風物百選 100 牛滝山大威徳寺境内

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

牛滝山大威徳寺境内の油彩油彩 川端市夫

 バスを降り、数軒の料亭・茶店の並んだカエデのトンネルを少し行くと、古びた寺の門が目に入る。これが牛滝の寺である。
 牛滝の寺(大威徳寺)の寺域は広く、寺の境内を中心として24ヘクタールもあり、大阪府古文化記念物等保存顕彰規則によって「名勝」と指定されている。
 牛滝というと滝と渓流、紅葉と自然林、寺の堂塔が有名である。
 寺の後ろの斜面にはシラカシ・ウラジロガシの多い自然林が残り、川を隔てた東側は、急斜面でアカマツが目立つ。この間にはさまれた堂塔の散在する境内は、紅葉の名所として名高く、千両カエデのような古木も見られ、春の新緑、秋の紅葉は見事である。
 ところが、滝の上付近になると、林相ががらりと変わり、ケヤキ・コハモミジの多い落葉樹の自然林となる。
 これらの自然林は、小規模ではあるがウシタキソウ・キツリフネなど珍しい植物も多く、犬鳴山と並んで大阪府における植物の宝庫である。
 門内には、本堂をはじめ多宝塔・諸堂の建物が散在している。約180年前に出版された『和泉名所図絵』にある牛滝山の絵を見ると、山門の手前、今の料亭・茶店のあるあたりには幾つかの支坊が道の片側に立ち並び、門を入ると本坊の建物が渓流に片側を掛け出して立派に見える。その右上、一段高い広場には本堂・護摩堂・大師堂・多宝塔・鐘堂が立ち並ぶ。広場の端から一筋のがけ道が谷に沿って奥へ続く。谷は広くないが、清流が岩に激して白泡をふく。その道の尽きるところ第一の滝が見える。とにかく、建物、坊舎など立派なもので、坊舎も40余宇あったと記されている。今は衰微して、残る堂塔はわずか数宇にすぎない。

文 西村幸一郎

資料

 古くから、紅葉の名所として知られる。東・西滝山に挾まれた境内には、今も紅葉が多い。山内正面、石燈に張り出した梵字を刻む巨石は、葛城第十の経塚のしるしともいわれ、その斜上手に、市の天然記念物千両楓がそびえている。春・秋2回、牛の本尊への牛滝参りで賑った昔が、うその様に思われる。
※ 文中で紹介されている「千両楓」は、残念なことですが枯死しました。

交通

 バス停牛滝山から南200メートル


 この「岸和田風物百選」は、岸和田市の市制60周年記念事業の一つとして昭和58年(1983年)に制作されました。

 そのため、内容が古くなっている部分もありますが、交通手段を除いて、原本に忠実に再現しています。これは、実際に現地を訪れた際に、この間の時の移り変わりを感じていただければとの考えからです。