自然再生推進法について

印刷用ページを表示する 2009年3月3日掲載

 過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的とした自然再生推進法が、平成15年1月1日より施行されています。この法律は、我が国の生物多様性の保全にとって重要な役割を担うものであり、地域の多様な主体の参加により、河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林、サンゴ礁などの自然環境を保全、再生、創出、又は維持管理することを求めています。
 政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための基本方針「自然再生基本方針」を平成15年4月1日に決定いたしました。自然再生推進法は、この自然再生基本方針の決定を受けて本格的に運用が開始されることとなります。政府においても環境省、農林水産省、国土交通省の出先機関等に相談窓口を設置するとともに、中央においても3省及び関係行政機関からなる自然再生推進会議を設けて、自然再生の推進に努めていくこととしています。国や地方公共団体の計画によるのではなく、地域の多様な主体の発意により、国や地方公共団体も参画して自然を取り戻すための事業が始まる・・・・・今までにない全く新しい発想の法律です。この法律が積極的に活用されることを期待しています。

環境省より


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 自然再生推進法案に対する附帯決議はこちら

 自然再生推進法のあらましはこちら  [PDFファイル/476KB]

 自然再生基本方針はこちら [PDFファイル/23KB]

自然再生推進法の概要

1 制定の趣旨

  • 自然再生を総合的に推進し、生物多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを目的とするもの。
  • 自然再生事業を、NPOや専門家を始めとする地域の多様な主体の参画と創意により、地域主導のボトムアップ型で進める新たな事業として位置付け、その基本理念、具体的手順等を明らかにするもの。

2 制定の経緯(議員立法)

 平成14年5月28日:政策責任者会議において与党案了承。
 平成14年7月24日:与党及び民主党関係議員により154回国会提出(継続審議)。
 平成14年11月19日:衆議院環境委員会で一部修正の上可決。同日、衆・本会議で成立。
 平成14年12月3日:参議院環境委員会で可決(付帯決議あり)。
 平成14年12月4日:参議院本会議で成立。

3 法律の概要

 【定義】

  • 自然再生:過去に損なわれた自然環境を取り戻すため、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、NPO、専門家等の地域の多様な主体が参加して、自然環境の保全、再生、創出等を行うこと。

 【基本理念】

  • 地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を 踏まえて、科学的知見に基づいて実施。
  • 事業の着手後においても自然再生の状況を監視し、その結果に科学的な 評価を加え、これを事業に反映。

地域の多様な主体の参加

  • 政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための基本方針を閣議決定。基本方針の案は、環境大臣が農林水産大臣、国土交通大臣と協議して作成。
  • 自然再生事業の実施者が、地域住民、NPO、専門家、関係行政機関等とともに協議会を組織。
  • 実施者は、自然再生基本方針及び協議会での協議結果に基づき、自然再生事業実施計画を作成。

NPO等への支援

  • 主務大臣は、実施者の相談に応じる体制を整備。
  • 国及び地方公共団体は、自然再生を推進するために必要な財政上の措置その他の措置に努力。

関係省庁の連携

  • 環境省、国土交通省、農林水産省その他の関係行政機関で構成する自然再生推進会議を設置。
  • 3省は自然再生専門家会議を設置し、意見聴取。

4 その他

  • 施行期日は、平成15年1月1日。自然再生基本方針の策定は年度内を目途として行うため、本格運用は平成15年4月以降の予定。
  • 施行5年後に見直しを予定。

自然再生推進法(平成14年法律第148号 12月11日公布)

 (目的)
第一条 この法律は、自然再生についての基本理念を定め、及び実施者等の責務を明らかにするとともに、自然再生基本方針の策定その他の自然再生を推進するために必要な事項を定めることにより、自然再生に関する施策を総合的に推進し、もって生物の多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを目的とする。

 (定義)
第二条 この法律において「自然再生」とは、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が参加して、河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、又はその状態を維持管理することをいう。
2 この法律において「自然再生事業」とは、自然再生を目的として実施される事業をいう。
3 この法律において「土地の所有者等」とは、土地若しくは木竹の所有者又は土地若しくは木竹の使用及び収益を目的とする権利、漁業権若しくは入漁権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。

 (基本理念)
第三条 自然再生は、健全で恵み豊かな自然が将来の世代にわたって維持されるとともに、生物の多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを旨として適切に行われなければならない。
2 自然再生は、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が連携するとともに、透明性を確保しつつ、自主的かつ積極的に取り組んで実施されなければならない。
3 自然再生は、地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されなければならない。
4 自然再生事業は、自然再生事業の着手後においても自然再生の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを当該自然再生事業に反映させる方法により実施されなければならない。
5 自然再生事業の実施に当たっては、自然環境の保全に関する学習(以下「自然環境学習」という。)の重要性にかんがみ、自然環境学習の場として活用が図られるよう配慮されなければならない。

 (国及び地方公共団体の責務)
第四条 国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人その他の民間の団体等が実施する自然再生事業について、必要な協力をするよう努めなければならない。

 (実施者の責務)
第五条 この法律に基づいて自然再生事業を実施しようとする者(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)その他の法律の規定に基づき自然再生事業の対象となる区域の一部又は全部を管理する者からの委託を受けて自然再生事業を実施しようとする者を含む。以下「実施者」という。)は、基本理念にのっとり、自然再生事業の実施に主体的に取り組むよう努めなければならない。

 (他の公益との調整)
第六条 自然再生は、国土の保全その他の公益との調整に留意して実施されなければならない。

 (自然再生基本方針)
第七条 政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための基本方針(以下「自然再生基本方針」という。)を定めなければならない。
2 自然再生基本方針には、次の事項を定めるものとする。
 一 自然再生の推進に関する基本的方向
 二 次条第一項に規定する協議会に関する基本的事項
 三 次条第二項第一号の自然再生全体構想及び第九条第一項に規定する自然再生事業実施計画の作成に関する基本的事項
 四 自然再生に関して行われる自然環境学習の推進に関する基本的事項
 五 その他自然再生の推進に関する重要事項
3 環境大臣は、あらかじめ農林水産大臣及び国土交通大臣と協議して自然再生基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 環境大臣は、自然再生基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、広く一般の意見を聴かなければならない。
5 環境大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、自然再生基本方針を公表しなければならない。
6 自然再生基本方針は、自然再生事業の進捗状況等を踏まえ、おおむね五年ごとに見直しを行うものとする。
7 第三項から第五項までの規定は、自然再生基本方針の変更について準用する。

 (自然再生協議会)
第八条 実施者は、次項に規定する事務を行うため、当該実施者のほか、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者、土地の所有者等その他の当該実施者が実施しようとする自然再生事業又はこれに関連する自然再生に関する活動に参加しようとする者並びに関係地方公共団体及び関係行政機関からなる自然再生協議会(以下「協議会」という。)を組織するものとする。
2 協議会は、次の事務を行うものとする。
 一 自然再生全体構想を作成すること。
 二 次条第一項に規定する自然再生事業実施計画の案について協議すること。
 三 自然再生事業の実施に係る連絡調整を行うこと。
3 前項第一号の自然再生全体構想(以下「自然再生全体構想」という。)は、自然再生基本方針に即して、次の事項を定めるものとする。
 一 自然再生の対象となる区域
 二 自然再生の目標
 三 協議会に参加する者の名称又は氏名及びその役割分担
 四 その他自然再生の推進に必要な事項
4 協議会の組織及び運営に関して必要な事項は、協議会が定める。
5 協議会の構成員は、相協力して、自然再生の推進に努めなければならない。

 (自然再生事業実施計画)
第九条 実施者は、自然再生基本方針に基づき、自然再生事業の実施に関する計画(以下「自然再生事業実施計画」という。)を作成しなければならない。
2 自然再生事業実施計画には、次の事項を定めるものとする。
 一 実施者の名称又は氏名及び実施者の属する協議会の名称
 二 自然再生事業の対象となる区域及びその内容
 三 自然再生事業の対象となる区域の周辺地域の自然環境との関係並びに自然環境の保全上の意義及び効果
 四 その他自然再生事業の実施に関し必要な事項
3 実施者は、自然再生事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、その案について協議会において十分に協議するとともに、その協議の結果に基づいて作成しなければならない。
4 自然再生事業実施計画は、自然再生全体構想と整合性のとれたものでなければならない。
5 実施者は、自然再生事業実施計画を作成したときは、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、主務大臣及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生事業の対象となる区域の所在地を管轄する都道府県知事に、当該自然再生事業実施計画の写し(当該自然再生事業実施計画の添付書類の写しを含む。以下同じ。)及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生全体構想の写し(当該自然再生全体構想の添付書類の写しを含む。以下同じ。)を送付しなければならない。
6 主務大臣及び都道府県知事は、前項の規定により自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、実施者に対し、当該自然再生事業実施計画に関し必要な助言をすることができる。この場合において、主務大臣は、第十七条第二項の自然再生専門家会議の意見を聴くものとする。
7 第三項から前項までの規定は、自然再生事業実施計画の変更について準用する。

 (維持管理に関する協定)
第十条 自然再生事業の対象区域の全部又は一部について自然再生に係る維持管理を実施しようとする実施者は、当該区域の土地の所有者等と協定を締結して、その維持管理を行うことができる。

 (実施者の相談に応じる体制の整備)
第十一条 主務大臣は、実施者の相談に的確に応じることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。
 (自然再生事業の実施についての配慮)
第十二条 国の行政機関及び関係地方公共団体の長は、自然再生事業実施計画に基づく自然再生事業の実施のため法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該自然再生事業が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をするものとする。

 (自然再生事業の進捗状況等の公表)
第十三条 主務大臣は、毎年、自然再生事業の進捗状況を公表しなければならない。
2 主務大臣は、第九条第五項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定により自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、これを公表しなければならない。

 (自然再生事業実施計画の進捗状況の報告)
第十四条 主務大臣は、主務省令で定めるところにより、自然再生事業実施計画に基づき自然再生事業を実施する者に対し、当該自然再生事業実施計画の進捗状況について報告を求めることができる。

 (財政上の措置等)
第十五条 国及び地方公共団体は、自然再生を推進するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
 (自然再生に関するその他の措置)
第十六条 国及び地方公共団体は、自然再生に関して行われる自然環境学習の振興及び自然再生に関する広報活動の充実のために必要な措置を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等が行う自然再生に関する活動の促進に資するため、自然再生に関する情報を適切に提供するよう努めるものとする。
3 国及び地方公共団体は、自然再生に関する研究開発の推進、その成果の普及その他の自然再生に関する科学技術の振興を図るものとする。
4 国及び地方公共団体は、自然再生事業の実施に関連して、地域の環境と調和のとれた農林水産業の推進を図るものとする。

 (自然再生推進会議)
第十七条 政府は、環境省、農林水産省、国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する自然再生推進会議を設け、自然再生の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。
2 環境省、農林水産省及び国土交通省は、自然環境に関し専門的知識を有する者によって構成する自然再生専門家会議を設け、前項の連絡調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。

 (主務大臣等)
第十八条 この法律における主務大臣は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣とする。
2 この法律における主務省令は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣の発する命令とする。

   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、平成十五年一月一日から施行する。

 (自然再生事業に係る配慮)
2 この法律の施行後五年を経過するまでの間は、自然再生事業については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)の施行状況その他土地の形状の変更、工作物の新設等の事業に係る自然環境の保全上の支障を防止するための措置の実施状況等に留意して、適正な配慮がなされるものとする。

 (検討)
3 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

自然再生推進法施行規則

 平成15年4月1日

(定義)
第一条この省令において使用する用語は、自然再生推進法(以下「法」という。)において使用する用語の例による。

(自然再生事業実施計画等の写しの送付)
第二条法第九条第五項の規定による自然再生事業実施計画の写し及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生全体構想の写しの送付は、次に掲げる事項を記載した書類を添付して行うものとする。
 一実施者の名称又は氏名及び主たる事務所の所在地又は住所
 二当該自然再生事業に係る自然再生協議会に参加している者の名称又は氏名
 三当該自然再生事業の対象となる区域を明らかにした縮尺五万分の一以上の地形図

(報告)
第三条主務大臣は、法第十四条の規定により、法の施行のために必要な限度において、文書により、自然再生事業実施計画に基づき自然再生事業を実施する者に対し、当該自然再生事業実施計画の進捗状況について報告を求めることができる。

附則
この省令は、公布の日から施行する。 

自然再生推進法案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

  1. 本法に基づく自然再生事業は、従来からの公共事業の延長として行われるものではなく、過去に行われた事業や人間活動等によって損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として実施される旨を周知徹底すること。
      また、全ての自然再生事業において、工事等を行うことを前提としない自然の回復力に任せることにより自然再生を行う方法も十分考慮すること。
  2. 自然再生における客観的かつ科学的知見に基づく評価の重要性にかんがみ、自然再生全体構想の作成に当たっての調査及びその評価方法を自然再生基本方針に明記すること。また、自然再生協議会は、自然再生が地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されるよう十分留意すること。さらに、当該自然再生事業の事前・事後を通じ、その科学的評価結果を踏まえた自然再生事業実施計画の作成又は見直しに関する事項について自然再生基本方針に明記すること。
  3. 自然再生協議会の組織・運営の適正化を図るため、同協議会の組織化に当たっての幅広い参画機会の確保及び外部からの意見聴取や情報公開の徹底等、透明性確保に関する事項を自然再生基本方針に明記すること。
  4. 自然再生事業の対象となる区域については、あらかじめ当該区域の自然環境の特性について専門家の参加のもと適切かつ十分な調査が行われ、自然再生の必要性が客観的かつ科学的に明らかにされた区域とすること。
  5. 自然再生専門家会議においては、個々の自然再生事業の実施状況についても把握するとともに、外部からの幅広い意見聴取に努めること。また、同専門家会議及び自然再生推進会議においては、情報公開の徹底を図ることによって、その透明性の確保に努めること。
  6.  自然再生事業の実施に当たっては、自然再生協議会へのNPO等の参加についてその公平性の確保に努めるとともに、NPO等の主体的役割の確保を図り、NGO等が従来から地域で行っていた自然再生に関する取組についても十分尊重すること。また、その自主性を尊重しつつ、NPO等に対する財政的・技術的支援措置を講ずるよう努めること。
  7. 地方公共団体が地域の自然環境の特性等に応じた自然再生に関する施策を策定し、及び実施することにつき、これを十分尊重するとともに、必要な支援措置を講ずるよう努めること。

   右決議する。