風物百選 88 葛城おどり
油彩 藤本俊治
和泉山脈の高峰、葛城山の頂上には、八大龍王をまつった石の宝殿、高おがみ神社がある。氏子は、五カ荘といって、現在の岸和田市塔原・相川・河合、貝塚市の蕎原・木積の五町である。昔はこれらの五カ荘が、山上で祭神を慰めるため「葛城おどり」を奉納し、各部落がその技を競ったといわれる。祭神が雨神であるため、一般に“雨ごいおどり”という。
祭神はこのおどりが大変好きで、奉納が決まると、その日は不思議に雨が降らなかったそうである。このおどりは神様を慰め楽しませるための一種の神楽でないかと思われる。
おどりには、いりは・大山・お館・車・殿御・お若衆・あやはた……など全部で11曲ほどある。音頭の節もおどり方もそれぞれ違っているが、それらを総称して「葛城おどり」というのである。11曲の中に“雨ごいおどり”も含まれているが、いまはそれを覚えている人もなく、“大山おどり”、“車山おどり”の二曲が塔原地区にやっと継承されているにすぎない。
“おどり”といっても輪になって踊るのではなく、踊り子といわれる小学生の男子数人が、太鼓を打ちながら動作をするのである。その後方には、おどりのさい配を振る新発意(しんぼち)が控え、それに音頭方、はやし方、笛方などがついておどりが展開される。
おどりは現在、頂上で行われるのでなく、8月14日の夕方塔原の寺の境内で、奉納されており、多くの見物人がある。
「葛城おどり」は、岸和田市の無形文化財に指定され、塔原地区に保存継承されている。しかしながら、踊り子となる男の子の数が少なくなったで、保存しつづけることが大変むずかしい状態にある。
文 吉田政彦
資料
8月14日の夕刻、塔原町弥勒寺で、伝統芸能「葛城おどり」が奉納される。江戸時代、塔原・相川・河合・木積(こつみ)・蕎原(そぶら)など、旧五カ庄の人たちが雨乞いの際、葛城山項にある石の宝殿(八大竜王)に、祈願をこめておどったものである。昭和31年8月、市指定無形文化財となる。
交通
バス停塔原から北東へ50メートル
この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。
そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。
