ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織でさがす > 広報広聴課 > 風物百選 10 五風荘庭園

風物百選 10 五風荘庭園

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

五風荘庭園の日本画日本画 米田 澄江

 正門を入ると、玄関前に巨石を中心に背の低い、枝ぶりの美しい松数本を配した植え込みがある。その前庭を横切って「不許葷酒入山門(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)」と刻まれた戒壇石を左に、中門をくぐると、広い庭園に出る。敷き詰められた白砂を踏んで奥へ進む。池があり、石橋が架かり、背後の小高い丘の上にある山亭にと、道は通じる。右手には、なだらかな稜線を描く自然林を利用した山があり、ところどころに紅葉を配して、秋は殊のほか美しい。
 どっしりと構えたお座敷は、日本建築美の粋を尽くした建物で、二面広く開けられ、前には超巨大なくつ脱ぎ石。その横に、これまた一回りも二回りも大きな手水鉢が据えられていて、これらがよく調和し、建物の重みを倍加する。座敷から庭を眺める時、一面一面の風景が、ガラッと変わるよう造園されている心配りがにくらしい。くつ脱ぎ石一つにしても、その貨幣価値は計り知れないだろうが、ぜいを尽くして造った庭園という感じはみじんもない。そういうところに私はひかれる。座敷の中央にひねもす座すとも、飽くことを知らない。一年中座すとしても、四季折々の変化があって、眺め飽きることがないと思う。
 岸和田市内で、しかも市街のど真ん中に、このように静かな、世俗から隔絶した幽すい境があるのがうれしい。ここは、もと岸和田市長の寺田利吉氏が建てた邸宅で、現在は財団法人五風会の所有となり、結婚式とか諸会合に開放されている。私も友人との謡の会や、同窓会の会場として、よく利用させていただいている。晩秋のキンモクセイの香るころ、また紅葉の美しいころの庭は、私の最も好きなものである。

文  平松 保次

資料

 二世寺田利吉氏は、昭和4年から十か年の年月を要して、旧岸和田城内の鳳池の仙洞と薬草園の跡地に、宏荘な廻遊式日本庭園を造営し、岸和田にゆかり深い楠木氏の楠の字をとって、南木荘と名づけた。正門は、南木門と称し、奈良東大寺分院の山門をいただいたものといわれる。

交通

 南海蛸地蔵駅から北東200メートル


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。