁までは道の傍らに立っています。二十三丁から三十丁までは旧登山道が林道と重なった所なので、林道の開設のときうずまってしまったのでしょうか、どこにあるのかわかりません。三十一丁は葛城山頂のブナ林の中に立っています。
 いつ、だれが1メートル以上もあるお地蔵さまを建てたのでしょうか。玉をもったもの、ハスをもったもの、人の名を刻んだもの、年号の入ったものなど、さまざまです。
 昔はこの道が、牛滝と葛城山を結ぶメイン・ストリートだったことは確かです。雨ごいのために登る人も通ったことでしょう。粉河寺、高野山へお参りに行く人も通ったことでしょう。
正確な地図も持たず、足だけが頼りの旅人にとっては、道しるべのお地蔵さまは、地獄に仏のような存在だったと思います。今は通る人もなく、草の中にうずもれていますが………。

文 小垣廣次

資料

 牛滝山登り口から、葛城山項までの距離を示す丁標である。大威徳寺で一丁目があり、ここから治まる。舟型光背の地蔵丁石が頂上まで続いている。33か所にあったと推測されるが、現在は残り少ない。丁石は、享保年間のもので古い。

交通

 バス停牛滝山から南300メートル


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。