広報きしわだ 平成22年(2010年)6月1日号4-5面

印刷用ページを表示する 更新日:2010年6月1日掲載

認知症を知ろう

 超高齢社会を迎えた今、長生きできることは素晴らしいことです。
 一方、年を取ることで体や心に変化が起きるようになります。認知症もその変化の一つで、認知症になると、生活する上でいろいろな困りごとが出てきます。
 認知症の人は、自分に起こった変化に戸惑い、先のことに不安を感じています。認知症の人やその家族が、住みなれた地域でより安心して暮らすことができるように、認知症を知り、やさしい心の輪を広げませんか。
問合 高齢介護課高齢福祉担当(電話:072-423-9467)

認知症は脳の病気

 認知症は、さまざまな原因で脳の細胞が壊れたり、働きが悪くなることで起こってくる脳の病気です。

健康な脳

健康な脳

認知症の脳

アルツハイマー病の場合

 脳の細胞が少しずつ死んで脳全体が縮んでしまう。

アルツハイマー病の脳

脳血管に病気がある場合

 脳の中の血管がつまったり切れたりして、脳に栄養や酸素がいかず、一部の細胞が死んでしまう。

脳血管に病気のある脳

認知症の症状

 認知症になると、次のような症状が現れます。これらは脳の細胞が壊れてしまうことの他に、その人の性格や周りの環境、心の状況が原因となって起こります。
 ただし、心身のストレスが減少し、本人が安心して快いと感じるようになることで出なくなる症状もあります。

覚えられない、忘れてしまう

 聞いたことや見たことをすぐに忘れてしまったり、忘れてしまったことに気づかずに、何度も同じことを言ったり尋ねたりすることがあります。
 周りの人にとっては何度も同じことを言っているのですが、認知症の人にとっては、毎回が初めて言うことや聞くことなのです。
※ 普通の物忘れは「体験の一部」(例えば昨晩の食事のメニュー)を忘れるのに対して、認知症による物忘れは「体験のすべて」(昨晩食事をしたこと)を忘れるという違いがあります。

日付や場所、人など自分の周りの状況が分からなくなる

 日付などが分からなくなり、周りの人に何度も尋ねたりします。
 認知症が進むと、家のトイレの場所が分からなくなったり、外に出かけても自分が行きたい場所がわからなくなったりします。
 また、家にいるのに夕方になると「家に帰る」と言って家族を驚かせることもあります。このような時は、すぐに「ここは家だよ」と言い聞かせるのではなく、なぜ「家に帰る」と言っているのかを考えてみることが大切です。

計画を立てられない、計画どおりにできなくなる

 頭の中で考えながら料理を作ったりすることができなくなります。しかし、声をかけながら手伝う人がいれば、料理も作ることができます。

元気がなくなる

 認知症になったことで、今までできていたことができなくなって、自信をなくしたり、これから先のことを考えると 不安な気持ちになります。
 すべてのことが面倒になり、家の中の片付けや身だしなみを整えることができなくなる人もいます。
 また、前は面白いと思えていたことも、興味が持てなくなったりする場合もあります。

認知症の人を支える家族の気持ち

 認知症の人を介護する家族には大きな負担がかかります。多くの家族が経験する気持ちは、次の4段階で表すことができます。
 実際に介護する家族は、この4つのステップを行ったり来たりしながら、一生懸命、認知症の人をサポートしています。

▼第1ステップ【戸惑い・否定】

 以前の本人からは考えられないような言動にとまどい、「こんなはずはない」と否定しようとする。

▼第2ステップ【混乱・怒り・拒絶】

 本人に様々な症状が出てくるため、向き合い方が分からず、混乱したり怒ったり、「顔も見たくない」と言って拒絶したりする。疲れや不安、苦しみが大きく、最もつらい時期。

▼第3ステップ【割り切り】

 怒ったりイライラしたりしても、何もメリットはないと思い始め、割り切れるようになる。負担に感じる気持ちは軽くなる。

▼第4ステップ【受容】

 認知症への理解が深まり、その人のそのままを自然に受け入れることができるようになる。

認知症かな?と思ったら

早く見つける

 「あれ?」と思ったら、早めに病院で診てもらうことが大切です。症状が進まないうちに診てもらうことで、症状が悪くなることを防げる場合があります。

早期発見が必要なわけ

治る場合もある

 認知症の原因となる病気の中には、早期に治療すれば治せるものもあります。
 治らなくてもその病気がまた起こらないようにすれば、進行を止めることができます。

薬が効くことも

 アルツハイマー病の認知症では、薬を早くから飲めば、病気の進行を遅らせることができます。

病気が軽いうちから準備ができる

 症状が軽いうちに、その人も周りの家族も認知症のことを知り、病気と向き合い、どのように生活するか話し合っておくと、認知症であっても、自分らしい生活をすることができます。

『「認知症かもしれない」と思ったら』を発行

 皆さんが住む地域の医療・福祉の相談窓口や生きがいづくり活動に関することを掲載しています。

「認知症かもしれない」と思ったらの写真

 高齢介護課、各市民センター、各サービスセンター、山滝支所、福祉総合センター(野田町1丁目)などで無料配布していますので、ぜひご活用ください。

身近なかかりつけ医でまずは相談を

 池添医院(別所町1丁目)の院長で、市医師会の副会長も務めておられる池添逸夫医師にお話を伺いました。
 池添先生は開業医対象の「認知症対応力向上研修」の講師を務められるなど、認知症の人などを支える市の活動に協力くださっています。

池添先生の写真

 外科や耳鼻科、眼科など、様々な診療科の医師が「認知症対応力向上研修」を受講されたとのことですが―

 認知症の兆候があったとしても、家族としてはすぐに精神科に行くというのは、躊躇されるかも知れません。今回、色々な診療科の医師が研修を受講され、認知症に関する相談に応じられるような知識のアップが図れました。

 かかりつけ医の役割は―

 相談を受けたとき、医療・福祉の相談機関の紹介などを含め、スムーズな対応をできることが大切だと考えています。患者さんやご家族にとって、身近なかかりつけ医がそうあってくれたら心強いですよね。今回は、その第一歩になったと思っています。

 家族が気を付けることは―

 年のせいだけでは片付けられないような物忘れや、今までと違う言動があった時は、注意して欲しいです。また、医師にそのような細かい情報を教えて欲しいです。
 自分の父親や母親に認知症の症状が出た時、驚き、それを認めたくないのは当然のことです。
 ただ、認知症は病気という認識が大事で、まずは相談して欲しいです。

 同居者のいない人もたくさんおられますが―

 その通りで、独り暮らしの高齢者が一番問題だと感じています。本人は社会との壁を作ってしまいがちです。認知症の人が引き続き今の生活を維持していくためには、地域、行政、医療・福祉関係者、みんなが力を合わせて取り組む必要があります。
 近所の人など周りが注意し、地域で支えてあげることが大切だと思います。

認知症の人に出会ったら

「本人は気付いていない」は間違い

 物忘れによる失敗や、今までできていたことができなくなり、誰よりも早く本人が「おかしい」と感じ始めます。
 「私は物忘れなんかしていない!」と言い、周りの人を困らせることもありますが、その時の気持ちには、悲しみや不安が隠されているのです。

その人の言葉や行動には理由がある

 物忘れによる失敗などを、家族や周りの人たちから怒られることで本人にストレスがかかり、認知症の症状が進むことがあります。
 失敗したり、動作がうまくできない、まわりの人を困らせることを言ったりする時も、どうしてそれをするのか、その理由を考えながら優しく接しましょう。

接し方で変わること

 皆さんは、もし大切な家族が認知症になったら、どのように接したいと思いますか。自分が認知症になったら、どのように接して欲しいですか。
 認知症は、周りの人が優しく接すれば、病気の症状が良くなったり緩やかに進みます。また逆に、怒ったり責めたりと、接し方が悪いと症状が悪くなることがあります。
「相手が驚くような唐突な声かけを控える」、「相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する」など、周りの人が工夫しながら認知症の人を支えていくことが大切です。
 そんな優しい心を持ち、困っている人がいたら声を掛け合って助け合える人を町中に増やして、岸和田をより素晴らしいまちにしましょう。

3つの心がまえ

その1 驚かせない!

その2 急がせない!

その3 自信を無くさせない!

必要なのは温かいコミュニケーションです。できることから始めましょう。

認知症サポーター養成講座

 認知症をもっとよく知りたい人はぜひ受講してみてください。講義やDVD鑑賞に加え、受講者自身が認知症の人への対応を考える時間もあります。
 なお、受講後には理解を深めた目印としてオレンジリング(オレンジ色のブレスレット)をお渡しします。
対象 市内在住・在勤者
日時 6月22日(火曜日)午後6時半~8時
場所 福祉総合センター(野田町1丁目)
費用 無料
定員 50人(申込先着順)
申込・問合せ 直接または電話で6月18日(金曜日)までに高齢介護課高齢福祉担当(電話:072-423-9467)へ

認知症サポーターとは

 認知症を正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者のことです。特別に何かをする必要があるわけではありません。