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知的書評合戦ビブリオバトル第6戦を開催しました

記事ID:[[open_page_id]] 更新日:2016年11月9日掲載

11月3日(木曜日)、本館(岸城町)は祝日開館し、ビブリオバトル第6戦を開催しました。今回で6戦目となり、バトラーは最多タイの6人に参加して頂き、今回も特色ある本が揃いました。

ビブリオバトルの様子 

金田 俊宏さん  「ムーン・パレス」ポール・オースター/著  新潮社

金田さん発表の様子

観戦スタッフコメント

翻訳者の柴田元幸さんは日本で最も優れた翻訳家の一人で、本書において翻訳大賞を受賞されており、訳が合って読みやすいと感じたそうです。最後の肉親を亡くした登場人物フォッグは多くの逆境にあたりながらも新しく人と出会い仕事をしますが…フォッグの受難とその向き合い方が引き込まれる文章で書かれているそうなので、聞いていてとても続きが気になりました。

 甘木 なな子さん  「文体練習」レーモン・クノー/著  朝日出版社

甘木さん発表の様子

観戦スタッフコメント

この本に出てくる話は『バスに乗ったら、揉めている男がいた。バスを降りたその男を後ほど別の人が見かけた』というものだけであり、この何てことない出来事が99通りの異なる書き方で書かれています。ただの作文練習の本ではない理由は、最後の99章にあり…。途中少し本の中身も見せておられましたが、一目でわかる独特なレイアウトで皆さん引き込まれていました。

川原 研二さん  「模範郷」リービ秀雄/著   集英社

川原さん発表の様子

観戦スタッフコメント

作者のリービ秀雄さんはユダヤ系アメリカ人でありながら、万葉集の英訳や日本語で著作を出すなどしており、発表者は彼の日本語がもつスピード感が気に入りこの本を選ばれたそうです。 本書は作者の私小説であり、昔住んでいた台湾に50年ぶりに訪れて感慨にふける場面から始まっているのですが…かつて日本の統治下にあった台湾は果たして今住んでいる人にとっての『模範郷』となっているのか―かみしめながら読みたいと思いました。

岡本 康敬さん  「虹の翼」吉村 昭/著   文芸春秋

岡本さん発表の様子

観戦スタッフコメント

ライト兄弟が人類史上初の有人動力飛行の成功する12年も前に、日本で飛行機を考案した男・二宮忠八の生涯を描いた作品です。どれほど周りの人間におかしな目で見られようとも、飛行機開発の夢を持ち続けた二宮の姿を通し、発表者は夢を持ち続ける大切さ、変わった挑戦をし続けることを許し支える環境の必要性、そして運命の皮肉さを強く感じたそうです。切なさを感じながらも発表に引き付けられました。

小笠原 駿さん  「自分の体で実験したい」レスリー・デンディ/著   紀伊國屋書店

小笠原さん発表の様子

観戦スタッフコメント

タイトルからしてぎょっとするこの作品ですが、文字通り自分の体を使って実験を行った人たちの記録を集めたものとなっております。高熱を下げるための方法や麻酔の開発など、彼らの実験は大勢の人を助ける為のものがほとんどですが、中には違うものもあり…全部で10個の物語は正確な記録であると同時に、楽しんで読める物語となっているそうで、紹介されていたもの以外の話も読んでみたくなりました。

齊藤 芳弘さん  「根をもつこと、翼をもつこと」 田口 ランディ/著 晶文社

斉藤さん発表の様子

観戦スタッフコメント

 エッセイ集となっており、著者が8月6日に広島を訪問し考えたこと等が書かれています。発表者は著者の文章がまっすぐ入ってきて読みやすく、すがすがしさを感じたため、今回選んだそうです。いわゆるスピリチュアルスポットへ行ったことなど、ともすれば、そちらの要素が多くなりがちな題材も、そちらに転ばず社説のような文調で書いているとのことなので、素直な気持ちで構えずに読んでみたいと感じました。

第6回のチャンプ本は・・・

表彰の様子

観戦者の投票の結果、第6回目のチャンプ本に選ばれたのは『文体練習』レーモン・クノー/著 朝日出版社でした。チャンプ本の発表者には図書館長から賞状が贈られました。