風物百選 57 円勝寺の松
印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載
染色 泉本智子
-松は語る-
遠く過ぎしこの寺の歴史を物語るように、円勝寺の黒松は白砂の上をくねくねと長蛇のごとくはっている。
今を去る五百有余年の昔(文明9年)、初代永順(中猛)法師は学問を好み、和歌をはじめ風雅の道にも優れた器量の持ち主であった。たまたま堺巡教中の本願寺八世蓮如上人の御教化に会い、深い感銘を受けて他力念仏の帰依者となった。日々歓喜のあまり村人のだれかれなしに伝道したところ、一村数十軒ことごとく帰依し、改宗して本願寺門徒となった。蓮如上人御真筆の6字の名号を御本尊として円勝寺を建立。以来、初代法師の遺風、念仏弘通の心を継承し、今日に至っている。
思えばこの松の木も、歴代住職の愛の手にいたわられ、幾多の風雪に耐えて来たことであろう。
もともとの姿は上に二枝、横に一枝と延びていたが、2度の台風によって上枝は折られ、今は横枝だけ残り、大事に保護されている。
松の枝に、そっと昔のことを聞いてみたい気持である。
文 中務勝寛
資料
円勝寺の境内にあって、樹齢は約400年といわれている。樹の高さ1メートル80センチメートル、木の主幹は1メートル64センチメートル、横にのびた1本の枝の長は、22.5メートルもあり、枝振りはみごと。昭和52年12月、天然記念物に指定された。
交通
阪和線久米田駅から東250メートル
この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。
そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。
