風物百選 42 市民フェスティバル
油彩 植田真貴
まばゆい、躍動する生命を秘めた五月の風の中に、五万人の市民が集う。”すばらしいふれあいを”の垂れ幕を風になびかせて、アドバルーンが揺れる。「ステージの広場」では、エレキが鳴り響き、トランペットが空気を突き破る。少女たちは、バラのコスチュームに身を包み、くるくると踊る。「スポーツの広場」では、少林寺拳法、ボディービル、子供相撲と、筋肉が躍り、汗が飛び散る。「手づくり・展示の広場」では、ろくろが回り、素焼きのつぼや茶わんが並ぶ。組みひもの色がよじれ、七宝焼の面に光がはじける。子供たちは、ヨーヨー釣りに、金魚すくいに、紙芝居に歓声をあげ、老人たちは、盆栽やサボテンに楽しそうに目を注ぎ、時を忘れる。
昭和53年5月5日に、第一回の産声をあげた市民フェスティバル。「岸和田のまちづくりを考える」シンポジウムを契機に、市民フェスティバル実行委員会が発足し、多数の人たちの熱意と努力に支えられて、開催へと発展した。年ごとにテーマを決めて、手づくりの市民のふれあいの場として定着してきた。
岸和田市長原昇氏は、「岸和田で私の誇るものが二つある。それは280年の伝統をもつ秋のだんじり祭りと、市民の手で作り出された春の市民フェスティバルである」と評価している。この市民フェスティバルは、新しい文化都市岸和田を作り、豊かな市民を育ててゆく期待をになっている。人々のざわめきと喧噪が去った中央公園に、熱気と汗とほこりを包み込んで、真赤な夕日が沈む。新しい岸和田の夜明けを暗示するように、静寂が闇を溶かす。
文 中塚鞠子
※ 文中の市長は当時です。
資料
昭和53年から、毎年5月に開催されている市民の祭りである。世代をこえた祭りの一体感は貴重であり、伝統的な岸和田祭りとともに、市民の春の行事として、定着しつつある。
交通
バス停中央公園前下車すぐ
この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。
そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。
