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はんごんたん(ミニ岸和田再発見第2弾)

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2015年8月4日掲載

 先日、知人から「反魂旦」なる富山のお菓子をいただきました。  

 これ、本来は「反魂丹(はんごんたん)」と読んで、本当はお薬の名前です。これを読んでいらっしゃる方では、もはやわからない方の方が多いかと思いますが、「越中富山の反魂丹、鼻くそ丸めて萬金丹、それを飲むやつぁアンポンタン」の戯れ歌?で有名な反魂丹です。関西では「陀羅尼助丸」に該当するものでしょうか。

 これ、いただいて最初に感心したのは商売の巧さです。反魂丹は薬の名前です。現在でも製造されているようで、この名前を付けると商標の侵害になるのでしょうね。だから丹を旦へ。一時話題になった「面白い恋人」みたいなノリですね。

 実は同様の薬、岸和田にもあったんです。紀州街道をぶらぶら歩いていると、本町に毛利医院があります。ここになんだか古めかしい看板がかかっているのをご存知でしょうか。ここに返魂丹の文字があるのです。「反」は本来「返」ですね。昔、岸和田の紀州街道界隈には薬種商が多く、その中で反魂丹も売られていました。この名残が毛利医院の辺魂丹の看板なのです。

返魂丹 画像1 看板の画像

 反魂丹の名前、これは諸説がありますが、江戸落語に「反魂香」というのがあります。それによると本来は「返魂香」という死者をも呼び返す霊力を持つ香がその名の由来だということがわかります。落語のほうは、妻のお熊を亡くした旦那が、妻に再度逢いたいという思いから反魂香と勘違いして反魂丹(腹痛の薬)を薬屋で買ってきて、家の中でモクモク焚き、隣のかかあが怒りながら(煙いので)煙の中から現れた!というのがオチです。これは江戸落語の基本的な話なので、図書館で調べてみてください。

 また、反魂香に興味のある方は、畠中恵の『しゃばけ』シリーズを読んでみてください。これは現在12巻まである時代小説ですが、反魂香が話の基本となっていて、お香で蘇った病弱な旦那様と、それにまつわる妖(あやかし)とのコミカルなお話です。お菓子から返魂香まで、だらだらと書いちゃいましたね。でも、岸和田でも反魂丹を売っていたのですよ。もしかしたら、モクモク焚かれたこともあるかも知れませんね。それが落語ばなしになっていたら、今頃岸和田でも「反魂旦」作って売られていたかも。